『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『謎のドリンクで、止まらない!?~トイレへの疾走と青春の限界突破編~』

第147話『差し入れは、危険な味!?』

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 ──それは、ごく普通の、なんでもない放課後のはずだった。

「今日も疲れたー!」

「てかさ、今日の英語の小テスト、絶対死んだわ……」

 ミキが机に突っ伏してうなだれる中、
 ナナとユイもそれぞれの椅子でだらーっと体を伸ばしていた。

 ハルカは、自分のノートを閉じながら、ほっと一息。

「明日は週末かぁ……はぁ、やっと休める……」

 まさに“終わった人間の群れ”がそこにあった。

 しかしその静寂を──

「ちゃちゃちゃ~ん☆ 差し入れで~す!!」

 バンッ!!

 教室のドアが全力で開き、そこに立っていたのは、
 例によって例のごとく、超元気な黒ギャル・レイナ・クロフォードだった。

 両手には、カラフルで派手なラベルが印刷されたドリンク缶を大量に持っている。

「見て見てぇ♡ 海外の通販でゲットした“バキバキに効く”エナジードリンク!」

「また変なもん仕入れてきたな……」

 ユイが冷ややかに呟くも、ミキは速攻で飛びついた。

「うおーっ、テンション爆上がりって書いてあるじゃん! 飲む飲む!」

「私も、なんかこういうの好き……味の冒険って感じで……」

 ナナもラベルをまじまじと見つめ、一本を手に取った。

「……怪しい気もするけど……まあ、一口ぐらいなら」

 ハルカも、流れに乗せられるように手を伸ばしてしまう。

 ラベルにはこう書いてあった。

【Zrblé X-TREME ENERGY SHOCK!】
 《原材料:パッションルート・ハイプレッシャーミント・ミスティカルウォーター・アクティブサイフォンG》
 “It makes you UNLEASHED. Instantly.”(解き放て、即時に)

「いやもう訳がわかんないよ……」

 缶を振りながらつぶやくハルカに、レイナが満面の笑みで言う。

「ヤバくなる系のやつほど、テンション上がるってことよ♡」

「いや、ヤバいのはテンションじゃなくて中身だからね!?」

 そう言いながらも──

 プシュッ!
 開けてしまう音が、次々と響く。

 そして。

 ごくっ……ごくっ……。

「ん? 意外と味は悪くない……?」

「なんか……ハーブっぽい?ミント強めで清涼感あるー!」

「微炭酸で飲みやすいじゃん。これ、普通に売れるんじゃね?」

 皆がそんな風に口々に言いながら、軽い気持ちで1本を空けたその時──

 ……数分後。

 ──異変は、唐突に、全員の下半身を襲った。

「……あれ?」

 最初に声を漏らしたのは、ミキだった。

「な、なんか……やたらトイレ行きたくなってきた……」

「……あ、あたしも……」

 ナナがもじもじしながら両膝をぎゅっと合わせる。

「ちょっと待って、なんでこんな急に……」

 ユイも珍しく眉をひそめ、じわりと額に汗をにじませていた。

「お腹じゃない……完全に……膀胱だこれ……!!」

 ハルカが、震える声でそう言った瞬間──

「まさか……」

「これ、めっちゃ利尿作用あるやつなんじゃ……!?」

 ミキの顔が青ざめる。

 そして、エミリが背後からふらりと現れ、
 手にしたタブレットでさっきのドリンク名を検索しながら告げた。

「成分を確認したところ──これ、やはりそうですね」

「超強力な利尿ハーブ“アクティブサイフォンG”が主成分」

「要は、“トイレ我慢”特化型メンタルトレーニングドリンクです♡」

「なんじゃそりゃあああああああああ!!!!」

 ハルカたち、教室中で一斉に絶叫。

「だって、そこに“集中力強化”って書いてあったもん!」

「“我慢力が集中を生む”って、どっかの武道家が言ってたらしいよ!」

 レイナは能天気に笑う。

「笑ってる場合じゃないぃぃぃぃ!!」

「もう……ヤバい……!」

「トイレ……トイレ行かせてぇぇぇぇぇ!!」

 ハルカたち、椅子を蹴飛ばして立ち上がる。

 だが──

「おーい、そろそろ次の補習、始めるぞー!」

 外から、担任・水嶋先生の声。

「席にいろよ、勝手に廊下に出るなよー!」

「──終わった……」

「ま、まさか……この状況で……!」

 尿意×閉じ込め×青春。

 すべてが重なった今、教室はもはや──戦場だった。

(続く)
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