わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

やってみないか？

7

「あちらでは薬の研究はできない？」

　上目遣いで強請るようにオリバーを見上げると、オリバーはうぐっと声を詰まらせる。
　あんな技もあったらしい。
　サフィナは十八歳でオリバーは二十五歳であるとここに来る時の車でマニエルから聞いていた。
　そんな七つ下の娘からあんな風に強請られたら……

「……できるよ。むしろ、あそこは自生する植物も多い地域だから珍しいものもあるかもしれない」

　オリバーはカクンと首を折った。

「サライド様！お受けします！」

　そんなオリバーを見てサフィナは嬉々とした顔を向けてくる。

「実際に村も見てから決断しなくていいのか？」

　オリバーを気の毒に思いながらサフィナを見ると、

「サライド様が私にできると判断して提案して下さったんですよ？素敵なお誘いだと信じております」

　サフィナは迷いなどないキラキラした目を向けてきた。
　あの公爵令嬢だと身分を隠して鍛錬場で剣を振り回していたあの生き生きとした目。

「オリバーさん、すみません」

　頭を下げると、オリバーは息を吐き出した。

「それはどういう意味でのお言葉ですか？」
「？というと？」

　わからず首を傾げると、オリバーはクシャッと自身の髪を握る。

「それは……元婚約者としてサフィナを理解しているという……余裕の表れですか？」

　眉尻を下げたその不安げな顔には嫉妬も滲んでいて、やはり、と俺は肩を竦めた。