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義母の奮闘
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「うーん……なに? うるさ…………」
騒動の最中もずっと眠ったままだったイザベラが目を覚ました。
ぼやけた視界には一晩中振り回してくれた嫁のセシリアと、涙を流しながら跪き許しを請う使用人一同の姿が映る。
「え? 何、これ……。どういう状況……?」
「あら? お義母様、おはようございます。昨夜はよく眠れました?」
「朝方まで付き合わせたくせに白々しいこと言わないでよ……って、え? 何? 何で家令が倒れているの!?」
よくよく見ると壁の端に家令が倒れていた。
イザベラにとってはいけ好かない相手ではあるが、流石に倒れているとなれば驚いてしまうのも当然のこと。
起き抜けに訳の分からない状況を目撃して慌てるイザベラにセシリアは可憐な笑みを向けた。
「御免あそばせ、お義母様。みっともないところをお見せしました。お目汚しになりますので別室にて済ませますね」
先程とんでもなく凶悪な平手打ちを繰り出した人と同一人物とは思えないほどの可愛らしい笑みを義理の母に向けるセシリア。そのギャップに使用人一同は別の意味で心臓を高鳴らせた。主に恐怖で。
「いや……だから、いったい何をしていたのよ!? どういう状況か説明してよ?」
「はい、使用人に折檻をしている最中でございます。昨晩、旦那様が外出したのをこの者達は知っていてわざと私に伝えなかったのです。お義母様が来て下さらなかったら、私は一晩中暗い部屋で来ない夫を待ち続けなければなりませんでした。考えただけで惨めで悲しいですわ……」
「あんた、ちっとも悲しんでなかったじゃないの……」
「いいえ、悲しかったですよ? 食事に嫌いなメニューが出された時よりも下くらいには」
「それってそこまで悲しくないわよね!? それに、折檻って言ったら普通は鞭で手を叩くとかじゃないの……? 大の男一人が倒れるほど何をしたわけ……?」
「いやですわ、お義母様。鞭だなんてそんな野蛮な……。わたくしは平手打ちを一回しただけですよ?」
「平手打ちでこんな惨劇は起きないでしょう!?」
「そうはおっしゃられましても、事実ですし……。あ、何でしたらもう一回やってみますので、どうぞご覧ください」
そう言ってセシリアは一番近くにいた若い執事の首根っこを軽々と掴み、自分の元へと引き寄せた。
「ヒイイイイッ!? 奥様、お許しください……! 奥様……!」
涙やら鼻水やら汗やら顔中から液体を垂れ流して懇願する執事。
それに一切反応することなく、セシリアは再び右手を大きく振りかざした。
「えっ!? ちょっ……ちょっと待って! 待ちなさい!」
目の前で惨劇が繰り広げられようとしているのを察したイザベラは慌ててセシリアを制止しようと声を荒げた。
「はい。如何なさいましたか、お義母様?」
執事の懇願は無視したセシリアだが、イザベラの言う事には素直に従った。
「いや、あんた今何をしようとしているのよ!?」
「何って……そこに転がっている家令がどのようにしてそうなったかを実際にお見せしようと……」
「いや、しなくていい、しなくていいから!」
さも当然のように言うセシリアにイザベラは声を荒げた。
外見はどう見ても深窓の令嬢だというのに、やろうとしていることはまるで破落戸のそれだ。そんなほっそりとした腕でどうやって大の男を床に沈めたのかという疑問は沸くが、それよりもまず止めなくてはと必死だった。
「さようでございますか。では、別室にて折檻の続きをして参ります」
執事の首根っこを掴んだまま部屋の外へと向かおうとするセシリアをイザベラは慌てて止めた。
「お待ちなさい! ぼ、暴力は……暴力は駄目よ!」
「え? 何故ですか?」
本気で分からないというようにキョトンとするセシリア。
その反応にイザベラは一瞬自分の方が間違ったことを言ってしまったかのような錯覚にとらわれたが、すぐにその考えを頭から振り払った。
「何故って……ほ、ほら、わたくし達を世話する者がいなくては不便でしょう? メイドや執事がそこの家令みたいな状態になったら誰がわたくし達の世話をするの?」
イザベラは必死だった。暴力を振るわせないよう、それはもう必死に嫁を説得しようと試みた。周囲にはそんなイザベラに縋るような視線を送る使用人達。その顔は涙に濡れ、床に膝をつけて神に祈るような体勢をとっている。
嫁が使用人に折檻しようとするのを止める姑、というよりも人質をとった凶悪犯を説得しようとする衛兵のよう。その場は言いようのない緊張感に包まれていた。
「それもそうですね……。しかし、やはりケジメはつけたほうが……」
「そ……それは、わたくしの方でやっておきます! 嫁の分際で出しゃばるのは止めてほしいわね!」
気圧されては駄目だ、とばかりに精一杯虚勢を張ろうとするイザベラ。
使用人達は自分達を守ろうとする彼女の奮闘に感動し、床に涙を零した。
「まあ……! 確かにお義母様のおっしゃる通りですね! 私ったら出しゃばってお恥ずかしい……」
素直に聞いてくれたセシリアにイザベラは安堵した。
それにしても、先程まで破落戸のような行動に出ようとしていた者と同一人物とは思えないほどセシリアの恥ずかしがる様は可憐だった。日焼けを知らぬ白い頬には恥じらいによりじんわりと赤みが差し、薔薇色の唇はきゅっと結ばれ、白魚のような指先で頬に触れる。
その様子は、まるで風に揺れる花びらのように儚く、しかしどこか可愛らしい羞じらいに満ちていた。それだけを見れば可憐な深窓の姫君という表現がぴったりだ。
「ふ、ふん! 分かればいいのよ! さ、早く着替えて朝食をとるわよ」
「あら、いいですね。そういえばずっと寝間着のままでしたわ……お恥ずかしい」
「そうよ、淑女がみっともなくてよ! ほら、メイド達はさっさと着替えの準備に取り掛かりなさい!」
イザベラがそう促すと、メイド達は嬉しそうに「はい! 畏まりました!」と返事をする。その表情には赦しを得た安堵が浮かんでいた。
イザベラの心臓は鼓膜のすぐ近くで鳴っているかのようにうるさく響く。
けれど、彼女は精一杯の虚勢を張ってそんな自分を周囲に気づかせぬようにした。
セシリアはどうか分からないが、使用人達はそんなイザベラの強がる様子に気づいていた。日頃彼女に対してそんなに褒められた対応をしてこなかった自分達を、一生懸命守ろうとしてくれている健気な姿に感動し、自然と拝むような姿勢をとる。
彼女だって恐怖にさらされているはずだった。昨日当主が迎えた花嫁は間違いなく脅威に成り得る存在。ただの貴婦人にすぎない、特別な力も権力も持ち合わせていないイザベラだって怖いに決まっている。だが、彼女は怯えながらもその目はまっすぐに驚異的な花嫁へと向けていた。恐怖で掠れた声で花嫁を説得し、これ以上の暴力を止めてくれた。
その姿はまさに、暗闇に射す一条の光。あるいは、この世に舞い降りた天使。はたまた混沌の世界に現れた救世主のよう。
この日から使用人達のイザベラに対する態度が一変したのは言うまでもない。
それまでは先代の金目当てで嫁いだ悪女としか思っておらず、先代亡き後もここに居座る厄介な女だと迷惑がっていた。
だが、こうして体を張って自分達を守ってくれた。冷遇してきた自分達を。
その強く美しい行動に感動し、彼等はイザベラに忠誠を誓うのだった……。
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ぼやけた視界には一晩中振り回してくれた嫁のセシリアと、涙を流しながら跪き許しを請う使用人一同の姿が映る。
「え? 何、これ……。どういう状況……?」
「あら? お義母様、おはようございます。昨夜はよく眠れました?」
「朝方まで付き合わせたくせに白々しいこと言わないでよ……って、え? 何? 何で家令が倒れているの!?」
よくよく見ると壁の端に家令が倒れていた。
イザベラにとってはいけ好かない相手ではあるが、流石に倒れているとなれば驚いてしまうのも当然のこと。
起き抜けに訳の分からない状況を目撃して慌てるイザベラにセシリアは可憐な笑みを向けた。
「御免あそばせ、お義母様。みっともないところをお見せしました。お目汚しになりますので別室にて済ませますね」
先程とんでもなく凶悪な平手打ちを繰り出した人と同一人物とは思えないほどの可愛らしい笑みを義理の母に向けるセシリア。そのギャップに使用人一同は別の意味で心臓を高鳴らせた。主に恐怖で。
「いや……だから、いったい何をしていたのよ!? どういう状況か説明してよ?」
「はい、使用人に折檻をしている最中でございます。昨晩、旦那様が外出したのをこの者達は知っていてわざと私に伝えなかったのです。お義母様が来て下さらなかったら、私は一晩中暗い部屋で来ない夫を待ち続けなければなりませんでした。考えただけで惨めで悲しいですわ……」
「あんた、ちっとも悲しんでなかったじゃないの……」
「いいえ、悲しかったですよ? 食事に嫌いなメニューが出された時よりも下くらいには」
「それってそこまで悲しくないわよね!? それに、折檻って言ったら普通は鞭で手を叩くとかじゃないの……? 大の男一人が倒れるほど何をしたわけ……?」
「いやですわ、お義母様。鞭だなんてそんな野蛮な……。わたくしは平手打ちを一回しただけですよ?」
「平手打ちでこんな惨劇は起きないでしょう!?」
「そうはおっしゃられましても、事実ですし……。あ、何でしたらもう一回やってみますので、どうぞご覧ください」
そう言ってセシリアは一番近くにいた若い執事の首根っこを軽々と掴み、自分の元へと引き寄せた。
「ヒイイイイッ!? 奥様、お許しください……! 奥様……!」
涙やら鼻水やら汗やら顔中から液体を垂れ流して懇願する執事。
それに一切反応することなく、セシリアは再び右手を大きく振りかざした。
「えっ!? ちょっ……ちょっと待って! 待ちなさい!」
目の前で惨劇が繰り広げられようとしているのを察したイザベラは慌ててセシリアを制止しようと声を荒げた。
「はい。如何なさいましたか、お義母様?」
執事の懇願は無視したセシリアだが、イザベラの言う事には素直に従った。
「いや、あんた今何をしようとしているのよ!?」
「何って……そこに転がっている家令がどのようにしてそうなったかを実際にお見せしようと……」
「いや、しなくていい、しなくていいから!」
さも当然のように言うセシリアにイザベラは声を荒げた。
外見はどう見ても深窓の令嬢だというのに、やろうとしていることはまるで破落戸のそれだ。そんなほっそりとした腕でどうやって大の男を床に沈めたのかという疑問は沸くが、それよりもまず止めなくてはと必死だった。
「さようでございますか。では、別室にて折檻の続きをして参ります」
執事の首根っこを掴んだまま部屋の外へと向かおうとするセシリアをイザベラは慌てて止めた。
「お待ちなさい! ぼ、暴力は……暴力は駄目よ!」
「え? 何故ですか?」
本気で分からないというようにキョトンとするセシリア。
その反応にイザベラは一瞬自分の方が間違ったことを言ってしまったかのような錯覚にとらわれたが、すぐにその考えを頭から振り払った。
「何故って……ほ、ほら、わたくし達を世話する者がいなくては不便でしょう? メイドや執事がそこの家令みたいな状態になったら誰がわたくし達の世話をするの?」
イザベラは必死だった。暴力を振るわせないよう、それはもう必死に嫁を説得しようと試みた。周囲にはそんなイザベラに縋るような視線を送る使用人達。その顔は涙に濡れ、床に膝をつけて神に祈るような体勢をとっている。
嫁が使用人に折檻しようとするのを止める姑、というよりも人質をとった凶悪犯を説得しようとする衛兵のよう。その場は言いようのない緊張感に包まれていた。
「それもそうですね……。しかし、やはりケジメはつけたほうが……」
「そ……それは、わたくしの方でやっておきます! 嫁の分際で出しゃばるのは止めてほしいわね!」
気圧されては駄目だ、とばかりに精一杯虚勢を張ろうとするイザベラ。
使用人達は自分達を守ろうとする彼女の奮闘に感動し、床に涙を零した。
「まあ……! 確かにお義母様のおっしゃる通りですね! 私ったら出しゃばってお恥ずかしい……」
素直に聞いてくれたセシリアにイザベラは安堵した。
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「ふ、ふん! 分かればいいのよ! さ、早く着替えて朝食をとるわよ」
「あら、いいですね。そういえばずっと寝間着のままでしたわ……お恥ずかしい」
「そうよ、淑女がみっともなくてよ! ほら、メイド達はさっさと着替えの準備に取り掛かりなさい!」
イザベラがそう促すと、メイド達は嬉しそうに「はい! 畏まりました!」と返事をする。その表情には赦しを得た安堵が浮かんでいた。
イザベラの心臓は鼓膜のすぐ近くで鳴っているかのようにうるさく響く。
けれど、彼女は精一杯の虚勢を張ってそんな自分を周囲に気づかせぬようにした。
セシリアはどうか分からないが、使用人達はそんなイザベラの強がる様子に気づいていた。日頃彼女に対してそんなに褒められた対応をしてこなかった自分達を、一生懸命守ろうとしてくれている健気な姿に感動し、自然と拝むような姿勢をとる。
彼女だって恐怖にさらされているはずだった。昨日当主が迎えた花嫁は間違いなく脅威に成り得る存在。ただの貴婦人にすぎない、特別な力も権力も持ち合わせていないイザベラだって怖いに決まっている。だが、彼女は怯えながらもその目はまっすぐに驚異的な花嫁へと向けていた。恐怖で掠れた声で花嫁を説得し、これ以上の暴力を止めてくれた。
その姿はまさに、暗闇に射す一条の光。あるいは、この世に舞い降りた天使。はたまた混沌の世界に現れた救世主のよう。
この日から使用人達のイザベラに対する態度が一変したのは言うまでもない。
それまでは先代の金目当てで嫁いだ悪女としか思っておらず、先代亡き後もここに居座る厄介な女だと迷惑がっていた。
だが、こうして体を張って自分達を守ってくれた。冷遇してきた自分達を。
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