三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

文字の大きさ
41 / 142
魏編4 後半世代編

何晏5  三賢者フルボッコ

しおりを挟む
何晏、鄧颺、夏侯玄並求傅嘏交,而嘏終不許。諸人乃因荀粲說合之,謂嘏曰:「夏侯太初一時之傑士,虛心於子,而卿意懷不可,交合則好成,不合則致隙。二賢若穆,則國之休,此藺相如所以下廉頗也。」傅曰:「夏侯太初,志大心勞,能合虛譽,誠所謂利口覆國之人。何晏、鄧颺有為而躁,博而寡要,外好利而內無關籥,貴同惡異,多言而妒前。多言多釁,妒前無親。以吾觀之:此三賢者,皆敗德之人耳!遠之猶恐罹禍,況可親之邪?」後皆如其言。(識鑒3)


何晏かあん鄧颺とうよう夏侯玄かこうげんの三人は
弁の立つひとたちだった。

そんな彼らは、さらなる声明を求めて、
当時に高邁で知られた傅嘏ふか
よしみを持ちたいと、傅嘏を訪問した。

が、傅嘏、一蹴。

そこで三人、荀粲じゅんさんというひとに
間を取り持ってもらう事にした。

荀粲、傅嘏に語りかける。

「夏侯玄くんは今をときめく名士。
 そんな彼が、あなたを
 尊敬してやまないというのだ。
 だというのに、あなたは
 それを突っぱねておられる。

 いいではないか、一回会ってみて
 相性が良ければよし、
 悪ければやはり付き合わない、
 という感じで。

 あなたと夏侯玄くんが親しくなるのは
 この国にとっても喜ばしいことだ。

 例えるならば、そう、
 藺相如りんしょうじょ廉頗れんぱに頭を下げるかのような
 レベルの話だと思うのだ」

あのなぁ、と傅嘏は言う。

「問題はそこではない。
 あの三人に近づくことそのものが危ない、
 と言っているんだ。

 何せ夏侯玄は、志こそ大きいものの
 何かにつけ落ち着きがない。
 あれはその口先で国を傾ける類だろう。

 何晏や鄧颺は、何かとやかましい。
 いろいろ知っているようでいて、
 とるに足らない雑学ばかり。
 肝心かなめの知識には乏しい。
 外面を良くして人脈を築こうとしても
 その内面はどこまでもだらしがなく、
 自分と意見の似たものを大切にし、
 意見が違うものは排斥する。
 いろいろ何ごとかを語ってみれば、
 既に功績を成し遂げた者たちへの
 妬み嫉みばかり。

 口数が増えれば増えただけ敵を作る。
 他人に対する妬み嫉みを口にすれば、
 誰がそんな奴と
 親しくしたいと思うだろうか?

 三賢者さまは、等しくロクデナシだよ!
 あれらを敬遠してすら、いつ、
 とばっちりを食らうかわからんのだ。

 そんな三賢者さまに、
 敢えてお近付きになれ、と?」

荀粲としても、そこまで言わんでも……
という感じではあっただろう。

だが後日、三賢者さまは皆、
曹爽そうそう派として司馬師しばし
皆殺しを食らっている。
 

 ○


鄧颺
光武帝劉秀りゅうしゅうのナンバーツー、鄧禹とううの子孫ですから超エリート家系。でもここだと何晏さんのお友達Aくらいの扱いでしかないし何晏さんと一緒に殺されてる。

傅嘏
裴楷はいかいに「広大無辺でありながら、備わっていないものがない」と評価を受けている人。まぁ何でしょう、賢人にして、ものすごく懐の広い人、というところでしょうかね。その功績を追っていると後に政争に破れ殺される人たちとは徹底的に距離を置いていたり、自分の名声が変に高まらないように功績をマイナス報告っぽいこともしてる。

荀粲
荀彧じゅんいくの末っ子。儒の大家っぽい父親とは真逆で「儒とは先人の残りかすにすぎない」的なことを言い切ったらしい。親父さんと仲悪かったのかしら。どうもこの人の思想をさらに進めたのが何晏や王弼の打ち立てた「清談」のルーツらしいという事で、清談の系譜的にも割と重要な人物のようだ。の割に世説新語じゃえっらい影薄いですけど。

藺相如・廉頗
いわゆる「刎頸の交わり」。戦国時代、ガンガン勢力を広げる秦の脅威にさらされていた趙国きっての名士だった二人だが、とにかく仲が悪かった。しかしあるとき廉頗の素晴らしさに藺相如は気付かされ、ともに手を携えるべき相手だ、と頭を垂れ、以降二人は協力して秦と闘い、両名が健在であったとき、秦は趙を倒すことができなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

対米戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。 そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。 3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。 小説家になろうで、先行配信中!

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

対ソ戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。 前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。 未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!? 小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...