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二日目③
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ハインツの号令を合図に午後の授業が始まった。
僕は教科書を出していなかったことに気が付いて慌てて机の中に手を伸ばす。
しかし、いくら探しても目当てのものは見当たらない。僕は昨日、準備をする時にしっかりと確認をしたから、そんなことはあり得るはずがなかった。
嫌な予感にじっとりと汗が滲んでくる。誰かが、僕のいない間に盗んだとしか思えなかった。
心臓の音がやけに煩くて、先生の話が耳に入ってこない。恐る恐る周りの人間を窺えば、誰も僕のことなど気にしていないようで、真っ直ぐ前を見ている。そのことに僕は少しほっとするも、問題は何一つ解決していない。
とりあえず、授業の間だけでも教科書をどうにかしなければならなかった。ハインツに声をかけたところで彼が困るだけだし、ミカイルなんて遠すぎてもっての他だ。
かくなる上は、隣の席の女子生徒に見せてもらうしかない────
昨日のきつく睨んだ顔を思い出すと声をかけるのも躊躇われるが、こうなった以上そんなことは言ってられなかった。たしか、タルテ先生にもらった座席表ではシーファ・テイリットさんという名前だったか。
「あの……テイリットさん……」
意を決して小さく名前を呼んだ。
しかし、彼女がこちらを向く気配はない。意図的に無視しているのか、それとも本当に気が付いていないのか、判断するのが難しい。
僕はテイリットさんが気付いていなかったことに賭けて、そっと肩を叩いた。
すると、彼女は高い位置で括ったツインテールを勢い良く揺らめかせて僕をキッと睨みつけてくる。元々つり目であろうその瞳の目尻がますます上がって、余計に恐ろしい。
「ちょっと!何をするの!?」
「あ、ごめん!話しかけても聞こえていないみたいだったから……」
「だからって、女性の体を触るのは無礼だわっ!」
「さ、触ってなんかないだろ!ちょっと触れただけで…」
「この減らず口が、うるさいわね!」
あまりにも過度な被害妄想に、思わず口答えをしてしまった。
僕の悪い癖だ。昨日のジークにも我慢できず言ってしまったというのに、また同じことを繰り返す気か。
大事なのは教科書を見せてもらうことなのだから、彼女の機嫌を損ねないよう、とりあえず下手に出ることにした。
「その、さっきは体に触れてしまってごめん……」
「………………」
「実は君に頼みたいことがあって……。もし良ければ、教科書を見せてほしいんだ」
テイリットさんは怒りが収まらないようで、僕の言葉を無視して前を向く。
そのまま押し黙ってしまうと、僕はその後なかなか話しかけることはできなかった。恐らく彼女も、もう僕に教科書を見せようという気持ちすらないだろう。
仕方なく諦めて授業に集中する。
最初の数分間は聞き逃してしまったため、部屋に帰ったらきちんと復習をしなければならなかった。ただでさえ皆より一年遅れて編入したのだから、こんなところで躓いている場合ではないのに。
教科書の行方も依然として分からないままだが、僕が持ってくるのを忘れただけならいい。帰ったらきっと、部屋にあるはずだ────そんなことを思いつつも心が晴れることはなかった。
ただひたすら悪いことを考えないよう、僕は黒板の内容をノートに書き込んでいただけだった。
帰りのHRも終わり、続々と皆教室から出ていく。
午後もまた、ミカイルのせいでハインツと話す時間ができなかった。
こちらにやってくるミカイルを恨みがましい目で見る。彼はただ不思議そうに首を傾げていただけだった。
「ユハ、そんなに僕を見てどうかしたの?」
「どうかも何もあるか。休憩時間になる度僕の所へ来るのはやめてくれって言っただろ。ミカイルのせいで余計に見られている気がするし、ハインツとも全然話せないんだ」
「…………へえ。そんなにハインツと話がしたいんだ」
「それはもちろん。せっかくできた友達だし、彼には少し聞きたいこともあって────」
「聞きたいことって何?僕でも答えられるかもしれないから教えてよ」
「…………お前には話したくない。そんなことより、最初に言ったいちいち僕の所に来ることについて────」
「……なにそれ、親友の僕にも言えないことなの」
気が付くとミカイルは、ゾッとする程の無表情で僕を見つめていた。無意識に、鳥肌が立った腕を擦る。
ハインツは先に帰ってしまったし、テイリットさんにいたっては、先生が出ていくのと同時にすぐいなくなった。だからきっと、僕達の会話など聞こえているはずがないのに、他のクラスメイト達は僕を非難するかのような視線を送っていた。
あまりにも多くのそれに、思わず僕はたじろぐ。
「ミカ、とりあえず教室から出ないか。話なら帰ってからしよう」
「…………そうやって誤魔化す気?」
「そんなことはしない。寮についたら絶対に話すから」
とにかく早く教室から出たくて、後のことはなにも考えず言葉を並べる。
ミカイルは渋々といった様子だったが、なんとか動く気になってくれたみたいだ。そのまま僕は逃げるようにミカイルの腕を引っ張ると、寮へと帰った。
「それで、早く教えてくれる?」
部屋に入って開口一番、ミカイルから告げられる。変わらない彼の表情に震えそうになりつつも、帰り道に考えた別の話をすり替えて言うことにした。
「…………教科書が、なくなったんだ」
「────えっ?」
ミカイルは無表情から一転して、驚いたように目を見開く。まさか彼もこんなことを言われるとは思っていなかったようだ。
僕だって本当はこのことを言うつもりはなかったが、代わりになるような話がこれしかなかった。
「……近くに座ってるハインツなら何か知っているかもしれないと思って、聞きたかったんだ。ミカの席は遠いから、どうせ聞いても分からないだろ?」
「それは、そうだけど……。もしかして、まだ見つかってないの?」
「机にはなかった。もしかしたら寮にあるかもしれないから、これから探すつもりだ」
「……!じゃあ今すぐ探そう。僕も手伝う」
ミカイルは急いで靴を脱ぎ、机に向かった。
僕もその後を追いかけるが、何とか誤魔化せたことにそっと息をつく。これならハインツに聞きたかった本当の話をせずに済みそうだ。
数分間、いろいろなところを探すも、結局教科書が見つかることはなかった。
やっぱり、誰かに盗られたとしか考えられない。
ミカイルも心なしか表情を暗くして、口を固く結んでいた。
「ユハ、明日からは僕のを使って」
「え?そうしたらミカのがなくなるだろ」
「僕は他のクラスの知り合いに借りるから大丈夫。ユハは気にしないで」
「……もしそれも失くなったらどうするんだ」
「僕が絶対に見つけるよ。もちろん、ユハのもね」
どこからそんな自信が湧いてくるのか、ミカイルは真っ直ぐ僕を見つめて微笑んでいた。少しもブレのない彼の視線に、本当に見つけてくれるのではないかと期待が顔を覗かせる。
本来であれば、ミカイルに助けを求めるのは僕の信条に反することだった。
けれども、今回は致し方ない。
複雑な胸中を抱きつつも、僕はミカイルの教科書を借りることにして、彼もまた僕の教科書を探してくれることになったのだった。
僕は教科書を出していなかったことに気が付いて慌てて机の中に手を伸ばす。
しかし、いくら探しても目当てのものは見当たらない。僕は昨日、準備をする時にしっかりと確認をしたから、そんなことはあり得るはずがなかった。
嫌な予感にじっとりと汗が滲んでくる。誰かが、僕のいない間に盗んだとしか思えなかった。
心臓の音がやけに煩くて、先生の話が耳に入ってこない。恐る恐る周りの人間を窺えば、誰も僕のことなど気にしていないようで、真っ直ぐ前を見ている。そのことに僕は少しほっとするも、問題は何一つ解決していない。
とりあえず、授業の間だけでも教科書をどうにかしなければならなかった。ハインツに声をかけたところで彼が困るだけだし、ミカイルなんて遠すぎてもっての他だ。
かくなる上は、隣の席の女子生徒に見せてもらうしかない────
昨日のきつく睨んだ顔を思い出すと声をかけるのも躊躇われるが、こうなった以上そんなことは言ってられなかった。たしか、タルテ先生にもらった座席表ではシーファ・テイリットさんという名前だったか。
「あの……テイリットさん……」
意を決して小さく名前を呼んだ。
しかし、彼女がこちらを向く気配はない。意図的に無視しているのか、それとも本当に気が付いていないのか、判断するのが難しい。
僕はテイリットさんが気付いていなかったことに賭けて、そっと肩を叩いた。
すると、彼女は高い位置で括ったツインテールを勢い良く揺らめかせて僕をキッと睨みつけてくる。元々つり目であろうその瞳の目尻がますます上がって、余計に恐ろしい。
「ちょっと!何をするの!?」
「あ、ごめん!話しかけても聞こえていないみたいだったから……」
「だからって、女性の体を触るのは無礼だわっ!」
「さ、触ってなんかないだろ!ちょっと触れただけで…」
「この減らず口が、うるさいわね!」
あまりにも過度な被害妄想に、思わず口答えをしてしまった。
僕の悪い癖だ。昨日のジークにも我慢できず言ってしまったというのに、また同じことを繰り返す気か。
大事なのは教科書を見せてもらうことなのだから、彼女の機嫌を損ねないよう、とりあえず下手に出ることにした。
「その、さっきは体に触れてしまってごめん……」
「………………」
「実は君に頼みたいことがあって……。もし良ければ、教科書を見せてほしいんだ」
テイリットさんは怒りが収まらないようで、僕の言葉を無視して前を向く。
そのまま押し黙ってしまうと、僕はその後なかなか話しかけることはできなかった。恐らく彼女も、もう僕に教科書を見せようという気持ちすらないだろう。
仕方なく諦めて授業に集中する。
最初の数分間は聞き逃してしまったため、部屋に帰ったらきちんと復習をしなければならなかった。ただでさえ皆より一年遅れて編入したのだから、こんなところで躓いている場合ではないのに。
教科書の行方も依然として分からないままだが、僕が持ってくるのを忘れただけならいい。帰ったらきっと、部屋にあるはずだ────そんなことを思いつつも心が晴れることはなかった。
ただひたすら悪いことを考えないよう、僕は黒板の内容をノートに書き込んでいただけだった。
帰りのHRも終わり、続々と皆教室から出ていく。
午後もまた、ミカイルのせいでハインツと話す時間ができなかった。
こちらにやってくるミカイルを恨みがましい目で見る。彼はただ不思議そうに首を傾げていただけだった。
「ユハ、そんなに僕を見てどうかしたの?」
「どうかも何もあるか。休憩時間になる度僕の所へ来るのはやめてくれって言っただろ。ミカイルのせいで余計に見られている気がするし、ハインツとも全然話せないんだ」
「…………へえ。そんなにハインツと話がしたいんだ」
「それはもちろん。せっかくできた友達だし、彼には少し聞きたいこともあって────」
「聞きたいことって何?僕でも答えられるかもしれないから教えてよ」
「…………お前には話したくない。そんなことより、最初に言ったいちいち僕の所に来ることについて────」
「……なにそれ、親友の僕にも言えないことなの」
気が付くとミカイルは、ゾッとする程の無表情で僕を見つめていた。無意識に、鳥肌が立った腕を擦る。
ハインツは先に帰ってしまったし、テイリットさんにいたっては、先生が出ていくのと同時にすぐいなくなった。だからきっと、僕達の会話など聞こえているはずがないのに、他のクラスメイト達は僕を非難するかのような視線を送っていた。
あまりにも多くのそれに、思わず僕はたじろぐ。
「ミカ、とりあえず教室から出ないか。話なら帰ってからしよう」
「…………そうやって誤魔化す気?」
「そんなことはしない。寮についたら絶対に話すから」
とにかく早く教室から出たくて、後のことはなにも考えず言葉を並べる。
ミカイルは渋々といった様子だったが、なんとか動く気になってくれたみたいだ。そのまま僕は逃げるようにミカイルの腕を引っ張ると、寮へと帰った。
「それで、早く教えてくれる?」
部屋に入って開口一番、ミカイルから告げられる。変わらない彼の表情に震えそうになりつつも、帰り道に考えた別の話をすり替えて言うことにした。
「…………教科書が、なくなったんだ」
「────えっ?」
ミカイルは無表情から一転して、驚いたように目を見開く。まさか彼もこんなことを言われるとは思っていなかったようだ。
僕だって本当はこのことを言うつもりはなかったが、代わりになるような話がこれしかなかった。
「……近くに座ってるハインツなら何か知っているかもしれないと思って、聞きたかったんだ。ミカの席は遠いから、どうせ聞いても分からないだろ?」
「それは、そうだけど……。もしかして、まだ見つかってないの?」
「机にはなかった。もしかしたら寮にあるかもしれないから、これから探すつもりだ」
「……!じゃあ今すぐ探そう。僕も手伝う」
ミカイルは急いで靴を脱ぎ、机に向かった。
僕もその後を追いかけるが、何とか誤魔化せたことにそっと息をつく。これならハインツに聞きたかった本当の話をせずに済みそうだ。
数分間、いろいろなところを探すも、結局教科書が見つかることはなかった。
やっぱり、誰かに盗られたとしか考えられない。
ミカイルも心なしか表情を暗くして、口を固く結んでいた。
「ユハ、明日からは僕のを使って」
「え?そうしたらミカのがなくなるだろ」
「僕は他のクラスの知り合いに借りるから大丈夫。ユハは気にしないで」
「……もしそれも失くなったらどうするんだ」
「僕が絶対に見つけるよ。もちろん、ユハのもね」
どこからそんな自信が湧いてくるのか、ミカイルは真っ直ぐ僕を見つめて微笑んでいた。少しもブレのない彼の視線に、本当に見つけてくれるのではないかと期待が顔を覗かせる。
本来であれば、ミカイルに助けを求めるのは僕の信条に反することだった。
けれども、今回は致し方ない。
複雑な胸中を抱きつつも、僕はミカイルの教科書を借りることにして、彼もまた僕の教科書を探してくれることになったのだった。
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