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✱番外編✱パティシエールと王子様
#3
しおりを挟むあんまりがっかりしてしまっていたせいか、そういうのが態度にというか、表情に表れていたのかもしれない。
おそらく、いいや、絶対に。
うっかり者の私のことだから、そうだったに違いない。
黙りこくってしまった私の耳に、「ふっ」と小さな笑みを零した創さんに、
「もしかして、がっかりしてるのか?」
見事に言い当てられてしまったのだから、そうだったのだろう。
「////……ッ!?」
図星をつかれ、再び真っ赤かに赤面した顔を隠したくとも、創さんにスッポリと包み込まれているせいで、顔をそうっと背後から覗かれても、逃げ場もない。
ただでさえこの至近距離にドキドキしてるっていうのに、これ以上何かされたら心臓が止まっちゃいそうだ。
それを察してか、すぐに覗くのをやめてくれた創さんに、今度はもっと強い力で抱き寄せられていた。
すると、ピッタリと背中にくっついている創さんの胸からも忙しない鼓動の振動が伝わってきて。
ーー私だけが緊張していて、余裕がない訳じゃないんだ。
自分と同じように創さんもドキドキしていることが窺えて、安堵したのか少し羞恥と緊張感が和らいだ気がする。
少しだけ余裕を取り戻した私の元に、再び創さんの優しい声音が届いて。
「菜々子は処女のクセに、妙に積極的なところがあったもんなぁ。俺だって、童貞だったんだから言えたことじゃないが」
初めてのあの夜のことを思い出しているのかクスッと笑みを零したようだったけれど、またすぐに穏やかな声音を響かせた。
「そういえば。これまでも、菜々子には驚かされてばかりだった気がする」
そんなことを言われても、思い当たることと言えば、うっかりやらかしたことしか浮かんではこなかったものだから。
「……色々とやらかしてしまいましたもんねぇ」
身を竦めて自嘲気味にそう返すことしかできない。
けれど、そういうことを言っているのではなかったようで、創さんによってすぐに打ち消されてしまうのだった。
「いや。俺が言いたいのは、そういうことじゃなくて」
その後に放たれた創さんの言葉がこれまた意外なものだったために、私は度肝を抜かれることとなる。
「こんなことを言ったら、菜々子に笑われてしまうかもしれないが。
子供の頃からカメ吉がいつも傍に居たせいか。どこかに行くにも、カメ吉が一緒じゃないと心細いような気がして、少しも落ち着けなくて。カメ吉をずっと手放せなかったのに。
どういうわけか、菜々子と一緒に居ると、すごく落ち着けるんだ。だから、その、うまく言葉で説明はできないが。
こうやって、菜々子の傍に居るだけで、充分満たされるから、この前みたいにエッチなことをしなくても平気だって言うことであって、菜々子に触れたくないとかそういうことじゃないから、誤解しないで欲しい」
勿論、そんなふうに想ってもらえたことにもそうだし。
不安な気持ちを察して先回りして不安要素をなくそうと、努めてくれようとしていることにも物凄く驚いたけれど。
それは元を辿ればきっと、私の傍に、幽霊となった愛梨さんの存在があったからなのだろうと思う。
それを創さんがカメ吉に憑依してたらしい愛梨さんのことをなんとなく感じ取っていたことになおさら驚いた。
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