216 / 221
最強の付き添い人
しおりを挟む
アンナったら…
お父様を連れて来るなんて…
お父様の結界、私じゃ解除出来ないよ!
「ミディが…あの小さかったミディが…
母親になるなんて…」
号泣する父にドン引きするミディである。
巷では、炎の騎士ラテルと呼ばれ、元アーライ神国の宰相を務めていた父は強いだけではなくイケオジとしても名高いのだが…
ミディの前では親バカ丸出しのダメ親父なのだ。
「お父様、もう泣き止んでよ。
そんな泣き虫は、お母様に嫌われますよ?」
ミディの言葉に慌てて泣き止む父。
亡くなってかなり経つのだが、未だにミディの母である聖女アイリス一筋なのだ。
「ミディ、私は泣いてなんかいないのだよ。
あれは心の汗だからな!
アイリスに言いつけないでくれよ」
父の中では、最愛の女性である妻は遠いところへ旅に出ているだけという認識なのだ。
「父様!
母様には言いつけないから、串焼きの屋台までひとっ走りお願いします。
全種類10本ずつね!」
ミディは倒れても、食欲旺盛なのだ。
アーライ神国の重鎮である父を使いっ走りにする位に腹へりらしい。
父を見送ったミディは…
これで邪魔者はいなくなったわね。
さぁ、脱出しましょうか。
パミラならお父様の結界を破れるわよね?
ミディは、相棒である白く気高きフェンリルの娘パミラに念話してみる事にした。
『パミラ聴こえる?パミラならお父様の結界を破れると思うんだけど…私を助けに来て』
『ミディどうしたの?ラテルト親子げんかした?直ぐ行くから待っていて』
パミラがジュビアを治める黒の王の花嫁になってからは以前のように、べったり一緒にいる事はないのだ。
運命の番をようやく見つけた黒の王がパミラを溺愛してますからねぇ。
この間も、新しく出来たダンジョンをパミラと攻略してたら心配でこっそりついて来ちゃうから魔物が出なくて困ったよね。
パミラからお仕事の邪魔するあなたとは、しばらく口を聞きませんから!と叱られて、尻尾がペタンとなった黒の王には親しみを感じたよね。
王者の風格は何処に消えたの?って探しちゃったもん。
戦う聖女アイリスの娘よ、我が番を宜しく頼むって私にお願いしてトボトボ帰っていったのよ。
その後ろ姿を見たパミラは、厳しかったかなぁ?
ミディどう思う?シツケは最初が肝心だからいいよね?って笑ってたけど…
ジュビアの森はかかあ天下が流行りそうだね!
◇◇◇◇
それにしても、パミラ遅いなぁ。黒の王に見つかったのかな…
中々来ないパミラを待ちくたびれたミディは眠くなってきたらしい。
妊娠するといつでも眠くなるって話…
本当だったんやね。
ミディが眠りに落ちそうになった時。
「ミディお待たせ!どうしたの?病気?」とやってきたパミラは人化して漆黒のフェンリルの背に乗っていた。
パミラ…お願いだから黒の王を専用の乗り物にするの止めて!
心臓もたないから…と念話するミディだった。
うちの旦那様は、デイブみたいに放任主義じゃないのよミディ!私の事を片時も離したくないみたい。
帰ってきた答えに苦笑するしかないミディだった。
「ところでミディ!なんでこんな頑丈な結界があるの?ラテルは?
黒の王がいると話しにくい?
大きな黒いワンコだと思って! 大丈夫よ!
気にせず話して!」
そんな事を言われてもねぇ。
黒の王の気持ちも何となく分かるのでミディはふたりに話すことにした。
「あのですね。
私、子供を授かりまして…
病気ではないのにしばらく入院って言われたからこっそり抜け出そうとしたら、お父様が来て結界張られたんだよね。
ちなみに、お父様には串焼きを買いに行ってもらったの」
「ミディおめでとう!
ラテルの気持ち分かるから結界はそのままにするね。
しばらくじっとしていたら?」
「ミディ殿!
おめでとう!
私もパミラの意見に賛成だよ。
初めての妊娠だから、医者が良いと言うまでは病院にいた方がいい」
「えーっ。
つまんない…私、動いてないと死んじゃうよ」
子供か!とツッコミたくなるとこだが、ミディは真面目に悩んでいるようだ。
「何か暇つぶしになるような物をディオンに持ってきてもらえば?」
「病院で楽しめるような余興を用意しよう」
張り切るふたりを眺めながらミディは、ここから早く出して!と目で訴えていた。
病院からの脱出はしばらくは無理なようだ。
お父様を連れて来るなんて…
お父様の結界、私じゃ解除出来ないよ!
「ミディが…あの小さかったミディが…
母親になるなんて…」
号泣する父にドン引きするミディである。
巷では、炎の騎士ラテルと呼ばれ、元アーライ神国の宰相を務めていた父は強いだけではなくイケオジとしても名高いのだが…
ミディの前では親バカ丸出しのダメ親父なのだ。
「お父様、もう泣き止んでよ。
そんな泣き虫は、お母様に嫌われますよ?」
ミディの言葉に慌てて泣き止む父。
亡くなってかなり経つのだが、未だにミディの母である聖女アイリス一筋なのだ。
「ミディ、私は泣いてなんかいないのだよ。
あれは心の汗だからな!
アイリスに言いつけないでくれよ」
父の中では、最愛の女性である妻は遠いところへ旅に出ているだけという認識なのだ。
「父様!
母様には言いつけないから、串焼きの屋台までひとっ走りお願いします。
全種類10本ずつね!」
ミディは倒れても、食欲旺盛なのだ。
アーライ神国の重鎮である父を使いっ走りにする位に腹へりらしい。
父を見送ったミディは…
これで邪魔者はいなくなったわね。
さぁ、脱出しましょうか。
パミラならお父様の結界を破れるわよね?
ミディは、相棒である白く気高きフェンリルの娘パミラに念話してみる事にした。
『パミラ聴こえる?パミラならお父様の結界を破れると思うんだけど…私を助けに来て』
『ミディどうしたの?ラテルト親子げんかした?直ぐ行くから待っていて』
パミラがジュビアを治める黒の王の花嫁になってからは以前のように、べったり一緒にいる事はないのだ。
運命の番をようやく見つけた黒の王がパミラを溺愛してますからねぇ。
この間も、新しく出来たダンジョンをパミラと攻略してたら心配でこっそりついて来ちゃうから魔物が出なくて困ったよね。
パミラからお仕事の邪魔するあなたとは、しばらく口を聞きませんから!と叱られて、尻尾がペタンとなった黒の王には親しみを感じたよね。
王者の風格は何処に消えたの?って探しちゃったもん。
戦う聖女アイリスの娘よ、我が番を宜しく頼むって私にお願いしてトボトボ帰っていったのよ。
その後ろ姿を見たパミラは、厳しかったかなぁ?
ミディどう思う?シツケは最初が肝心だからいいよね?って笑ってたけど…
ジュビアの森はかかあ天下が流行りそうだね!
◇◇◇◇
それにしても、パミラ遅いなぁ。黒の王に見つかったのかな…
中々来ないパミラを待ちくたびれたミディは眠くなってきたらしい。
妊娠するといつでも眠くなるって話…
本当だったんやね。
ミディが眠りに落ちそうになった時。
「ミディお待たせ!どうしたの?病気?」とやってきたパミラは人化して漆黒のフェンリルの背に乗っていた。
パミラ…お願いだから黒の王を専用の乗り物にするの止めて!
心臓もたないから…と念話するミディだった。
うちの旦那様は、デイブみたいに放任主義じゃないのよミディ!私の事を片時も離したくないみたい。
帰ってきた答えに苦笑するしかないミディだった。
「ところでミディ!なんでこんな頑丈な結界があるの?ラテルは?
黒の王がいると話しにくい?
大きな黒いワンコだと思って! 大丈夫よ!
気にせず話して!」
そんな事を言われてもねぇ。
黒の王の気持ちも何となく分かるのでミディはふたりに話すことにした。
「あのですね。
私、子供を授かりまして…
病気ではないのにしばらく入院って言われたからこっそり抜け出そうとしたら、お父様が来て結界張られたんだよね。
ちなみに、お父様には串焼きを買いに行ってもらったの」
「ミディおめでとう!
ラテルの気持ち分かるから結界はそのままにするね。
しばらくじっとしていたら?」
「ミディ殿!
おめでとう!
私もパミラの意見に賛成だよ。
初めての妊娠だから、医者が良いと言うまでは病院にいた方がいい」
「えーっ。
つまんない…私、動いてないと死んじゃうよ」
子供か!とツッコミたくなるとこだが、ミディは真面目に悩んでいるようだ。
「何か暇つぶしになるような物をディオンに持ってきてもらえば?」
「病院で楽しめるような余興を用意しよう」
張り切るふたりを眺めながらミディは、ここから早く出して!と目で訴えていた。
病院からの脱出はしばらくは無理なようだ。
0
あなたにおすすめの小説
巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。
彩世幻夜
ファンタジー
2019年ファンタジー小説大賞 190位!
読者の皆様、ありがとうございました!
婚約破棄され家から追放された悪役令嬢が実は優秀な槍斧使いだったり。
実力不足と勇者パーティーを追放された魔物使いだったり。
鑑定で無職判定され村を追放された村人の少年が優秀な剣士だったり。
巻き込まれ召喚され捨てられたヒカルはそんな追放メンツとひょんな事からパーティー組み、チート街道まっしぐら。まずはお約束通りざまあを目指しましょう!
※4/30(火) 本編完結。
※6/7(金) 外伝完結。
※9/1(日)番外編 完結
小説大賞参加中
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
【完結】そうは聖女が許さない〜魔女だと追放された伝説の聖女、神獣フェンリルとスローライフを送りたい……けど【聖水チート】で世界を浄化する〜
阿納あざみ
ファンタジー
光輝くの玉座に座るのは、嘘で塗り固められた偽りの救世主。
辺境の地に追いやられたのは、『国崩しの魔女』の烙印を押された、本物の奇跡。
滅びゆく王国に召喚されたのは、二人の女子高生。
一人は、そのカリスマ性で人々を魅了するクラスの女王。
もう一人は、その影で虐げられてきた私。
偽りの救世主は、巧みな嘘で王国の実権を掌握すると、私に宿る“本当の力”を恐れるがゆえに大罪を着せ、瘴気の魔獣が跋扈する禁忌の地――辺境へと追放した。
だが、全てを失った絶望の地でこそ、物語は真の幕を開けるのだった。
△▼△▼△▼△▼△
女性HOTランキング5位ありがとうございます!
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる