『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【新章・立ちション願望ギャル乱入編】

第132話『立ちション願望ギャル、爆誕!?』

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「ハーイ! ナイス to meet y’all☆」

 キラキラのハイテンションで、教室のドアが開かれた。

 ──その瞬間、教室内の空気が一変する。

 金色のポニーテールが、ぶん、と揺れる。
 褐色の肌に、大胆なネイル。
 ネオンピンクのアクセサリーをジャラジャラさせて登場したのは、
 間違いなく……ギャル。いや、黒ギャルである。

「うっわ……」

「めっちゃギャル……」

「しかも、カッケー系だ……」

 男子たちは目を丸くし、
 女子たちはざわざわとヒソヒソ話を始める。

 その中心で、堂々とポーズを決める少女がいた。

「アタシ、レイナ・クロフォード!」

「留学生でーす☆ でも生まれは横須賀、育ちはLA!」

「趣味はネイルとホットチリ、そして──」

 キラリと歯を見せてウィンク。

「将来の夢は、カッコよく立ちションできる女になること☆」

 ──しーん。

 クラスが凍りついた。

「……今、なんて言った?」

 ハルカは、自分の耳を疑った。

「タチション、だよ? タチ・ショ・ン!」

 レイナは、ポンポンと胸元を叩きながら、
 まるで“私、モデルです!”みたいなテンションで言った。

「だって、男子だけずるくなーい? トイレのとき立ってさ、カッコつけてさ」

「アタシ、あれ見るたびに思うわけ。“あたしもやってみてぇぇぇ!!”って!!」

「おまっ……!」

「堂々と言うなぁぁぁぁぁ!!」

 ミキが絶叫。

「ギャルってのは理解してたけど!」

「まさかその方向性とは思わなかったぁぁ!!」

「これは……新しいパターン……」

 ナナは、静かにペンを折った。

「ハルカ、また来たね……異文化の波が……」

 ユイが、ノートに“レイナ=立ちション希望者”と書き込みながらつぶやく。

「うわああああああああああ!!!」

 ハルカは、両手で頭を抱えて立ち上がった。

「なんでよ!! なんで毎回毎回、こういう方向の留学生ばっか来るの!!」

 そう──
 まだ記憶に新しい、“野ション大暴走事件”の張本人・サバナが記憶に刻まれている。

 それなのに。

 今度は立ちションを目指すギャル……?

「アタシね、こないだ男子トイレの前でめっちゃ研究したの!」

「角度とか、距離とか、跳ね返りのリスクとか!」

「マジで奥深くてさぁ~、**これは極めるしかねぇ!**って思っちゃって☆」

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 ハルカは、
 机に突っ伏してガンガンと頭を打ちつけた。

 ***

「じゃ、レイナちゃん、空いてる席にどうぞ~」

 担任の先生は、あくまで普通のテンションで言う。
 が、教室中の生徒たちは、全員が心の中で叫んでいた。

(この人──)

(やばすぎるのが、来ちゃったあああああ!!!)

 そんな中。

 レイナは、満面の笑みでハルカの隣の席に座った。

「よろしくねっ、ハルカちゃん!」

「さっきから反応が神ってるよ☆」

「うっ……うん……どうも……」

(なにこの爆弾……)

(最初から信管抜けてるタイプのやつじゃん……!)

 ハルカの心拍数は限界を突破していた。

 ***

 授業中。

 レイナは意外にも、ちゃんと静かに授業を受けていた。

 が──

「なあハルカ、理科の教科書に“水圧”ってあるけどさ」

「立ちションにも応用できそうじゃね?」

 ──って、真顔で言ってきた。

 ハルカ、机に突っ伏す。

「だめだ……この子……」

「全方位でボケ倒してくる……」

 サバナのときと違う意味で、別ベクトルのカオスが始まっていた。

(でも……)

 ハルカは、心のどこかで思っていた。

(こういう子、嫌いじゃない……)

 破天荒で、とんでもなくズレてる。
 でも、悪気はない。いや、むしろまっすぐすぎる。

 これはまた、とんでもなくにぎやかな毎日が始まる予感しかしない──!

 そして物語は、
 爆誕した“立ちションギャル”を中心に、
 さらに大混乱へと転がり始める──!!

(続く)
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