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真摯に
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「そろそろリオッター公爵も来て話しているんじゃないかな?」
リューラが時計を見ると、ロットルがノックをして入ってくる。
その手には俺の服一式があった。
着せられていたリューラのシャツとスラックスは手足の長さが違うと思い知らされて癪だ。
「また着せてあげようか?」
にっこり笑われて急いでロットルの手から自分の服を死守する。だが、
「そんな照れなくてもいいのに」
「照れてない!」
逃げた腰を抱き寄せられて思いっきり顔を近づけられた。
俺はドキドキしてパニックなのにリューラは余裕で微笑んでいるように見えてムカつく。
「ねぇ、サラ……俺のこと、好き?」
「はぁっ!?」
不意にそんなことを聞かれて声が裏返った。
「も、さ、さっき……言っただろ」
こんな近い距離でそんなことを聞かれてワタワタしてしまう。なのに、
「俺に言って」
リューラは俺の顎を捉えて目を見つめてきた。
この青い目に弱い俺はキュッと唇を噛む。
「好きだよ。……サラは?」
微笑みながら言われて照れの限界に達した俺はその手から逃れて顔をリューラの胸にくっつけて隠した。
「聞かせてくれないの?」
そんな俺の髪を耳に掛けてわざわざ甘めのゾクッとする声を直接流してくる。
「だ、だから……」
「ん?」
「ず、ずっと……大事だった」
胸に押し付けたまま何とか口にすると、
「それはちょっと意味違わない?」
リューラの声が少し沈んだ気がした。
リューラが時計を見ると、ロットルがノックをして入ってくる。
その手には俺の服一式があった。
着せられていたリューラのシャツとスラックスは手足の長さが違うと思い知らされて癪だ。
「また着せてあげようか?」
にっこり笑われて急いでロットルの手から自分の服を死守する。だが、
「そんな照れなくてもいいのに」
「照れてない!」
逃げた腰を抱き寄せられて思いっきり顔を近づけられた。
俺はドキドキしてパニックなのにリューラは余裕で微笑んでいるように見えてムカつく。
「ねぇ、サラ……俺のこと、好き?」
「はぁっ!?」
不意にそんなことを聞かれて声が裏返った。
「も、さ、さっき……言っただろ」
こんな近い距離でそんなことを聞かれてワタワタしてしまう。なのに、
「俺に言って」
リューラは俺の顎を捉えて目を見つめてきた。
この青い目に弱い俺はキュッと唇を噛む。
「好きだよ。……サラは?」
微笑みながら言われて照れの限界に達した俺はその手から逃れて顔をリューラの胸にくっつけて隠した。
「聞かせてくれないの?」
そんな俺の髪を耳に掛けてわざわざ甘めのゾクッとする声を直接流してくる。
「だ、だから……」
「ん?」
「ず、ずっと……大事だった」
胸に押し付けたまま何とか口にすると、
「それはちょっと意味違わない?」
リューラの声が少し沈んだ気がした。
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