一目惚れ、そして…

詩織

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番外編

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そんな…、いいのか!?

「本当にいいのか?俺が」

「もちろん。父さんも是非と言ってるので」

うそだろ!?

俺が息子の結婚式に招待されてる。

俺はキアリー・サラン。

息子と言っても6年前まで自分に息子もいたことを知らなかった。

育ての父成川さんもいるし、俺は悠也と血が繋がってるとはいえども、悠也の父親と全面的に出すことはしてなかった。

そんな悠也も結婚をする。歳も28だし、おかしくはない。

そりゃ、結婚するならお祝いはしたいと思うが…

「本当にいいのか?」

と、言うと

「そんな、何度も言わなくても…大丈夫だよ」

悠也は笑顔で答えた。

うちの会社は今では医療、電化製品まで手掛けてる。

今度はマレーシアに進出しようとしている。

日本もずっといるわけじゃない。

だが…

「スケジュールの調整を頼む」

悠也と別れたあと、アメリカにいる秘書に結婚式前後は日本にいるように調整の電話をした。

俺はあのとき、全てを捨ててこの監獄生活から出て汐華の元にに戻ろうと日々隙をみて模索していた。

が、危機状態で苦しんでる社員たち。家族のために必死にやってる彼らをみて結局彼らを捨てて汐華のところに戻ることをあきらめてしまった。

「汐華、ごめん!」

何度も何度も届かない謝罪をしていた。

結婚もせず、全てを仕事に費やしてやって来た。

親も今でも恨んでる。

会社として再建はしたが、父のやり方と合わず、今は会長とはなっているが、事実上主導権は全くない。



式は教会式。

悠也の奥さんは同じ年と聞いてる。

ずっと知らないで自分の子が育ってて、そして今家庭をもつ。

不思議な気分だ。

その後披露宴の会場に移動すると

「えっ!?」

「キアちゃんは、親族だからこっち!こっち!」

始めこそ人見知りの茉莉花ちゃんだったが、慣れたらキアちゃんと言われるようになっていた。

席に座ると隣には

「汐華の兄です」

そういって挨拶をされた。

そういえば、口うるさい兄がいると言ってったっけ?

そういわれて

「はじめまして」

挨拶をすると

「誠志君から聞いてます。…汐華ならきっと解ってくれると思いますよ」

!?

「…誠志君と悠也が身内として招待したなら俺はそれを受け入れます。」

そういって笑みわみせるお兄さん。

やっぱりどこか面影がある。

式が始まる前に成川さんのご両親と汐華のご両親に挨拶をした。

勿論事情は知ってるだろう。

それでもなにも言わず微笑みながら接してくれた。

成川さん、汐華の家族にも本当に感謝がしきれない。

披露宴がはじまり、生い立ちをなどを紹介。

そっか、悠也は鎌倉で生まれたのか。

鎌倉は俺達が気に入ってた飲食店があって、一時期は毎週末いっていた。

思いでの場所で出産したという一言に心が突き刺さる。

その後、成川さんと家族になり時には厳しく、そして優しく我が子の同然育てられたと語られた。

 汐華とは1年しか付き合ってないのに、それなのに俺にはたくさんのものをくれた。



「汐華はここのエビドリア好きだよね。毎回食べてるじゃん」

「キアリーだって、ハンバーグばっかりじゃん!」

お気に入りの2人のお店。

そして大体おなじものを頼む。

「私この街好きなんだ。いつかここに住みたいな」

「じゃあ、一緒に住もう」

「えっ!?」

「一緒に住んで今以上にここの常連になろう」

そういうと汐華は笑って

「毎日きそうだねー」



2人で鎌倉に住もうなんて話もしたな。

そして…


「大丈夫、すぐ戻るから」

「で、でも…」

「どうしたの?」

「うーん、わからないけど、もう会えない気 がして」

俺は笑って

「何言ってるんだよ、父の様子みたらすぐ帰ってくるよ」

「…うん」

「毎日電話もするし」

「…うん」

「戻ったら、鎌倉の店の近くの新居探そう」

「うん」

「そして、ずっと一緒に住もう」

「えっ!?」

汐華はびっくりした顔をして

「ちゃんと言うのは帰ってきてたらにするよ」

「うん!」



俺はアメリカに行く前に、プロポーズするような言い方をした。

実際にするつもりで居たし、忘れられないプロポーズをしようと計画していた。




「では、最後に新郎新婦からご両親に花束の贈呈です」

ご両親がたってお母さんに花束をお父さんに胸ポケットに花をさした。

周りが拍手をし、披露宴も終わろうとしてたとき

「すいません」

と、悠也が言う。

「僕にはもう一人父がいます。その父にも感謝の贈呈たいのですが」

と言うと周りは拍手をした。

…それって、もしかして…

「キアちゃんだよ!早くいって」

隣のテーブルから茉莉花ちゃんが言う。

ちょっと待ってくれ!俺は父として何も…

「待ってるから早く」

汐華のお兄さんに託されて立たされた。

そして、こっちだと悠也が手招きする。

俺はそっちに向かって歩くが、正直者怖かった。

そして、成川さんの隣にきて

「私がここに居ていいのか…」

「いいんですよ」

成川さんはそう言う。

「面等向かって言ったことないけど、お父さん、これからもよろしくお願いします」

と、悠也が言う。

「お義父さん、これからもよろしくお願いします」

そういって花嫁さんから、胸ポケットに花をさしてくれた。



涙が溢れだし顔を覆った。言葉が出ない。

成川さんが背中をポンポンと叩いてくれる。

それを見て皆が拍手をした。



汐華、本当にありがとう!

君のおかげで俺は今幸せだよ!


「キアリーとは離れてても一緒なんだよね」

空港で送ってくれたとき、その一言が頭をよぎる。

俺はかけがえのない人を愛することが出来た。

本当にありがとう
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