わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

やってみないか？

8

「オリバー、私は今、ちゃんとあなたが好きよ？」

　サフィナがオリバーの腕にくっついて見つめ合う。

「わかってる。……けど」

　まだ不安げにチラッと見られて俺は一度座り直した。

「俺にも相手は居るから……」
「知っています。サフィーは失恋したと泣いていたので」

　尻窄みになる俺に重ねるようにオリバーはサフィナを抱き寄せる。
　呼び方だとか、あのサフィナが泣いていたとか……気になるがツッコみ辛い。

「お、オリバー！それは言わなくていいのっ！」

　顔を赤くしたサフィナがオリバーを見上げて、オリバーがその体を腕の中に閉じ込めたまま微笑む。

「……俺たちは席を外すか？」
「いえ」

　言いながらオリバーが俺たちの目の前でサフィナにキスを落とした。
　ボンッと破裂したように真っ赤になるサフィナ。
　それを見て満足そうに笑うと、オリバーはサフィナを抱き締めたままこっちを見た。

「私はサフィーを一生手放しません。共に……絶対に幸せにします！」
「あぁ、そうしてやってくれ」

　咳払いをしてマニエルと共に立ち上がる。

「ディオー村はいつでも歓迎だ。見に来るだけでも、好きに来てもらえばいい」

　まだ真っ赤なままオリバーの胸にくっついて顔を上げられないサフィナを見ていたら笑えてきた。

「見せつけられたな」
「ええ。意外と……やりますね」

　部屋を後にしながら呟くと、マニエルが苦笑いをする。
　サフィナは心配ない。
　確信して俺たちは屋敷を後にした。