わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

真摯に

8

「……違わない」

　顔を上げてチラッとリューラを見る。
　この気持ちを言葉にするなんて照れくさくて叫び出したいくらいだが、今はそんな時ではない。

「……お前には触れて欲しくて、触れたくて……何度も思い出して、会いたくなった。それはサフィナでは考えられなかったんだ」

　少しずつ口にしながら目を合わせると、リューラが俺の髪を撫でてくれる。

「傍に居たくて、離して欲しくなくて…………キスして欲しいのは、お前だけ……」

　最後まで言い切る前に口を塞がれた。
　ピタリと合わさる心地よさ、チュッと音を立てながら離れてすぐ角度を変えてまた重ねられる嬉しさ。
　腰に回されたその腕の強さにもホッとした。

「もっと？」

　聞かれてドキドキしながらも頷く。

「ん……ふ、ぁ……」

　舌も挿し込まれて耳に届く水音に心臓はうるさく音を立てていたが、やっとそのキスを受け入れることができて安心もした。

　俺が縁談を不意にしてこれからどんな影響があるかはわからない。
　そもそも格下の公爵家が縁談をなしにするなんて聞いたことがないため想像もつかなかった。
　しかも、その理由が同じ男のことが好きだからなんて……。
　反応が怖くて不安ばかりが募る。
　でも、そんな俺にリューラは何度も口付けてくれて、ただ優しく抱き締めていてくれた。