前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第188話:宗谷岬の最果てで極寒の孤独!? もう凍え死ぬかと思ったよ、この試練!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日はAIが暴走して人間を虐殺し始める未来で、絶望と恐怖に追い詰められた。
 その前は美咲の家のトイレでヤンデレの執念に震えたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛麻婆豆腐丼」を食っただけじゃなく、美月が「太一ならこれくらい余裕でしょ?」って持ってきた手作り激辛唐辛子スープも一緒に飲んじまった。
 コンビニの辛さと美月の挑戦的な優しさ(と辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。
 スープ飲んだ瞬間、喉が燃えるかと思ったけど、美月の「美味しいでしょ?」ってニヤニヤ顔見たら断れなくて、結局全部飲み干しちまったんだよ。  
 学校から帰って少しベッドでゴロゴロしてたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 凍てつく風と、海の塩気を含んだ匂いが鼻と耳を襲ってきた。
 目の前には宗谷岬、日本最北端の荒涼とした岬の先端。
 俺の便器は、その宗谷岬の碑のど真ん中、波しぶきが飛ぶ崖の端にポツンと出現。  
「うおっ、宗谷岬!? 最果てかよ!?」  
 周りには灰色の海がゴウゴウと唸り、強風が「ヒュオオオ!」って吹き荒れてる。
 宗谷岬の碑が俺の便器のすぐ横に立ってて、「日本最北端」と刻まれた文字が目に飛び込んでくる。
 遠くにオホーツク海の水平線が広がり、空は鉛色の雲で覆われてる。
 観光客はほとんどおらず、近くにいたおっさんが「さみー!」ってコートにくるまって歩いてるだけだ。
 この極寒の最果てに俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が最北端の新名物みたいになってるよ。
 凍てつく風と波の音が響く中、俺の便器が場違いすぎて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 麻婆豆腐丼の辛さと美月の唐辛子スープのスパイスが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、宗谷岬の最果てで、どうやって集中しろって言うんだよ!
 風が「ヒュオオオ!」って吹きつけて、波しぶきが俺の便器の周りを濡らしてる――って、物理的干渉できないから濡れないけど、錯覚でガタガタ震えるよ。
 近くのおっさんが「なんや、この寒さ!」って碑の横で写真撮ってるけど、俺の便器が写り込んでたらどうすんだよ。
 海鳥が「キーッ!」って鳴きながら頭上を飛び回り、孤独と寒さが俺を締め付けてくるよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する――って、冷たい空気吸って咳き込んじまった!
 その瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 岬の風音の中で音が反響して、近くのおっさんが「何や!?」って振り返る。
「風か? それとも腹減ったか?」って独り言呟いてるけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな最果てで注目されるなんて、俺、自分の腹に「宗谷岬で鳴くなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと凍え死ぬか精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が岬に爆音で響いた!」  
 風に乗って音が広がり、海鳥が「キーッ!」って一斉に飛び立つ。
 おっさんが「なんやこれ!?」ってカメラ落としそうになり、「オナラか!?」って笑いながら鼻つまむ。
 見えてないはずなのに、匂いが漂ってきて完全にバレてるじゃん!
 波が「ザバーン!」って打ちつける中、俺の便器の周りが妙な静寂に包まれる。
 おっさんが「最北端でオナラとは、豪快な奴おるな!」って笑ってるけど、俺の羞恥心と寒さが限界突破だ。
 風が「ヒュオオオ!」って吹き荒れて、匂いが岬中に広がってる気がして、頭おかしくなりそうだよ!  
「待て待て、俺は豪快じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は極寒と孤独で焦りと恐怖しかない。
 おっさんが「こんなとこでオナラする奴、記念碑建てな!」って笑いながら去っていくけど、俺の便器が原因だって気づかれてないのが唯一の救いだ。
 宗谷岬の碑が「日本最北端」と静かに佇んでるけど、俺のせいで「最北端オナラ事件」なんて記録されたらどうすんだよ!
 この最果ての静寂が俺のせいで汚されちまった罪悪感で、笑うどころか震えるしかないよ!  
「いや、宗谷岬、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って凍え死ぬかと思った!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、宗谷岬の極寒と孤独がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 宗谷岬の最果てで極寒の中やらかすなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、風と波の音が俺を追い詰めた。
 あの碑のど真ん中で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも麻婆豆腐丼と唐辛子スープの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も美月の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や平和をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は最果ての自然に放り込まれたよ。
 あの「ヒュオオオ!」って風の音と「モーッ!」って牛の声が頭から離れねえよ。
 いや、牛はいなかったか、でもあの寒さはマジで死ぬかと思った。
 宗谷岬の碑、ごめんな。
 お前の静寂をぶち壊しちまったよ。
 次は頼むから暖かい場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し暖かいお茶でも飲んで体温めたいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 コンビニの激辛と美月のスパイスが俺を離してくれねえ。
 宗谷岬の波の音が耳に残ってて、ちょっと寂しい気分になるけど、思い出したら寒さで震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも穏やかな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 宗谷岬で生き延びただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの極寒の岬でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

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