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tu fui, ego eris
viginti quattuor
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「羽角の専門だし、それ以外には関心が無いとも言えるし……だからかのぉ?」
更に意味が分からなくなり、斎の表情が困惑した。
「結婚したのも、自分の研究を続けるためだったというのもあるし、子供は興味が無かったしのぉ」
「つまり……?」
胡桃沢をよく知っている身としては、このまま話させるとどうなるのかを理解していたため、結論を求める。
「すべて自分の研究のためじゃ」
「生物学……生命科学ですか?」
胡桃沢が頷く。今まで、羽角がしてきたことを考えれば、思いつくことは少なかった。そして、それならば幻夢鏡へ行きたがる理由も推測できた。この世界とは異なる生物が多く生存しているという場所へ行きたかったのだろう。
「皮肉なことに、この計画を始めてから、由香子くんと天弥くんには驚くほどの興味と執念を見えるようになったんだがのぉ……」
専門が生物学なら、これ以上の研究材料は無いだろう。
「先生、行きましょう」
斎を促すように、天弥はそのシャツの裾を掴み軽く引く。
「あぁ」
促されるまま、斎はドアへ向かう天弥の後に続く。
「天弥くん!」
廊下へ向かう天弥を引き留めようと胡桃沢が慌てて動き近寄る。
「わしは、本当に行かせてはもらえんのかのぉ?」
「貴方はそのままでも害にはなりませんから」
足を止めずにそう言い残すと、天弥は斎を連れて出て行った。
胡桃沢たちのところを後にし、二人は天弥が気に入っているらしいファストフードに居た。昨日のことや平日ということもあり、人はあまり多くはなかった。それでも二人は、人目を避けるように隅の席に座り込んでいた。
「これからどうするんだ?」
アイスティーが気に入ったのか、何も言わずに飲んでいる天弥に尋ねる。
「どうするもなにも、帰りますよ」
さらりと答えた様子に、返って斎の方が驚きを表す。
「帰るって……?」
「家に決まってるじゃないですか」
「しかし……」
天弥は再び、アイスティーのストローを口に含む。父親は血の繋がりがあると思っていたが違った。そこへ帰るというのかと不思議でならなかった。
「別に、なにも追求されませんよ。むしろ父親は喜びます」
そういえば、天弥の父親となっている人物は、すでにのぞみを叶えていると言っていた。
「あの人は、母が好きなんですよ。幸いとでも言うのでしょうか。僕は母とよく似ていますからね。手放す気は無いんですよ」
歪んではいるが、それも愛なのかとある意味納得はできた。
「それなら……今すぐにではないが、俺と一緒に暮らさないか?」
斎がなにを言っているのか理解できないという表情をし、天弥は小首を傾げる。
「言う相手を間違えていますよ?」
「そっちは、すでに言ってある」
天弥は深くため息を吐いた。
更に意味が分からなくなり、斎の表情が困惑した。
「結婚したのも、自分の研究を続けるためだったというのもあるし、子供は興味が無かったしのぉ」
「つまり……?」
胡桃沢をよく知っている身としては、このまま話させるとどうなるのかを理解していたため、結論を求める。
「すべて自分の研究のためじゃ」
「生物学……生命科学ですか?」
胡桃沢が頷く。今まで、羽角がしてきたことを考えれば、思いつくことは少なかった。そして、それならば幻夢鏡へ行きたがる理由も推測できた。この世界とは異なる生物が多く生存しているという場所へ行きたかったのだろう。
「皮肉なことに、この計画を始めてから、由香子くんと天弥くんには驚くほどの興味と執念を見えるようになったんだがのぉ……」
専門が生物学なら、これ以上の研究材料は無いだろう。
「先生、行きましょう」
斎を促すように、天弥はそのシャツの裾を掴み軽く引く。
「あぁ」
促されるまま、斎はドアへ向かう天弥の後に続く。
「天弥くん!」
廊下へ向かう天弥を引き留めようと胡桃沢が慌てて動き近寄る。
「わしは、本当に行かせてはもらえんのかのぉ?」
「貴方はそのままでも害にはなりませんから」
足を止めずにそう言い残すと、天弥は斎を連れて出て行った。
胡桃沢たちのところを後にし、二人は天弥が気に入っているらしいファストフードに居た。昨日のことや平日ということもあり、人はあまり多くはなかった。それでも二人は、人目を避けるように隅の席に座り込んでいた。
「これからどうするんだ?」
アイスティーが気に入ったのか、何も言わずに飲んでいる天弥に尋ねる。
「どうするもなにも、帰りますよ」
さらりと答えた様子に、返って斎の方が驚きを表す。
「帰るって……?」
「家に決まってるじゃないですか」
「しかし……」
天弥は再び、アイスティーのストローを口に含む。父親は血の繋がりがあると思っていたが違った。そこへ帰るというのかと不思議でならなかった。
「別に、なにも追求されませんよ。むしろ父親は喜びます」
そういえば、天弥の父親となっている人物は、すでにのぞみを叶えていると言っていた。
「あの人は、母が好きなんですよ。幸いとでも言うのでしょうか。僕は母とよく似ていますからね。手放す気は無いんですよ」
歪んではいるが、それも愛なのかとある意味納得はできた。
「それなら……今すぐにではないが、俺と一緒に暮らさないか?」
斎がなにを言っているのか理解できないという表情をし、天弥は小首を傾げる。
「言う相手を間違えていますよ?」
「そっちは、すでに言ってある」
天弥は深くため息を吐いた。
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