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新しい当主のお茶会
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午後の柔らかな陽ざしが部屋の中に静かに差し込んでいた。
窓際の丸いテーブルには、白い磁器のティーセットと、湯気の立つ紅茶。
一人の男と一人の女が向かい合って座り、それぞれのカップを手にしていた。
「結婚が決まったそうね。おめでとう、お相手はどんな方かしら?」
女が男に尋ねると、男はカップをソーサーに戻して口を開いた。
「没落貴族の末娘だ。こんな俺に嫁いでくれる女神のような女性だよ」
「そう……よかったわね。じゃあ、もう元婚約者への未練は断ち切れたのかしら?」
「…………いや、まだ完全には無理だな。忘れようとしてもふとした瞬間に後悔が襲ってくる。俺はどうしてあの時、彼女を姉から守ってやれなかったんだって……」
俯いたまま男は悲しそうに呟いた。
彼の肩はわずかに震え、指先が膝の上でぎゅっと握られ爪が皮膚に食い込む。
けれど、その痛みにすら気づいていないようだった。
「今更言っても仕方ないわよ。どれだけ後悔しても時間は戻らないわ。それより、貴方が昔の婚約者を想う気持ちを妻となる方に悟られては駄目よ。女は男が思うよりも遥かにそういうことに対して敏いわ」
「ああ、分かっている……。もう二度と女が悲しむ顔は見たくない。妻となる人だけを生涯大切にするさ」
女は「それがいいわ」と言って紅茶の入ったカップに口をつけた。
「ところで、君の妹はどうしている?」
「あら、わたくしに妹なんていないわ……。人の皮を被った化け物ならこの間まで邸にいたけれど……」
顔を顰めた女に男は「ああ、そういえばうちにも同じようなのがいたな」と呟く。
「なら、貴方の話も聞かせてちょうだいアレク……いえ、ダスター男爵」
「ああ、いいぞ。ゼット女男爵」
二人は互いに顔を見合わせてにんまりと笑った。
彼等は新たに当主となったダスター男爵とゼット女男爵……アリーの弟とメグの姉だ。
年の差はあるがこうして茶会をするくらいに親しい仲である。特にアレクは非常識な実の姉よりもずっとまともなメグの姉を昔から姉のように慕っていた。
姉のアリーが陰で婚約者に嫌がらせをしていたと知り、婚約破棄されたアレクを励まし慰めてくれたのがメグの姉だ。この人が姉であったらどんなに良かったか、とアレクは何度思ったか分からない。
「わたくしの家にいた化け物は、嫁ぎ先でも非常識で馬鹿なことばかりしているわ。ご夫君の容姿が好みじゃないからって、顔のいい男性使用人に言い寄っているそうよ」
「嫁ぎ先でそんな非常識なことを……? それはひどいな……」
「あの子はとにかく面食いなのよ。見目の良い男性にしか興味を示さないの。レイモンド卿のことも中身じゃなくて外見が好みだっただけなのよね……。なら、レイモンド卿の気持ちだって分かるでしょうに、それは一向に理解しなかったのよ。自分の顔を鏡で見たことがないのかしら……」
「ああ、レイモンド卿も結構な面食いだ。一度目の奥方も、二度目の奥方も美しかった。そして今の奥方はそれを上回るほどの美姫だ。君の妹も俺の姉もどうして美しい妻がいる男の愛人になれると思っていたのだろうな。身の程知らずにも程がある」
「ふふ、本当にね。それで既にご夫君からは愛想をつかされているそうよ。せっかく寝所に招かれたというのに、それも断ってご夫君に恥をかかせたそうだからね」
「断ったのか? 馬鹿だな。ただでさえ肩身が狭い立場なのに、夫の寵愛を断ったら更に立場が低くなると分からないものか?」
「客観的に己の立場を見ることが出来る子だったなら、そもそもこんなことにはなっていないでしょうよ」
それもそうだな、とアレクは微かに笑った。
「せっかく末席とはいえ妻扱いしてもらえるはずだったのに、夫を怒らせたせいで今は下働きに格下げされ、休む暇もないほど働かされているらしいわ」
そう言ったゼット女男爵は目を細めコロコロと笑う。
家に災難ばかりを振りまいた忌々しい妹。とんでもない罪を犯し、家族が連座で処刑されるかもしれないというのに謝罪の一つもなかった。血が繋がっているとはいえ、そんな人でなしがどう扱われようとちっとも心は痛まない。
「それで、そちらは?」
「こっちも同じようなものだ。夫からは見向きもされず、妻ではなく家政婦として働かされているそうだ。正妻から嫌がらせも受けているそうだ」
「あら、それはそれは……因果応報という言葉がぴったりね。嫌がらせをしていた側の人間が、今度は嫌がらせを受ける側になったと……。世の中上手く出来ているわね」
「そうだな。因果応報だと思うから全く心が痛まない。いい気味だとすら思うよ……」
二人の間にまた沈黙が流れる。だが不思議と気まずさはない。
互いに安堵したような顔でゆっくりとお茶のカップを傾けた。
「そういえば、姉上のもう一人の幼馴染の……名前は何だったかな、ほら、バルタ男爵家の……」
「パメラ嬢のこと? 彼女がどうかした?」
「ああ、そうそうパメラ嬢。母上から聞いた話だと、彼女も横領していたらしい。だが、あちらの家は何の動きもないんだ……」
「パメラ嬢も? そうなの?」
「家を出る前に姉上の口から聞いたらしいから間違いないと思う。しかも、姉上達をそそのかしたのはパメラ嬢の従妹だとか……」
「え? どうしてパメラ嬢の従妹がそんなことを……?」
「理由は分からない。姉上も馬鹿だから理由なんて考えず、唆されるままに罪を犯したようだ」
「……それはわたくしの元妹もそうでしょうね。パメラ嬢がメグやアリー嬢のようにどこかに嫁がされたとは聞いていないけど、バルタ家はフレン家の家臣の座を剥奪されたらしいわよ?」
「え!? そうなのか?」
「わたくしや貴方の家も剥奪されるところだったそうなのだけど、当主が代替わりしたから見逃してくださったようなの。でも、バルタ家の当主はそのままだし……わたくし達の父のように娘を野放しにしてフレン家に迷惑をかけているからって理由みたい。仕える家に迷惑をかけるような家臣なんていらないわよね」
「それはそうだな……。俺達の家も代替わりしていなければ家臣の座を返上するところだったのか。まあ確かに父上は先代には忠誠を誓っていたのに、レイモンド卿のことは見下していた。自分を見下す家臣なんていらないよな……」
自分の娘と同年代だからという馬鹿みたいな理由で仕える主人を見下していた父親達。
そんなのを召し抱えたいと思う者は少ないだろう。
「パメラ嬢も同罪ならば、近々何らかの動きがあるんじゃないかしら……。あのフレン伯爵夫人が見逃すとは思えないわ。その従妹とやらもね」
「それもそうだな。家臣の座を剥奪されたのならこちらがバルタ家と交流を続ける理由も無い。これを機に一切の交流を絶とうと思う」
アレクの言葉にゼット女男爵は「そうね、こちらもそうするわ」と頷く。
「これからはお互いにフレン家に忠誠を誓いましょう。特に、フレン伯爵夫人に」
「ああ、勿論だ。あの方には返しきれない恩がある」
互いに頷き合い、二人は改めてフレン家……いや、システィーナへの忠誠を誓うのだった。
窓際の丸いテーブルには、白い磁器のティーセットと、湯気の立つ紅茶。
一人の男と一人の女が向かい合って座り、それぞれのカップを手にしていた。
「結婚が決まったそうね。おめでとう、お相手はどんな方かしら?」
女が男に尋ねると、男はカップをソーサーに戻して口を開いた。
「没落貴族の末娘だ。こんな俺に嫁いでくれる女神のような女性だよ」
「そう……よかったわね。じゃあ、もう元婚約者への未練は断ち切れたのかしら?」
「…………いや、まだ完全には無理だな。忘れようとしてもふとした瞬間に後悔が襲ってくる。俺はどうしてあの時、彼女を姉から守ってやれなかったんだって……」
俯いたまま男は悲しそうに呟いた。
彼の肩はわずかに震え、指先が膝の上でぎゅっと握られ爪が皮膚に食い込む。
けれど、その痛みにすら気づいていないようだった。
「今更言っても仕方ないわよ。どれだけ後悔しても時間は戻らないわ。それより、貴方が昔の婚約者を想う気持ちを妻となる方に悟られては駄目よ。女は男が思うよりも遥かにそういうことに対して敏いわ」
「ああ、分かっている……。もう二度と女が悲しむ顔は見たくない。妻となる人だけを生涯大切にするさ」
女は「それがいいわ」と言って紅茶の入ったカップに口をつけた。
「ところで、君の妹はどうしている?」
「あら、わたくしに妹なんていないわ……。人の皮を被った化け物ならこの間まで邸にいたけれど……」
顔を顰めた女に男は「ああ、そういえばうちにも同じようなのがいたな」と呟く。
「なら、貴方の話も聞かせてちょうだいアレク……いえ、ダスター男爵」
「ああ、いいぞ。ゼット女男爵」
二人は互いに顔を見合わせてにんまりと笑った。
彼等は新たに当主となったダスター男爵とゼット女男爵……アリーの弟とメグの姉だ。
年の差はあるがこうして茶会をするくらいに親しい仲である。特にアレクは非常識な実の姉よりもずっとまともなメグの姉を昔から姉のように慕っていた。
姉のアリーが陰で婚約者に嫌がらせをしていたと知り、婚約破棄されたアレクを励まし慰めてくれたのがメグの姉だ。この人が姉であったらどんなに良かったか、とアレクは何度思ったか分からない。
「わたくしの家にいた化け物は、嫁ぎ先でも非常識で馬鹿なことばかりしているわ。ご夫君の容姿が好みじゃないからって、顔のいい男性使用人に言い寄っているそうよ」
「嫁ぎ先でそんな非常識なことを……? それはひどいな……」
「あの子はとにかく面食いなのよ。見目の良い男性にしか興味を示さないの。レイモンド卿のことも中身じゃなくて外見が好みだっただけなのよね……。なら、レイモンド卿の気持ちだって分かるでしょうに、それは一向に理解しなかったのよ。自分の顔を鏡で見たことがないのかしら……」
「ああ、レイモンド卿も結構な面食いだ。一度目の奥方も、二度目の奥方も美しかった。そして今の奥方はそれを上回るほどの美姫だ。君の妹も俺の姉もどうして美しい妻がいる男の愛人になれると思っていたのだろうな。身の程知らずにも程がある」
「ふふ、本当にね。それで既にご夫君からは愛想をつかされているそうよ。せっかく寝所に招かれたというのに、それも断ってご夫君に恥をかかせたそうだからね」
「断ったのか? 馬鹿だな。ただでさえ肩身が狭い立場なのに、夫の寵愛を断ったら更に立場が低くなると分からないものか?」
「客観的に己の立場を見ることが出来る子だったなら、そもそもこんなことにはなっていないでしょうよ」
それもそうだな、とアレクは微かに笑った。
「せっかく末席とはいえ妻扱いしてもらえるはずだったのに、夫を怒らせたせいで今は下働きに格下げされ、休む暇もないほど働かされているらしいわ」
そう言ったゼット女男爵は目を細めコロコロと笑う。
家に災難ばかりを振りまいた忌々しい妹。とんでもない罪を犯し、家族が連座で処刑されるかもしれないというのに謝罪の一つもなかった。血が繋がっているとはいえ、そんな人でなしがどう扱われようとちっとも心は痛まない。
「それで、そちらは?」
「こっちも同じようなものだ。夫からは見向きもされず、妻ではなく家政婦として働かされているそうだ。正妻から嫌がらせも受けているそうだ」
「あら、それはそれは……因果応報という言葉がぴったりね。嫌がらせをしていた側の人間が、今度は嫌がらせを受ける側になったと……。世の中上手く出来ているわね」
「そうだな。因果応報だと思うから全く心が痛まない。いい気味だとすら思うよ……」
二人の間にまた沈黙が流れる。だが不思議と気まずさはない。
互いに安堵したような顔でゆっくりとお茶のカップを傾けた。
「そういえば、姉上のもう一人の幼馴染の……名前は何だったかな、ほら、バルタ男爵家の……」
「パメラ嬢のこと? 彼女がどうかした?」
「ああ、そうそうパメラ嬢。母上から聞いた話だと、彼女も横領していたらしい。だが、あちらの家は何の動きもないんだ……」
「パメラ嬢も? そうなの?」
「家を出る前に姉上の口から聞いたらしいから間違いないと思う。しかも、姉上達をそそのかしたのはパメラ嬢の従妹だとか……」
「え? どうしてパメラ嬢の従妹がそんなことを……?」
「理由は分からない。姉上も馬鹿だから理由なんて考えず、唆されるままに罪を犯したようだ」
「……それはわたくしの元妹もそうでしょうね。パメラ嬢がメグやアリー嬢のようにどこかに嫁がされたとは聞いていないけど、バルタ家はフレン家の家臣の座を剥奪されたらしいわよ?」
「え!? そうなのか?」
「わたくしや貴方の家も剥奪されるところだったそうなのだけど、当主が代替わりしたから見逃してくださったようなの。でも、バルタ家の当主はそのままだし……わたくし達の父のように娘を野放しにしてフレン家に迷惑をかけているからって理由みたい。仕える家に迷惑をかけるような家臣なんていらないわよね」
「それはそうだな……。俺達の家も代替わりしていなければ家臣の座を返上するところだったのか。まあ確かに父上は先代には忠誠を誓っていたのに、レイモンド卿のことは見下していた。自分を見下す家臣なんていらないよな……」
自分の娘と同年代だからという馬鹿みたいな理由で仕える主人を見下していた父親達。
そんなのを召し抱えたいと思う者は少ないだろう。
「パメラ嬢も同罪ならば、近々何らかの動きがあるんじゃないかしら……。あのフレン伯爵夫人が見逃すとは思えないわ。その従妹とやらもね」
「それもそうだな。家臣の座を剥奪されたのならこちらがバルタ家と交流を続ける理由も無い。これを機に一切の交流を絶とうと思う」
アレクの言葉にゼット女男爵は「そうね、こちらもそうするわ」と頷く。
「これからはお互いにフレン家に忠誠を誓いましょう。特に、フレン伯爵夫人に」
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