76 / 190
第二章 冒険者登録編
第75話 講習はダンジョン探索
しおりを挟む
「このダンジョンには五人一組で入ってもらいます。ただし最後だけは一人足りないですので四人一組となります。それぞれの探索には私が同行し、その間は他の職員に見ていて貰います」
香川からはそんな説明を受けた。さっきの試合もそうだったけどあの於呂がいなくなった分、一人足りなくなるようだ。
「今回はダンジョンの攻略を終わらせるのが目的ですか?」
なんとなく俺はそんな質問をしていた。難易度が低いと言っていたけど、ダンジョン攻略となればそれなりに時間が掛かりそうだし気になったのだ。
「一組あたりに制限時間を設けますので攻略は必須ではありません。それぞれの探索時間は一時間程度を予定してます」
なるほど。ダンジョン探索は全部で四組で行うから大体四時間で終わる感じか。
「おっとここだねぇ。はい持ってきたよ」
それなりに年齢が言ってそうな声を背に受けた。振り返ると左右に飛び出たような灰色髪の男性がやってきていた。年齢は五十代から六十代といったところかな。背中には武器がびっしり積み込まれた籠が背負われていた。
「徳さんありがとうございます」
「いいってことさ。さぁダンジョンに行くなら武器は必要だろう。この中から好きなの選ぶといいさ」
大きな籠を地面に下ろしてから徳と呼ばれていた男性が言った。この中から武器をか――て、ちょっと待て。この籠一体何キロあるんだよ。
しかもそんな籠を一人で背負ってくるって、見た目にはそこまでのパワーがなさそうなのにすごいな。
「むぅ! これを一人で持ってきたんか。その筋肉――感服したぞ!」
いつの間にか中山が籠の前にいて持ち上げようとして驚いていた。やはりかなりの重さだったんだな。
「ははは、君はすごい筋肉だねぇ」
「うむ! トレーニングは欠かしてないからな! プロティンだって常備している!」
「それはそれは大したもんだ」
中山の語りを聞きつつ笑顔で対応する徳。物腰が柔らかい人だな。
「では最初の五人を決めます」
言って香川が最初に探索に入る五人の名前を口にした。呼ばれた五人が武器を選び香川と一緒にダンジョンに入っていく。
「それにしてもこんなポッカリ穴が空いたダンジョンもあるんだな」
「ワン」
「ピキィ~」
「マァ~」
香川たちが入った後のダンジョンを見つつ感想を言った。モコ、ラム、マールも興味津々といった様子でダンジョンを覗き込んでいる。
「これは直下型ダンジョンだね。ダンジョンのタイプとしては洞穴のように出来る事が多いのだけど、こんな感じでぽっかり穴が開くパターンもあるのだよ」
俺の疑問に徳が答えてくれた。洞穴タイプというと俺が皆と暮らしているダンジョンがまさにそれだな。
「それ以外も急に城や神殿が出来たり塔が出来るパターンもあるね。こっちは結構レアなんだけどねぇ」
突如生まれた建造物がダンジョンになるパターンか。急に見たこともない建物が出来ればかなり目立つだろうな。
「直下型ダンジョンは結構危ないのが難点だよねぇ。急に穴が出来るわけだし可能性は低いとは言えねぇ」
徳がこの直下型ダンジョンの欠点を口にした。確かに突然穴ができるとなるとその時に人がいたら危ないな。勿論徳の言うように、たまたま生まれたダンジョンに人が落ちる可能性なんて相当低いんだろうけど――
香川からはそんな説明を受けた。さっきの試合もそうだったけどあの於呂がいなくなった分、一人足りなくなるようだ。
「今回はダンジョンの攻略を終わらせるのが目的ですか?」
なんとなく俺はそんな質問をしていた。難易度が低いと言っていたけど、ダンジョン攻略となればそれなりに時間が掛かりそうだし気になったのだ。
「一組あたりに制限時間を設けますので攻略は必須ではありません。それぞれの探索時間は一時間程度を予定してます」
なるほど。ダンジョン探索は全部で四組で行うから大体四時間で終わる感じか。
「おっとここだねぇ。はい持ってきたよ」
それなりに年齢が言ってそうな声を背に受けた。振り返ると左右に飛び出たような灰色髪の男性がやってきていた。年齢は五十代から六十代といったところかな。背中には武器がびっしり積み込まれた籠が背負われていた。
「徳さんありがとうございます」
「いいってことさ。さぁダンジョンに行くなら武器は必要だろう。この中から好きなの選ぶといいさ」
大きな籠を地面に下ろしてから徳と呼ばれていた男性が言った。この中から武器をか――て、ちょっと待て。この籠一体何キロあるんだよ。
しかもそんな籠を一人で背負ってくるって、見た目にはそこまでのパワーがなさそうなのにすごいな。
「むぅ! これを一人で持ってきたんか。その筋肉――感服したぞ!」
いつの間にか中山が籠の前にいて持ち上げようとして驚いていた。やはりかなりの重さだったんだな。
「ははは、君はすごい筋肉だねぇ」
「うむ! トレーニングは欠かしてないからな! プロティンだって常備している!」
「それはそれは大したもんだ」
中山の語りを聞きつつ笑顔で対応する徳。物腰が柔らかい人だな。
「では最初の五人を決めます」
言って香川が最初に探索に入る五人の名前を口にした。呼ばれた五人が武器を選び香川と一緒にダンジョンに入っていく。
「それにしてもこんなポッカリ穴が空いたダンジョンもあるんだな」
「ワン」
「ピキィ~」
「マァ~」
香川たちが入った後のダンジョンを見つつ感想を言った。モコ、ラム、マールも興味津々といった様子でダンジョンを覗き込んでいる。
「これは直下型ダンジョンだね。ダンジョンのタイプとしては洞穴のように出来る事が多いのだけど、こんな感じでぽっかり穴が開くパターンもあるのだよ」
俺の疑問に徳が答えてくれた。洞穴タイプというと俺が皆と暮らしているダンジョンがまさにそれだな。
「それ以外も急に城や神殿が出来たり塔が出来るパターンもあるね。こっちは結構レアなんだけどねぇ」
突如生まれた建造物がダンジョンになるパターンか。急に見たこともない建物が出来ればかなり目立つだろうな。
「直下型ダンジョンは結構危ないのが難点だよねぇ。急に穴が出来るわけだし可能性は低いとは言えねぇ」
徳がこの直下型ダンジョンの欠点を口にした。確かに突然穴ができるとなるとその時に人がいたら危ないな。勿論徳の言うように、たまたま生まれたダンジョンに人が落ちる可能性なんて相当低いんだろうけど――
238
あなたにおすすめの小説
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました
まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。
ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。
変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。
その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。
恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる