一目惚れ、そして…

詩織

文字の大きさ
3 / 4

しおりを挟む
俺は成川誠志。

1回目の結婚は職場恋愛で結婚した。結婚3年目で離婚。理由は俗に言う性格の不一致。意見考えが合わず衝突することが多くなって喧嘩が増えていた。お互い若かったこともあり、もう少しお互い歳をとって出会ってれば上手く行ったかも?とも思っている。

それから10年、恋人は数人いたが結婚までには至らずよく小さい店だがよく飲みに行くお店常連店のマスターがお見合いを進められた。はじめは乗り気でなかったが、ずっと一人もなって思い見合いをした。

その人が2回目の結婚相手、豊島汐華。未婚で子供がいるとは聞いている。

俺は思っている以上に彼女を気に入ってしまった。

そして子供に会うと、事前には聞いていたがアメリカ人とのハーフ。なるほど、本当に日本人離れした顔だ。

初めは人見知りをしてたけどすぐに懐いてくれて、子供と会うのと楽しくなっていた。

そして俺は彼女と結婚。


そしてその結婚生活は終止符をうった。

汐華が癌で亡くなった。52歳と若い生涯だった。

俺には悠也と茉莉花という子供がいる。二人共俺の子だ。

だが…

俺の父は養子として成川家に入ったと言っていて、本当の両親を知らない。父は今でも本当の両親を知りたいと思ってるようだ。

悠也ももしかして…

俺がそう思い、汐華に聞いたことがある。

「なぁ汐華、もし、もしな。悠也が本当の父親を知りたいと聞かれたら俺は…」

入院中の病室でそれを言うとビックリしていた。

「いや、俺の親父が養子だと言ったことがあると思うんだが今でも本当の両親に会いたいと思ってるようなんだ。あまり口には出さないがな」

「…そっか」

汐華はそういって

「あまり聞いたことはないが、もしよかったら…」

俺は今まで悠也の父親のことを聞こうとは思わなかったが、でももしこの先悠也が望んだら?そう思った。

「…わかった。話す」

そう言って、汐華は悠也の父親のことを話しだした。



「…あ、あの、アイデーケーのか?」

「…うん」

まさか、そんな…

あのアイデーケーのCEOと?

そして、以前プロテニスプレーヤーだった郷山ジュランと会ったことがあったが、何か歯切れが悪いというか、何かあったのか?と思ったことがあったが、そういうことだっのか…

キアリー・サランは悠也のことは知らないという。

その後、汐華はキアリーのことを調べもしなかっし、別々の道の人なんだと思っていたようだった。

茉莉花は中学生になる前に母親を亡くしたので、うちの母がよくうちに来てくれてた。

子供達が成長し、悠也も大学生になり成人になった。

大学も本格的にテニスをやり、全国大会行くまでのレベルまでは行っている。だがプロとなると道は狭い。

本人も色々考えてるようだ。

大学も寮には住んでるがよく家には帰ってきてくれてる。それは茉莉花のこともあるのこもだが

「どうした?」

「…」

悠也がリビングでぼーとしてるのがわかった。

「俺ってさ…」

悠也は少し言葉を発し

「いや、何でもない」

そう言って2階の自室に行った。

多分、いや、きっと…

俺はその時に悠也もきっとまた…、自分の父親を知りたいんだと察した。

その後俺はネットで調べ、あるHPにたどり着き、そこの問い合わせにメールをした。






== 悠也視点 ==


別に不満があるわけじゃない。

欲を言えば母にはもっと長生きしてほしかった。

父は悪いことをすればしっかり叱り、俺のために色々してくれてる。そして今後俺はプロに行こうか、それとも…と悩んでる俺を応援してくれてる。

父は俺の父。

けど、俺はハーフ。

アメリカ人との間に生まれた子だということは知っているがそれ以外は知らない。

本当の父のことを知ってみたいと最近になって思ってる。

けど、育ててもらった父にそんなこと言えないし

自分で少し形跡を調べてみたが、さっぱり解らなかった。

こんなことなら、生前母に聞くべきだったな。

自分で言うのもなんだが、日本人離れした容姿にモテる分類には入ると思う。告白されたりとかよくあった。

付き合ったことも勿論ある。

でも…、こんな容姿なんだから父親ってどんな人なんだろ?とも気になっていた。

「ここ解らないんだけど」

妹の宿題をみてるが…

やべー、中学生の勉強が…

こんな難しかったか!?

「…お兄ちゃん、わからないとか!?」

「…いや、忘れてるだけだ。すぐ思い出す」

本当にマジで解らねぇー

「と、とりあず、ちと休憩だな」

と言って逃げるようにリビングに移動し、飲み物をとった。

あんなの、わかるかよ!

口には出さないけど、ブツブツと言いたくなる。

「…悠也」

振り向くと父さんが立っていた。

さっき仕事から帰ってきたばかりでまだスーツ姿だった。

「話がある」

「ん?」

二人でソファに座り

「…お前、父親に会いたくないか?」

「…えっ?」

「本当は会ってみたいんじゃないか?」

「…父さん?」

「俺に気を遣うな」

「…」

「…母さんが話そうとしなかったので、俺も知らなかった。でもな、もし今後悠也が会いたくなるかもしれないから亡くなる少し前に母さんから聞いといた」

そういって、紙を渡された。

「もし、悠也が会いたくなったらここに電話しなさい。話しは通してある」

「…父さん」

「お前には知る権利はあるよ」

そういって、父はリビングから居なくなった。

感謝してもしきれない父。

いつも俺のことを考えてくれて、俺の気持ちも解ってくれて…

数日して俺はここに書いてある電話に掛けた。

「…はい」

男性の声が聞こえる。

「あの…」

「どちら様ですか?」

「えっと、成川悠也と言います」

「えっ!?」

凄いびっくりした声になり

「そうですか。悠也君ですか」

「あ、あの…、こんな言い方は失礼ですが、どなたでしょうか?」

この人が父親?

「あっ、お父様から聞いてないんですね。失礼しました。私は郷 山ジュランと言います」

はっ!?

郷山ジュラン!?嘘だろ?

「貴方の父親をよく知る者です」

なんで郷山ジュランが!?

1度会いたいとうことで、別日に、会う約束をした。

ある有名なホテルのロビー。

奥のカフェで待っていると

「悠也君ですか?」

振り向くと、憧れの郷山ジュランがいた。

「は、はじめまして」

と頭を下げると

「あのときの子が…」

驚いた顔をして

「とりあえず行きましょう」

エレベーターで最上階に移動し、部屋に案内され

「ここでゆっくり話しましょう」

スマートでかっこいいな。

「悠也君はずっとテニスしてたんだって?」

「あっ、はい」

「今学生?」

「大学生です。」

「そうですか。豊島さん…お母さんが亡くなったのはお父さんから伺いました。なんといったらいいのか…」

やっぱり母と知り合いだったのか。

「…僕の知ってること…」

大きなスイートルーム。

そこに俺と郷山ジュランがいて、そして

「悠也君のお父さんに少し前にね、HPから問い合わせがきてね、豊島汐華の夫です。ぜひお願いがあると…」

「君が父親を知り合い時、助けて欲しいと言われました」

「…父が?」

「いいお父さんですね」

「…はい」

「君の父親はキアリー・サランといいます」

キアリー・サラン?どっかで…

「アイデーケーのCEOをしてます」

ああっ!!?

そうだ!腕時計の会社の…


2人の出会いを少しずつ話し始め

「キアリーはあらゆる手をして日本に戻ろうとした。けど…、キアリーからあらゆる連絡手段を遮断され、父親は先手先手で阻止をされ、結局豊島さんと会うことが出来なかった」

「…」

「すぐに、本当にすぐに日本に帰る予定だったんだろう…、俺も当時はスタッフとして働いてたキアリーを待っていた。」

「母は…そのことは」

横に首をふる。



そうだったのか…

母はそれを知らないで逝ってしまったのか。

「キアリーが自由になれたのは、それから5年以上の歳月がたっていた。キアリーはその時、豊島さんの幸せを願うと言っていた。多分調べて結婚したことを知ってたのかもしれない」

「…」

「悠也君、キアリーに会いたいですか?」

「…」

躊躇したが

「はい!」

と答えた。

「…解りました。少しお待ち下さい」

そういって電話をした。

まもなくして、呼び鈴がなり

ジュランさんがドアを開けると

「ありがとう」

と、ジュランさんに向かって挨拶して部屋に入る男性がいる。

そして

「君が…」

俺をみて言葉を失った顔になり

「抱き締めていいですか?」

そういって近づいてくる。

「会ってくれてありがとう」

ギュッと抱き締められて、泣いてるようにも見えた。

この人がキアリー・サラン。俺の父親なんだ。

俺の顔に似てる部分がある。

なんとなく他人な気がしない。

そして顔をじっとみて

「君のお父さん、お母さんになんと感謝していいか…、こんなに立派な…」

じっと顔を見られて

「俺は君の存在をずっと知らなかった。知らないで生きていた。もっと早く知ってれば」

「キアリー…」

肩をポンポンとジュランに叩かれる。

少しして落ち着き、3人でリビングに座り、俺の生い立ちを色々聞かれた。

「そうか…、汐華にも苦労させたんだな。」

悔しそうにしてる。

「汐華は私に婚約者がいたから諦めるしかなかったと言ってたようだが、確かに婚約者はいたが親の決めた婚約者だからね、破談になるには時間がかからなかったよ」

そして今もずっと独身だという。

「お父さんにもお礼が言いたい。こんな機会を作ってくれたお父さんに…」


そして後日、キアリー・サランは父と妹と俺を家に招待した。

日本に居る時に住むと言って居た家だが、都内の一等地。とても一般人に手が届く場所ではなかった。

出迎えの車にのって家に行くと、庭だけでもかなりの大きさ。玄関につき、入り口にキアリー・サランがいた。

「この度はお招きありがとうございます」

「成川さんですね?はじめましてキアリー・サランです」

握手をして挨拶をする。

「茉莉花さんですね?はじめまして」

そういって妹にも深く挨拶をする。

家の中に招待され、ダイニングには既に料理があった。

「たいしたおもてなしは出来ませんが、くつろぎながらお召し上がりください」

そういってくれたので

「折角だから、頂こう」

と、小さな声で父が俺達に言った。

「成川さん、本当になんと感謝したらいいか…、ありがとうございます」

「いえ、息子が会いたいのは解ってたにで少しだけ手助けしただけです。あとは本人の意思です」

「本当に…」

「妻から1度だけ聞いたことがありますが、それは妻側の話です。キアリーさんも色々あったと伺いました。」

「当時、父の会社は危機的な状態でした。無理にでも帰ってきて貰おうという作戦だったということを帰国して知って、なんとか理解をとも思いましたが日本に戻ることを許されませんでした。それどころかほぼ監視状態で逃げることも電話することも出来ませんでした。」

「そうでしたか…」

「私自身が自由に連絡出来た時は、既に結婚されてると知りまして…、時間がたちすぎましたからね…」

悲しそうな顔をして

「でも、悠也君をみて今は感謝の言葉しかありません。」

「私にとって悠也は我が子です。ですが…キアリーさんも悠也も会いたいときはこれからも会ってください」

「ありがとうございます」

父の寛大さに心が打たれる。

俺のことを考えてそう言ってくれたんだと

「汐華は、本当にいい人と出会ったんだねー」

キアリーさんが涙ぐんでいた。

その後、キアリーさんとはたまに会うようになり、父の了解をもらって2人で母の墓参りにきた。

「汐華…」

辛そうな顔をして、ぐっと堪えてる。

「ありがとう。汐華」

それだけ言うとずっと手を合わせていた。


俺はプロの道はあきらめた。

だが、それは決して後ろ向きな考えでなくもっと前向きな考えで

世の中にスポーツをしたくっても出来ない人たちのサポートをしたいと思い、リハビリインストラクターになるため大学卒業後、また専門の学校に入学し、ジュランさんの近くでも勉強させてもらってる。





ありがとう



一瞬母の声が聞こえた気がした。

俺は今とても充実している。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最愛の彼

詩織
恋愛
部長の愛人がバレてた。 彼の言うとおりに従ってるうちに私の中で気持ちが揺れ動く

元恋人と、今日から同僚です

紗和木 りん
恋愛
女性向けライフスタイル誌・編集部で働く結城真帆(29)。 仕事一筋で生きてきた彼女の前に、ある日突然、五年前に別れた元恋人が現れた。 「今日から、この部署に配属になった」 そう告げたのは、穏やかで理性的な朝倉。 かつて、将来や価値観のすれ違いから別れた相手だ。 仕事として割り切ろうと距離を取る真帆だったが、過去の別れが誤解と説明不足によるものだったことが少しずつ見えてくる。 恋愛から逃げてきた女と、想いを言葉にできなかった男。 仕事も感情も投げ出さず、逃げずに選び直した先にあるのは「やり直し」ではなく……。 元恋人と同僚になった二人。 仕事から始まる新しい恋の物語。

least common multiple

優未
恋愛
高校卒業から10年を記念した同窓会に参加した詩織。一緒に参加予定だった友人の欠席により1人で過ごしていると、高校時代の人気者である久田に声をかけられて―――。マイペースな頑固者と本命には及び腰の人気者のお話。

幸せ運び

詩織
恋愛
ブライダルコーディネーターを初めて7年。 人の幸せをいつも見送っている。 そんな私にも幸せが…ない!! 自分の幸せはいつになるんだろ…

逢いたくて逢えない先に...

詩織
恋愛
逢いたくて逢えない。 遠距離恋愛は覚悟してたけど、やっぱり寂しい。 そこ先に待ってたものは…

涼子

詩織
恋愛
私の名前は涼子。高校3年生。 同じクラスには全く同じ字の涼子がいる。 もう1人の涼子は美人で成績優秀、みんなからの人気もの 彼女も私も同じ人を好きになってしまい…

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

年下幼馴染皇太子が溺愛してくる

由香
恋愛
平民薬師アリアと幼馴染の少年・レオン。 再会した彼は、幼い頃の泣き虫ではなく、世界で最も強く、甘く独占欲に満ちた皇太子になっていた。 「アリア、もう離さない」――身分差を超えた初恋が、宮廷で激しく、甘く、そして切なく燃え上がる。 逃げても逃げられない、溺愛ラブストーリー。

処理中です...