謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める

27Be

文字の大きさ
5 / 86

第5話 1533年 3歳 猿千代、初陣だぞ

しおりを挟む
祖父・長尾為景が、国中の内乱鎮圧のため遠征することになった。



豪族・野島(弟)が反乱。

近隣の野島(兄)とは

「反乱には加担しない」

という証文を交わしていた。



味方総数四千。

三千が先発。

祖父は千人を率いて後詰め――

春日山城には千人の留守隊。



その日、俺は守役・安田の用事で

春日山城に来ていた。



――その時だった。



野島(兄)が証文を破り、

春日山城を出発して一時間の森に伏兵を置いた。



祖父の隊は三割を失い、

春日山城へ退却。



敵二千。

味方残り千七百。



時刻は夕刻。



正門の外では

鐘、ほら貝、鬨の声。



尖らせた丸太で正門を叩き、

破壊を試みている。



俺は天守から正門を見下ろし――

明らかにおかしい点を見つけた。



俺は安田に告げる。



「お祖父様に話したい」



安田が珍しく困った顔をする。



安田

「叱られるの私なんですけど……」





「大丈夫だ。行くぞ、安田」



<猿千代の進言>



作戦会議室。



優しい顔をしていた武将たちが、

今は全員――殺気に満ちている。



特に祖父の為景が凄い。





「お祖父様、聞いて下さい!」



――二回言っても無視。



安田が深呼吸し、叫ぶ。



安田

「長尾為景様!

この安田が命をかけます。

若様の話をお聞き下さい!」



長尾為景

「何じゃ猿千代。

ここは子供の来る所ではない。

さっさと出て行け」



安田が土下座する。



安田

「少しだけで良いのです。

若様の話をお聞き下さい」



長尾為景

「猿千代、良い守役を持ったな。

安田に免じて聞いてやる。申してみよ」





「野島軍は、

お祖父様を逃がせば、

明日には援軍が来て挟撃される危険があります。



それなのに――

遮二無二に攻めて来ない。



その証拠に、

梯子が見えるのに敵は使っていません」



他の武将

「野島の馬鹿は弟のための時間稼ぎだ。

挟撃されたら和議をするつもりだろう」





「それでは和議で野島が不利になります。

自ら不利になる作戦を立てるのはおかしいです」



長尾為景

「一理ある。

確かに野島の攻めは甘い。

正門を開いて撃って出る作戦を立てていた所だ」





「敵の狙いは夜襲です。

裏門に手引きする者がいます。



誰か、

急に金遣いが派手になった者はいませんか?」



武将

「……そういえば。

裏門の門番の嫁が、

最近やけに自慢していたらしい」





「その男を洗って下さい。



そして裏門前の土を掘り、罠を作って下さい。



夜襲は士気を上げるため、

敵の大将が先陣を切る可能性が高い。



弓矢隊を用意して下さい」



(前世で読んだ軍記と、

自衛隊で習った夜襲教範が一致した)



長尾為景

「……恐らく猿千代の言は正しかろう」



<裏門の夜>



真夜中。



敵大将・野島。

毒虫の如く嫌われる男。

手柄はすべて自分のものだと信じて疑わない。



お膳立てをしているのは中島。

能力はあるが、子供ほどの背丈。

どこにも雇われず、仕方なく野島に従っている。



野島

「いいか、俺のおかげだぞ。

感謝しろよ、お前ら」



中島

「野島様のおっしゃる通りです。

僕ら何も出来ません」



(馬鹿だろ。

裏門当番と話をつけたのも、

作戦を提案したのも俺だ)



中島が指笛を鳴らす。

裏門が開いた。



野島

「よし、俺に続けー!」



中島

(早くこいつ死ねばいいのに)



――次の瞬間。



野島の顔、胴体に

弓矢が次々と突き立つ。



中島

(やったー! 糞虫が死んだぞ!)



中島は野島の死体を盾にする。



中島

「降伏する!



みんな! 糞虫は死んだぞ!

糞虫のために死ぬな!

降伏しろー!」



白旗が振られる。



野島の兵士たちが歓喜する。



「やったーーー!

喜んで降伏するぞ!」



皆が野島の死体を蹴り、

唾を吐きかけながら去っていく。



長尾家の兵士が唖然としていた。



――何をすれば、

ここまで嫌われるのか。



<戦の終わり>



長尾為景の前に出された中島。



中島

「野島弟を刺殺して参ります。



その後、野島一族を縛り首にして下さい。



そして――

長尾為景様のもとで働かせて下さい」



長尾為景

「野島一族と何があった?」



中島は、

辱めと虐げの歴史を語る。



長尾為景は涙を浮かべた。



長尾為景

「中島。

儂はお主の忠誠を疑わん。



存分に恨みを果たして参れ」



二日後。



野島一族は縛られ、首となった。

中島に平和が訪れる。



中島

「俺……

今まで本当によく耐えれたよな。

誰も褒めてくれないけど、

俺、やったよ」



部下

「中島さんは、

今までよく我慢出来ました。

俺なら無理でした」



中島

「これから長尾家で頑張ろうぜ!」



祖父・為景が俺を見る。



長尾為景

「……よく見抜いたな、猿千代。



今回勝てたのは、

猿千代と中島のおかげだ。



猿千代。

部下や領民は大事にしろよ。



野島の領地では、

領民が祭りをしている。



恐怖で縛ると、

こうなるのだ」





「わかりました。

野島にはなりません。

絶対に!」



春日山城への帰路。





「安田の土下座と、

春日山城の忘れ物のおかげで

手柄を立てられた。ありがとう。



……何を取りに戻ったんだ?」



安田

「……若様の団子でございます」





「団子で戦に巻き込まれる大人がいるかーー!!」



※雷蔵、風馬、水斗という家来が出来た。

後日、順次詳しく語ろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか

サクラ近衛将監
ファンタジー
 レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。  昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。  記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。  二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。  男はその未来を変えるべく立ち上がる。  この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。  この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。    投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

今川義元から無慈悲な要求をされた戸田康光。よくよく聞いてみると悪い話では無い。ならばこれを活かし、少しだけ歴史を動かして見せます。

俣彦
歴史・時代
三河進出を目論む今川義元から突き付けられた今橋城明け渡しの要求。 一戦辞さずで家中が一致する中、独り冷静だった人物が居たら……。

【完結】俺が信長で、幼馴染が吉乃と濃姫!? ~転生幼馴染トリオ、本能寺フラグ回避して戦国スローライフ目指します

月影 流詩亜
ファンタジー
事故で転生したのは、まさかの織田信長!? しかも、隣にいたはずの可愛い幼馴染(双子)も、なぜか信長の側室「吉乃」と正室「濃姫」に! 史実の本能寺フラグを回避するため、うつけの仮面の下、三人は秘密の同盟を結ぶ。 現代知識と絆を武器に、戦国スローライフを目指すサバイバル開幕!

影武者の天下盗り

井上シオ
歴史・時代
「影武者が、本物を超えてしまった——」 百姓の男が“信長”を演じ続けた。 やがて彼は、歴史さえ書き換える“もう一人の信長”になる。 貧しい百姓・十兵衛は、織田信長の影武者として拾われた。 戦場で命を賭け、演じ続けた先に待っていたのは――本能寺の変。 炎の中、信長は死に、十兵衛だけが生き残った。 家臣たちは彼を“信長”と信じ、十兵衛もまた“信長として生きる”ことを選ぶ。 偽物だった男が、やがて本物を凌ぐ采配で天下を動かしていく。 「俺が、信長だ」 虚構と真実が交差するとき、“天下を盗る”のは誰か。 時は戦国。 貧しい百姓の青年・十兵衛は、戦火に焼かれた村で家も家族も失い、彷徨っていた。 そんな彼を拾ったのは、天下人・織田信長の家臣団だった。 その驚くべき理由は——「あまりにも、信長様に似ている」から。 歴史そのものを塗り替える——“影武者が本物を超える”成り上がり戦国譚。 (このドラマは史実を基にしたフィクションです)

戦国終わらず ~家康、夏の陣で討死~

川野遥
歴史・時代
長きに渡る戦国時代も大坂・夏の陣をもって終わりを告げる …はずだった。 まさかの大逆転、豊臣勢が真田の活躍もありまさかの逆襲で徳川家康と秀忠を討ち果たし、大坂の陣の勝者に。果たして彼らは新たな秩序を作ることができるのか? 敗北した徳川勢も何とか巻き返しを図ろうとするが、徳川に臣従したはずの大名達が新たな野心を抱き始める。 文治系藩主は頼りなし? 暴れん坊藩主がまさかの活躍? 参考情報一切なし、全てゼロから切り開く戦国ifストーリーが始まる。 更新は週5~6予定です。 ※ノベルアップ+とカクヨムにも掲載しています。

断罪済み悪役令嬢に憑依したけど、ネトゲの自キャラ能力が使えたので逃げ出しました

八華
ファンタジー
断罪済みの牢の中で悪役令嬢と意識が融合してしまった主人公。 乙女ゲームストーリー上、待っているのは破滅のみ。 でも、なぜか地球でやっていたオンラインゲームキャラの能力が使えるみたいで……。 ゲームキャラチートを利用して、あっさり脱獄成功。 王都の街で色んな人と出会いながら、現実世界への帰還を目指します!

処理中です...