政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成

文字の大きさ
7 / 68

6話 陰謀?いえいえ策謀です

しおりを挟む
 宣戦布告のパーティの日から1週間がとうとしていた。

 パーティで見定めた、敵の姿。私の人生を破滅させようとした元凶。それを把握できたことは、今後どう動くかをはっきりさせる意味でも大事だった。
 おかげで色々と案が固まってきて、何の手を打つべきかが分かって来たのだ。

 ただもちろんこちらも動くということは、敵であるガーヒルも動く。そして今、その連中らとの虚々実々、水面下での闘争が――


「なにも起きなかったのよねぇ……」


 そう、何も起きなかった。

 なんか嫌がらせの1つでもしてくると思ったのに、見事に何もない。暇。
 前パパの時は、選挙事務所の前に鶏の死骸が散らばってて大惨事だったり、動物の糞がばらまかれてたり大変だったけど。あ、もちろん鶏はスタッフが美味しくいただきました。え? なんで、ってそりゃ人間の都合で亡くなっちゃったんだから、ちゃんと食べてあげないと可哀そうでしょう? このご時世、色々と問題出て来るし。
 もちろんその時の前パパと私はすごい鳥アレルギーだったんで、食べたのは全員事務所のスタッフだけど。
 あ、なんか鳥の話をしてたら食べたくなったなぁ。今日の夕食はチキンとかないかなー。

 ましてやなんか意気揚々と掲げていたクリーンナップキャンペーンとかいうのも全く動きが見えない。
 あーあ。あれをやってくれれば、絶対民衆からの大反対が起きて、それを上手く拾い上げて民衆からの絶対的な支持を取り付けるつもりだったのに。
 お偉いさんの組織票も大事だけど、なんだかんだいって一般市民の票田ひょうでんを集めなきゃ選挙には勝てないのにねぇ。どうして偉くなるとそれが分からないのかしら。

 というわけで暇だった私は、それでも一応私は事件に巻き込まれた可哀そうな令嬢ということなので学校(そう、この世界にはちゃんと学校があったらしい)にはまだ出ていない。

「ねぇパパ。これなに?」

 だから今パパの書斎に入って、適当な本を物色していたんだけど、そこで変なファイルを見つけた。
 あ、ちなみに文字はちゃんと読める。ミミズのはいつくばったわけのわからない文字列だけど、体はエリちゃんのものだからか、文字は読めなくても意味として頭に入って来るのだった。便利。

 今パパはこの国の最高権力者の1人ということで、色々と重要な資料がこの書斎には入っている。
 うーん、でも『これぞ決定版! 上手な上役の取り入り方』とか『ためになる! 同僚や競争相手の蹴落とし方』『これで相手もドキドキ!? 心に刺さる皮肉集』みたいな実践書みたいなのはないみたい。残念。

「ん、ああ、それは……ちょ、それはダメだ!」

 ん、顔色を変えるってことは面白いものに違いない。
 というわけで今パパがこちらに来る前に、ファイルを開いて中を見てみる。

「んー? ファーザランド卿、3千900。オリエンス卿、2千500……なにこれ」

「い、いや。ただの名簿だよ。そう懇親会のね?」

「ここにイチノ国って書いてあるけど」

 イチノ国。この国――ルリアルノ国の隣に位置する国で、まぁその2つは仲が悪い。
 つまり敵対国の、しかも卿がついてるってことは貴族の名簿って。何か匂うわね。

「エリ、ちょっとこれを外で朗読したい気分」

「分かった! 分かったから朗読はやめなさい! ちゃんと話すから」

 今パパが降参とばかりに力なくうなだれる。
 うーん、もうちょっと粘ってほしかったけどなー。ま、いいわ。ちょっと面白そうだし。

 私は名簿を今パパに返す。すると今パパはげっそりとした様子で、その名簿について話し始めた。

「これはイチノ国の大臣の名簿だよ」

「大臣の?」

「ああ。こちらに引き抜くことができないか。金額は要は渡した金額だな。もう少しでなびきそうなんだが、なかなかな」

 へぇ。そんなことするんだ。
 金による買収。金色のお菓子。ま、実際選挙でもそんなことはやってた…………いえ、やった人もいるって聞くし。うん。うちはやってないよ? 清廉潔白。お金ないし。全然無理だって。そういうこと。どこもやることは似たようなものなのかもしれないわね。

「た、頼むからそれは内密にしてくれよ。下手をすれば、それで敵国に内通した証拠として売国奴として裁かれるかもしれんのだからな。さすがにこれを抑えられたらおしまいだよ、私は」

 じゃあそんなヤバいもの、普通に書斎に置いとかないでよ。

 ふーん。思ったよりしょうもないものだったわ。あのガーヒルを追い落とせるようなものじゃないし。
 ま、何かの役に立つかもしれないから覚えておきますか。

「で、こっちは?」

 今パパのデスクの横に山積みになっているファイルの山に目を落とす。

「ああ、これはな……その、なんだ。貴族の、その、ご子息の……」

 今パパはどうも要領を得ない感じでしどろもどろに答える。

 私はファイルをパラパラとめくる。そこにはまぁそれなりにイケメンの顔写真が見えた。

 あー、なるほど。つまりこれはあれか。

「私を政略結婚の駒にしようと?」

「そ、そういうわけではないがな? その、なんだ。ガーヒル卿とのこともあったわけだし」

 今パパはかいてもない汗を、取り出したハンカチをぬぐうそぶりを見せた。

「つまりガーヒルに捨てられた私を駒にして、味方を増やそうと」

「い、いや。お前も色々ショックだろうからな。少し気分転換にお見合いでもどうかと思って……だな」

 はぁ。これだから男親は。
 婚約破棄されてすぐに次の恋愛ってすぐに行けるわけないじゃない。まぁあの婚約に愛があったとは思えないけど。

 でも、これは使えるかもしれない。
 私が結婚するとかはまた別として、この状況を打破する何かとなるもの。

 …………うん。いけそう。
 これを使えば、少なくとも今の四面楚歌の状況は少し改善されるかもしれない。そのためにはある程度の選定と、私の演技力、企画力が試されるわけだけど。

 ま、どうにかなるでしょ。
 やらない善よりやる偽善って言うしね。え? 違う? そう。ま、どうでもいいわ。

「お父様、ちょっとお願いがあるんですが」

 というわけで、プロジェクト“かぐや姫”。スタート。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました

空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。 結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。 転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。 しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……! 「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」 農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。 「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」 ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...