逢いたくて逢えない先に...

詩織

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曖昧な私

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私は省吾君と呼んで、省吾君は遥さんと呼んでくれてる。

私からしたら弟みたいな存在になり、彼と話すのは楽しみの1つになってきてた。

会社では

「部長、こちら判子お願いします。」

営業部の誠也に判子を貰いに行く私。

向こうもぎこちなく判子を押す。

お互い顔もみない。

やっぱ仕事やめようかなぁ...


「嫌なら辞めればいいけど、遥さんは何も悪い事してないんだから」

「そうなんだけどね」

「好きとかそういうのないの?」

「う~ん」

よくわらない。

自分を捨てて、幹部になりたいがために結婚するわけだし、そういうのが目の前にあれば欲もでるかもしれない。

捨てられた時はそんなことも考えらなかったが、30近くもなると将来的に有利な方と結婚したくなるのも間違ってはいないのかも。

そんなことを省吾君にいったら

「え?それって好きとかそういう感情よりも出世優先ってこと?」

「まぁ実際それで捨てられた訳だし」

「それは、そんな男選んだ遥さんが悪い!世の中そういう奴ばかりでない」

そう言い切られた。

そろそろ29歳になる。

結局男に捨てられ、仕事にも何も目標がもてない。



「遥さん、俺と付き合ってみない?」

「は?」

省吾君と知り合って3か月過ぎたころ、急にそんなこと言われたのでびっくりした。

「何?年上の女が一人寂しくいるので同情でも?」

「同情で付き合うほど心広くないよ、俺」

「確か、省吾君とは4歳近く下じゃない?無理して年上と付き合わなくったって、省吾君ならかわいい子いるんじゃない?」

「遥さんくらいですよ、そういう社長の息子だからとかそういうの知ってても気兼ねなく話せるの」

大きくない会社とか言ってなかったっけ?

「なんか、俺に取り入ろうとして色々するのとかいるとうんざりする」

「それって、よっぽど大きな会社ってこと?」

じゃなきゃそんなことしないんじゃない?

「俺は大きいとは思ってないけど、そう思ってる人もいるんじゃない?あんまそういうの興味ないけど」

興味ないって...、今後会社背負うじゃないっけ?

「あのさ、省吾君の会社名って聞いたらダメ?」

「いや、別にいいけど」

そして省吾君の口から

「IY商事」

「え?」

えええええ?

それって...

「知ってる?」

知ってるも何も

「親会社じゃん!」

ってか、一部上場の世界まで支店ある大学でも努めたい会社の上位にいつもあって、そりゃもう...大手中の大手でしょう。

「そなの?」

と、さっぱりした口調で言う省吾君

何?その親会社の社長の息子を省吾君とか言っちゃってるの?私。

大丈夫なのか?

ちょっと待って!その前に付き合わない?とか言われてなかった。

「あ、ありえない」

「え?」

「だって、そんな親会社の社長の息子さんと付き合うとか、やばいでしょう!」

「なんで?」

なんでって...

そういう人は、どっかのいいところのお嬢さんと

「わ、わたしみたいな平凡な年上の女と付き合っても省吾君のプラスになんか」

「俺が誰と付き合おうと俺が決めるんじゃないの?」

「そりゃそうだけど」

「俺が遥さんと付き合いたい」

でも、この先結婚だとかなんかあったら間違えなく捨てられるし

「同じこと嫌なの」

捨てられるの嫌だ。


その後は無言になってしまった。
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