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真摯に
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「エッチなことでもされると思った?」
「なっ!!」
口にする、と言うことは考えたからではないのか!?
パクパクと口を動かしていても手を引かれて歩を進めてしまう。
「や、あ……リューラ」
部屋の前にきて引け腰になると、リューラは笑って俺の顔を覗き込んできた。
「大丈夫。変なことはしないよ」
「本当か?」
確認してしまうのはこれまでのことがあるからだ。
「母さんたちは今真剣に後処理をしてくれているからね」
「あ……」
言われて心配になるのはサフィナだった。
俯いた俺を中に促してくれて部屋に入る。
すぐにロットルに俺の服を持ってくるように頼むと、リューラは俺をソファーへと案内してくれた。
「サフィナがあれだけすんなり引き下がってくれたのも、シーバスが話を聞いてくれたのも母さんが事前に手回ししてくれたからってのが悔しいな」
息を吐いて少し首元を緩める姿にドキッとする。
「王太后様は……凄いな」
見ないように体の向きを変えて浅くソファーに腰掛けると、俺はリューラを意識しないように膝に肘をつけて前のめりになった。
「母さんは父さんたちのことでだいぶ悩んだみたいだからねぇ」
視線の先にあるのはテーブルに置かれたままの先王の日記。
父さんたちが両想いのまま離れただけでなくそれぞれ別の人と結婚したというのは……そりゃ結婚した相手側だって辛かったはずだ。
その事実を知っていたのなら尚更。
他の人を想っているのを知っていて共に生活し、子も成さなきゃいけないなんて……言葉にならない。
「なっ!!」
口にする、と言うことは考えたからではないのか!?
パクパクと口を動かしていても手を引かれて歩を進めてしまう。
「や、あ……リューラ」
部屋の前にきて引け腰になると、リューラは笑って俺の顔を覗き込んできた。
「大丈夫。変なことはしないよ」
「本当か?」
確認してしまうのはこれまでのことがあるからだ。
「母さんたちは今真剣に後処理をしてくれているからね」
「あ……」
言われて心配になるのはサフィナだった。
俯いた俺を中に促してくれて部屋に入る。
すぐにロットルに俺の服を持ってくるように頼むと、リューラは俺をソファーへと案内してくれた。
「サフィナがあれだけすんなり引き下がってくれたのも、シーバスが話を聞いてくれたのも母さんが事前に手回ししてくれたからってのが悔しいな」
息を吐いて少し首元を緩める姿にドキッとする。
「王太后様は……凄いな」
見ないように体の向きを変えて浅くソファーに腰掛けると、俺はリューラを意識しないように膝に肘をつけて前のめりになった。
「母さんは父さんたちのことでだいぶ悩んだみたいだからねぇ」
視線の先にあるのはテーブルに置かれたままの先王の日記。
父さんたちが両想いのまま離れただけでなくそれぞれ別の人と結婚したというのは……そりゃ結婚した相手側だって辛かったはずだ。
その事実を知っていたのなら尚更。
他の人を想っているのを知っていて共に生活し、子も成さなきゃいけないなんて……言葉にならない。
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