現在の政略結婚

詩織

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近くなれた気がした

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ハッと気がつくと、いつの間にか寝ていた。


少し笑いのある映画だったので、はじめのうちは笑ってたけど、いつの間にか寝ていた。

ソファで寝ていてブランケットが掛けられていた。

あっ、類さん?

と、少しキョロキョロみると、ベランダに居た。

「すいません。映画観ようと言っといていつの間にか寝てしまって」

「あ、起きた?」

と言って振り向いて

「いや、俺の看病ずっとしてくれたし、疲れたんだろう。ごめんね」

「いえ、そんなことは…」

「梨衣子ちゃんのお陰で元気になったし、ずっと近くに居てくれたので心細くもなかった。」

「少しでもお役に立てたらなら」


なんとなくだけど、少しだけ類さんを近く感じることが出来た。

だからって、恋愛感情とかはお互いないと思う。



「類さん、夕飯はお鍋にしたいんてんすが、栄養あるものいっぱい入れたいんで」

「ありがとう」

類さんは、笑顔で言った。

「あ、あと…」

「ん?」

「類さんが自宅にいるときは、ご飯作らせてください。」

「えっ?」

「私、ここに住ませてもらって、家賃とかも光熱費とかも全て類さんがお支払いしてて、何もしてないですから、このくらいはさせて欲しいんです」

「いや、気にしないで」

「いえ、でもあの、お仕事や約束とかで外食される時とかは別に構いませんが、1人でご飯食べて帰ってくるとかそういう時だけ…、あっでも嫌でしたら別に…」

「いや、ありがたいよ」

「今までただ住んでるだけで何もせずすいませんでした」

今考えると、ここに住むのはいいとして、何も私はしてなかった。

家賃も光熱費も全部払って貰ってて、夫婦ならそれもありだけど、私達は夫婦ではあるけど、本当の夫婦でないんだし、やっぱりただでいるってのも前から少しは気になっていた。

「じゃ、お願いするかな」

「はい!あの、煙たくない程度にしますので」

と言うと

「なにそれ?」

と、言って笑われた。

だって、恋人とかいるのに入り込みなくないし、そこは距離取ってて意味だったんだけどな。

「鍋は、一緒に用意しよう」

「えっ?でも…」

「少しは何かさせてよ!いくら安静と言ったて、そのくらいは出来るでしょう」

夕方になり、二人で夕食の準備をはじめた。

昨日までなら考えられなかった出来事だ。

まさか、類さんとキッチンを使って夕飯の準備するなんて…

「梨衣子ちゃん」

と言って、ビールをお酌しようとしている。

「えっ?」

「色々ありがとう!お疲れ様。あっ、俺は今日は飲まないよ。梨衣子ちゃんに」

せっかくお酌しようと持ってくれてるので、ありがたく頂くことにした。

「すいません」

「なんか、俺が病気になったことでほぼ1日一緒にいたね!」

「そうですね」

「梨衣子ちゃんのこと少し知れて良かったかも」

「えっ?」

まぁ、同居人としてってことだろう。深い意味はないんだろうけど

「明日もお休みですが、無理なくですよ」

「わかった」

二人で鍋を突っついて、少しだけ話せるようになった。



その後、お互い別々でお風呂に入り、自室に入った。


そして、ベッドに入ったとき

…なんだろ?

なんか、寂しい。

昨日までが、色々あったからかな。

やっぱり、なにか、寂しかった。

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