知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第4章 ジャンヌの西進

閑話41 喜志田志木(旧ビンゴ王国将軍)

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 いや、やっぱり慣れないことはやるもんじゃないね。
 だから言ってるじゃん。
 俺、人付き合い苦手だって。

 なのになんでこうなるかなぁ。

「遅いぞ、将軍! 何をしていた!」

 いや、戦争だけど。

 戻って開口一番、言われたのがそれだった。

 豪奢な椅子に座りながら、フルーツの盛り合わせを抱えながらむしゃむしゃとかぶりつく、スーパーメタボ。
 旧ビンゴ王国の王太子――えっと、名前忘れた――は、まぁ見ての通りというかバカ息子だった。

「まったく、こんなところにいつまで私を縛り付けておくつもりだ」

 できれば一生。

「貴様もビンゴの臣ならば、もそっと努力せい」

 別に忠誠誓ったつもりないけど。

「貴様にはもう少し私という名君を抱く幸運を感じ、忠誠を誓ってもらわなければ困る」

 超不運です。てか牢に入れておいて忠誠心とかないよね?

「何か言いたいのか?」

「いえ、なにも」

「うむ、ならば良い」

 うん、もういいよ。どうでも。

「ふむ、だが帝国軍の半数以上を追い払ったその力量はさすがだ。これは褒美をくれなくてはな」

 あ、いやいいです。

「ほれ、私の署名サイン入りの感謝状だ。末代までの家宝といたせ」

 うわーやったーうれしー。一銭にもならないお宝をくれるなんて凄い太っ腹。ちょうど紙が切れてたんで、鼻かんでいいですか?

「ふっ、そこまで感動するとは。お主も変わったのぅ」

 ええ、あんたの能天気っぷりに感動してますよ。

「うむ、では機は熟した! 皆のもの! いざ凱旋だ!」

 はぁー、本当に死んでくれないかなー。

 なんてことで急遽出陣が決まり―の。とりあえずアッキーに手紙を送り―の。
 それで、3日後には首都スィート・スィトンにたどり着いていた。

 あぁ、懐かしいな……とはならない。
 基本、いなかったからね。

 けどこの人はそうではないらしい。

「おお、我が懐かしの都。我が父の御霊みたまよ、歴代の国王の英魂よ、御照覧あれ! 艱難辛苦かんなんしんく七転八倒しちてんばっとう臥薪嘗胆がしんしょうたんの末。ビンゴ王国再興のため、私は……私は帰って来た!」

 はいはい、どーでも――てかなに? 泣いてる!? うわーひくわー。

 しかも馬に乗れないから、4人で担ぐ輿こしに乗っている様はバカ殿様。
 国民に自らの姿を見せるために壁も屋根もない、ただの板に乗るバカ1名。

 あんま近くにいたくないんだけどなぁ……。

「それで、オムカを待ちます?」

「ならん」

 はぁ? なに言いだしてんの?

「ふん、貴様は何も分かってはおらんな。この私が帰って来たのだ。我が声を聞き、我が姿を見れば、異国の支配者などたちどころに追い出して私を玉座に据えるに違いない!」

 えぇーどんな都合の良い脳してんのさ。
 しかも近習きんじゅうたちはこぞって賛同してるし。

「えっと、いやー。さすがにそれは……」

「貴様、また反発するか下郎!」

「えーっと、そういうわけじゃなく、ね? オムカも来ているわけだし、共同戦線を――」

「無用だ! そもそも私は頼んでおらん! しかもオムカなど下賤のものに。む……さては将軍、貴様オムカと通じているな!」

 いやいや、なんでそうなるの!?
 ……通じてるけどさ。けどまた牢に入れられるのは勘弁。

「いえいえいえいえ、せっかくいるんだから利用してやった方がいいかな、思っただけで」

「ふん、ならば向後は認識を改めよ。そして覚えておけ! 貴様が仰ぎ見るのは私! そう、この新生ビンゴ王国初代国王ディンゴ・ビンゴだけであるとな!」

 はい、忘れました。もう勝手にして。

「では行くぞ! 我が民が待っている! 国王の我に続け!」

 張り切って馬を走らせる我らが国王。それに近習らと近衛兵らしき部隊が続く。
 正直、あんまついていきたくないんだけど。

「おお、我が王がついに……しかして将軍、追いかけなくてよいのですか?」

 隣のグリードが聞いてくる。

 はぁ……元々は王太子の旗下だから色々便利だろうと思って連れてきたけど、これならグロスを連れてくるんだった。
 本当にめんどくさい。

「国王の威厳を知らしめるために、俺たちは少し遅れてついていこうか」

「承知!」

 ま、嘘だけど。

 というわけで少し距離を置きながら続いていく。

 ようやく城門が、城壁がその威容を示すように見えてきた時には、すでに王太子は南門の前まで来ていた。
 そこで止まると、声高々と城門に向かって叫ぶのが見えた。

「ビンゴの民よ! 私が戻ったからには安心せよ! これまでよりもっと素晴らしい王国を築くと約束しよう! ゆえに我が命じる! 開門せ――」

 王太子の声が途切れた。
 何が、と思ったら、背中から一本の棒が突き出ているのが見えた。
 人間にはそんなもの生えていない。
 つまり生やした者がいるということで。

 あー、まぁそうなるよね。

「よお、おおおお!?」

 さらに矢が撃ち込まれ、前進をハリネズミみたいにされた王太子は、叫びをあげながら落馬した。
 近習は慌てふためくだけで、そのまま続く矢の標的になるだけだった。

「お、王ーーーー!」

「待て、グリード」

「し、しかし……奴ら。我らが王をよくも……八つ裂きにしてやらねば!」

「だからそれを待てって。ここで突っ込んでも被害が増えるだけで城門は抜けないでしょ」

「ですが……だからといって」

「言ってる場合じゃないよ。門が開いた。敵が来る。さぁ、逃げろ逃げろ」

「くっ……おのれぇっ!」

 グリードは不満そうだったけど、正直この結果には個人的に大満足だ。

 これでアッキーがめんどくさいこと言いだしてもビンゴ王国は実質アッキーの支配下に入る。
 そうなれば俺も心置きなく引退できるというわけで。

 うん、かなり不快な思いもしたものの、結果としては上々かな。
 さって、アッキーに報告に行こうか。
 いやいやアッキー、どんな顔するかな? 楽しみだ。
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