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鶯音を入る
第十四夜
しおりを挟む「話の流れ的に、その『ひゅもす』っていうのは、生物学的括りだと思って良いんですよね? 私が知らなかっただけで、そういう生き物がいて、紅さんもその生き物で…………」
「飲み込みが早くて、すごく助かる。アタシ、翠のそういうトコも好き」
喋って思考を整理している所に、女神の眼差しが注がれる。
言葉を交わす前の段階で人間離れした美貌の持ち主だと感じてはいたが、まさか彼女が人間に嫌われる要素の混じった人外生物だなんて予想していなかった。
「ありがとうございます。確かに、知識の上での理解は出来ました。でも、そんな事言われても…………やっぱり人間にしか見えませんよ、紅さん……」
「……。翠は、アタシにどんな事されたか、忘れた?」
紅さんは、自分のデコルテを指でトントンと叩いた。
――――そこは、私の身体で考えた時に、彼女のキスマークが残されている位置。
「いえ。寝かされてる間に、えっと……何か、されてたんですよね」
きっとそこから、彼女は私の血を吸っていた。
「何されてたかも、もうわかってる。でしょ?」
「…………そうですね。紅さんが人間にしか見えないのも嘘ではないんですけど、現実逃避したかったのもあると思います。でも、私は『ひゅもす』って名前だって今知ったばっかりですから、どんな生き物かさっぱりですし、『人間に見える』って言い方が不快なのか名誉な事なのかもわかりません」
寂しげな微笑を真夏の太陽のような笑顔に戻したくて、言葉数だけが増えていく。
「何も…………っ、わからない、うち、から……っ、言う事じゃ、なかったかも……って……言った後……気付き、ました…………。ううっ……。軽率でした。……本当に、すびばせん……」
良い年齢してしゃくり上げながら情けなく謝ると――――。
「…………知ろうとしてくれるの?」
彼女は今までで一番目を丸くして、それから安堵したように笑った。
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