前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第189話:小樽の赤レンガ倉庫街でノスタルジックな大失態!? もう恥ずかしくてどうにかなるよ!

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 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は宗谷岬の最果てで極寒と孤独に耐える試練を味わった。
 その前はAI暴走の虐殺現場で恐怖に震えたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛キムチラーメン」を食っただけじゃなく、彩花が「太一くんに温まってほしいな!」って持ってきた手作り激辛味噌コロッケも一緒に食っちまった。
 コンビニの辛さと彩花の優しさ(と辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。
 コロッケ噛んだ瞬間、口の中が火事みたいになって「これはヤバい」って分かってたけど、彩花の「美味しいでしょ?」って笑顔見たら断れなくて、結局全部平らげちまったんだよ。  
 学校から帰って少しスマホ見てたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 海風の匂いと、ガス灯の仄かな光が鼻と目に飛び込んできた。
 目の前には小樽の赤レンガ倉庫街、レトロな石畳の道が広がる観光地。
 俺の便器は、その倉庫街のど真ん中、ガス灯の真下にポツンと出現。  
「うおっ、小樽!? 赤レンガ倉庫街かよ!?」  
 周りには赤レンガの倉庫が連なり、ガス灯がオレンジ色の光を投げかけてる。
 石畳の道には観光客が「きれいだね~!」って写真撮りながら歩いてて、カップルが「ロマンチック!」って寄り添ってる。
 遠くには小樽運河の水面がキラキラ光り、波の音が「ザザー」と聞こえてくる。
 レトロでノスタルジックな雰囲気が漂う中、俺の便器がガス灯の下にドーンと浮いてて、まるで俺が観光名物の新スポットみたいになってるよ。
 このロマンチックな空気が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 キムチラーメンの辛さと彩花の味噌コロッケのスパイスが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、小樽の赤レンガ倉庫街で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 カップルが「ここでプロポーズしようかな?」って俺の便器の横でイチャついてるし、観光客が「このガス灯、いい雰囲気!」ってカメラ向けまくる。
 石畳を「カツカツ」歩く音と、海風の「サー」って音が耳に響いてて、ノスタルジックすぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おばさんが「何か変な感じするね?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 倉庫街の静かな空気が一瞬止まって、近くのカップルが「何!?」って振り返る。
「風かな?」って彼氏が誤魔化すけど、彼女が「なんか変な音だったよ?」って首かしげる。
 観光客のおっさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんなロマンチックな場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「小樽の雰囲気壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が倉庫街に爆音で響いた!」  
 石畳に音が反響して、カップルが「うわっ!?」って飛び上がり、おばさんが「何これ!?」ってバッグ抱える。
 見えてないはずなのに、匂いが漂ってきて完全にバレてるじゃん!
 観光客が「何!? 臭い!」って鼻つまみ出し、子供が「誰かオナラした!」って笑い出す。
 カップルが「プロポーズの雰囲気台無しじゃん!」ってケンカ始め、おっさんが「こんなとこでオナラかよ!」ってキレ気味に周り見回す。
 ガス灯の光が揺れる中、俺の便器の周りが妙な静寂に包まれる。
 倉庫街全体が「謎の音と匂い」でざわつき始めて、俺、このノスタルジックな風景を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 おばさんが「運河の匂いじゃないよね?」って困惑してるけど、俺の便器が原因だって気づかれてないのが唯一の救いだ。  
「待て待て、俺は観光客じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回はロマンチックな雰囲気を壊した焦りと羞恥しかない。
 カップルが「もう帰ろうよ!」って言い争ってるし、子供が「オナラお化け!」って走り回る。
 観光客が「小樽の雰囲気変わったな!」って笑ってるけど、俺のせいで「赤レンガオナラ事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 このレトロな空気が俺のせいで汚されちまった罪悪感で、笑うどころか頭抱えるしかないよ!  
「いや、小樽、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、小樽のロマンチックな雰囲気をぶち壊した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 小樽の赤レンガ倉庫街でカップルの雰囲気を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客のざわめきとガス灯の光が俺を追い詰めた。
 あの石畳のど真ん中で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でもキムチラーメンと味噌コロッケの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も彩花の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、優しさも嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回はノスタルジックな場所を汚しちまったよ。
 あのガス灯の光とカップルのケンカが頭から離れねえよ。
 小樽の赤レンガ倉庫、ごめんな。
 お前の雰囲気をぶち壊しちまったよ。
 次は頼むから静かな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 コンビニの激辛と彩花のスパイスが俺を離してくれねえ。
 小樽の石畳と海風が頭に残ってて、ちょっと懐かしい気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも穏やかな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 小樽でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの倉庫街のど真ん中でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

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