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鶯音を入る
第四夜
しおりを挟む「私じゃ頼りなくて話せませんか?」
苦しそうに目を閉じた彼女に向かって、なおも問い掛けた。
「そういう訳じゃない。けど……」
彼女はそれでも、答える時には目を開けて、私の目を見つめ続ける。
「じゃあ、教えて下さいよ……!」
――――こんなの尋問と変わらない。
正直、私も泣きたい気持ちでいっぱいだし、もっと言い方というものがあると思う。
そんなことはわかっている。わかっているが、もう優しく話しかけるだけの余裕もなかった。
「『けど』、何だって言うんですか? そこでだんまりは狡いと思います」
彼女が事情を話せないのは、ここまで頼ってくれなかったのは、偏に私が頼りないせいだろう。
私にもっと頼り甲斐があれば、もしかしたら……なんて、たらればを言った所でどうにもならないのが現実だ。
「……ごめん」
誰でもそうなるのものなのかもしれないが、泣きそうな顔をした彼女は、普段の自信に満ちた顔からは想像がつかない位に幼かった。
「どうしてまた謝るんですか? さっきも一回謝ったでしょう? それでもう十分じゃないですか。それとも、何ですか。謝らないといけないような事があるんですか?」
彼女の声も私の声も震えていた。
ただし、彼女のそれは筆舌に尽くし難い悲愴さを感じさせるのに対し、私のそれからは独り善がりな怒りしか伝わって来ない。
「もう一回、聞きます。紅さんは何のために私を噛んだんですか? 事故なら事故って言ってくれないと、何もわからないじゃないですか……。勝手な憶測で詰めておいて何なんだって言われたらそれまでですけど、訳もわからないまま好きな人の事問い質さなきゃいけないのも、なかなかキツいんですよ。お願いします、『翠の勘違い』って早く言って下さい……!!」
ここまで言っても無駄なら聞き出すのは諦めようと思いかけたその時――――。
「噛んだ訳じゃない。けど、アタシ…………」
彼女は重い口を開いた。
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