親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

文字の大きさ
66 / 190
第二章 冒険者登録編

第65話 ダンジョンでの動画撮影

しおりを挟む
「モコちゃ~ん」
「ワン♪」
「ラムちゃ~ん」
「ピキィ♪」
「マールちゃ~ん」
「マァ~♪」
「風間さ~ん」
「は~い♪ てやらんから!」

 モコ、ラム、マールと続いて俺にも同じノリで来るからつい乗せられてポージングしそうになったじゃないか!
 
 ま、こういうのも楽しいけどな。鬼輝夜の皆もサービス精神旺盛で、三匹と上手く絡んで撮影に協力してくれた。
 
「よし。大体片付いたな」
「やったね~モコちゃ~ん」
「ワン♪」
「お前もよく頑張ったな。根性あるじゃねぇか」
「マァ~♪」
「――柔らかい」
「ピキィ~♪」

 鬼輝夜の皆のおかげで汚されたダンジョンもすっかり綺麗になった。なんならあの捕まった連中が来る前よりも更に綺麗に片付いたぐらいだぞ。

「皆のおかげで一気に綺麗になったよ。本当に感謝してる」
「いいってことよ。冒険者がやらかしたことは冒険者でカジメつけないとねぇ」
「本当にありがとうございました。感謝してもしきれません」

 俺に続いて秋月も四人に御礼を言っていた。これはこの山の管理者としての御礼もあるのだろうな。

「よし。それじゃあ折角綺麗になったし皆でキャンプ飯とするか! 丁度材料もあるし!」
「おいおい、それはあたしらもってことかい?」
「勿論。こういう時の食事は大勢いたほうがいいからね」

 秋月が結構色々と買ってきてくれてたし、帝が持ってきてくれた食材もあるからバーベキューをするには丁度いいと思った。

 俺は準備を始め、結局皆も手伝ってくれたけど和気藹々とした時間を楽しんだ。

「何かごちそうになでなってしまって却って悪かったね」
「そんなことありませんよ。俺も久々に大勢でキャンプ出来た気分になれて楽しかったし」
「私も楽しかったですよ~そうだ~よかったら今度二人で――」
「ゴホンゴホン!」

 蓬莱がそんな冗談を言ってきたところで秋月が咳払いしていた。ま、まぁ二人でと言うのは冗談にしてもまた皆で集まれば楽しいかもな。

「弟さんにも宜しく言っておいてください」
「あぁ。あいつも喜ぶよ。それじゃあ動画も楽しみにしてるよ」

 こうして鬼輝夜の面々も下山していった。そして俺たちはダンジョン内に戻ったのだが。

「風間さん。動画のチェックを手伝ってもらってもいいですか?」
「あぁ、そうだったな。これで編集が終わればいよいよ動画公開かぁ~」

 いきなりそんなに見られるかはわからないけど、それでもちょっと緊張するかもしれない。

 とは言え、動画をチェックしていて改めて思ったのは――ウチの子可愛すぎだろうーーーーーー! ということだ。そんなこと思いながら動画をチェックしているとふと俺のスマフォが震えた。

「悪いちょっと出てくるよ」
「はい。こっちはチェック続けておきますね」

 そして俺はスマフォを確認したのだが、名前には会社で一緒の部署だった後輩の名前があった。

『あ、風間先輩出てくれた良かった~』
「おう。久しぶりだな」
『はい。先輩はどうですか? 今は何を?』

 そう聞かれて返答に困った。冒険者登録はしたが正式に動いているわけでもないからな。

「ま、まぁボチボチやってるよ。色々縁もあってな」
『そうなのですね。先輩が元気ならいいのですが』
「あぁ気を使ってくれて悪いな。それにしても何だ? この時間まだ仕事だろう?」
『はい。それで聞きたくて。〇〇商事は風間先輩の担当だったじゃないですかぁ。今、僕がが担当しているんですが――』

 後輩からは引き継ぎについて相談を受けた。どうやら今の案件で資料が見当たらなくて困ってるという話だった。俺は記憶を頼りに教えてやったのだが。

『そこは見てなかったかも! 助かりました』
「あぁ。だけどそのあたりは引継書にも書いておいた筈なんだがな」
『え? そうなんですか? おかしいな。阿久津の奴・・に聞いたら、何も残さず辞めていったとか言っていたので変だなとは思ったんですが』
 
 アイツか。また適当なことばかりいいやがって。しかしちょっと引っかかるな。

「一応あいつも先輩だろう。近くにいないのかもだが一応は敬称付けた方がよくないか?」
『えぇ~。先輩は本当そういうところ真面目ですね。でもあいつら今は社内でも評判悪いんですよ。仕事もミスが多くなったクセにそれをこっちになすりつけてくるし本当最悪ですからね。先輩戻ってきてくださいよ~』
「はは、流石にもうそっちには戻れないよ。だけど、そうか――」
『それに、あの二人・・・・何だか冒険者登録したとかでそれもやたら自慢してきて鼻につくんですよね』

 そうか。社内でも言いふらしてるんだな。冒険者は兼業も多く、国としてもそれは認めてるからな。

 しかしあの二人という言い方、つまり元いた会社でも阿久津と未瑠が付き合っていることは知られてるってことか。

「あいつらは今も会社か?」
『いえ。今日は講習があるとかいって二人揃って休んでますよ。こっちは大変だってのにいい気なもんですよ』
「そうか……大変だな。まぁ、また困ったことがあったら連絡くれよ」
『わかりました! 本当先輩は頼りになります。それと正直言ってあの件も自分は納得してませんからね。あの後も仲間集めて抗議したんですから! 結局会社はまともに取り合ってくれなかったんですけどね……』

 最後はちょっと申し訳無さそうでもあったな。でも、俺の為に動いてくれていた人がいたのは純粋に嬉しかった。

「俺のことを信じてくれていたのがわかっただけでも良かったよ。ありがとうな。それじゃあな」
『はい。落ち着いたら呑みにでも行きたいですね。それじゃあ!』

 そして俺は通話を終えた。しかしあの二人、一体何をやってるんだか。ま、あいつらのことなんて俺にはもう関係ないことだけどな――
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

小さなフェンリルと私の冒険時間 〜ぬくもりに包まれた毎日のはじまり〜

ちょこの
ファンタジー
もふもふな相棒「ヴァイス」と一緒に、今日もダンジョン生活♪ 高校生の優衣は、ダンジョンに挑むけど、頼れるのはふわふわの相棒だけ。 ゆるふわ魔法あり、ドキドキのバトルあり、モフモフ癒しタイムも満載! ほんわか&ワクワクな日常と冒険が交差する、新感覚ファンタジー!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

処理中です...