知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第4章 ジャンヌの西進

第78話 誰がために君は泣く

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「帝国軍、撤退していきます!」

 その報告に、喚声が響き渡る。
 だが俺はみんなと一緒に騒ぐ気にはなれなかった。

 歌が聞こえた。
 戦場で。

 その歌声にどこか聞き覚えがあり、そしてそれに思い当たると止まらなかった。
 帝国軍の陣地。
 そこにいた兵に案内されたのは1つの小屋の中。
 そこに1人の人物が拘束されていた。

「アヤ!」

「へぅ!?」

 驚いたような顔。半年前に別れたまま変わらない。
 その流れるような髪の毛も、澄んだ池のような瞳も、バーで働いていた時のものと同じ。
 間違いない。アヤだ。

 だがどこか反応がおかしい。
 まるで俺のことを知らないような、何もかも記憶を置いてきてしまったような、そんな印象。

「アヤ、だよな……」

「えっと……いえ、違います」

 おどおどと、だがはっきりと否定した。
 けど顔も声もアヤだ。

 ……いや、落ち着け。
 この世には同じ顔をした人間が3人いるという。
 他人の空似ということもあるだろう。

 この異世界にも通用するのか知らないけど、ここまでしらを切られたらどうしようもない。
 気持ちを切り替えて俺は質問を始める。

「君は、帝国軍か?」

「え…………」

「ここにいるってことは帝国の人間ってことじゃないのか」

「えっと……いえ、違います。その……堂島さんにここにいろって」

「堂島さん?」

「はい、あの帝国の元帥、っていうんですか? 数日前に、身寄りがなくて困っていた私を拾ってくれたんです。なんでも同じプレイヤーということで――」

「プレイヤー!?」

 まさかその言葉を彼女から聞くとは。
 周囲をうかがう。

 案内してくれた兵は扉のそばにいるし、護衛のサールも外だ。

 だから小声で聞く。

「君も、プレイヤーなのか?」

「あ、はい……えっと、まだよくわかってないですけど……“も”ってことはもしかして貴女も?」

「ああ。そうだ。俺はオムカの写楽……いや、ジャンヌ・ダルクだ」

「ジャンヌ・ダルク? ジャンヌ・ダルクってあの?」

「あぁ、名前だけ同じなんだよ。適当につけた名前っていうか」

 まだ敵か味方も分からない彼女に、俺が男だなんて言えるはずもなかった。

「そう、なんですか。あ、私は林檎です。林田林檎」

「林檎、ね。よろしく」

「は、はぁ……」

 林檎があいまいに頷く。
 何かひっかかることがあったのだろうか。

「何かわからないことがあったら何でも言ってくれ。答えられる範囲なら答えるから」

「あの……変なこと聞くかもしれないですけど、おいくつですか?」

「あぁ、にじゅ…………15だ」

「へぇ、小さいのにしっかりしてますね」

 そういってほほ笑む林檎。
 緊張感がないというかなんというか。
 この状況、分かってるのか?

 まぁ、しかし。
 この世界に来たばっかで、たまたま帝国に保護されただけらしいというのは分かった。
 景斗の例があるから安心はできないけど、これも演技だとは思いたくもない。

「それで、君はどうしたい? 残念ながら君を帝国に戻すわけにはいかないが……」

 プレイヤーは下手したら戦局を変える力を持つ。
 だからできれば敵には渡したくない。
 彼女に戦場に立つ意志があるなしにかかわらず、だ。

「えっと、その……私、帝国には別に何の思い入れもないです。堂島さんにお別れ言えないのはちょっと残念ですが」

 やっぱりちょっとずれてるぞ、この子。
 いや、数日前にこの世界を知ったのなら、何もわかっていないということだろう。

「だから、もしよかったら……嫁がせてください!」

「と、嫁ぐ!?」

「あ、えっとす。みません、間違えました。養ってください!」

「いや、それも違う」

「えぇ!?」

 本当につかめない。
 おそらく全部本気で言っているのだろうが……これが天然というやつなのか?

 とはいえ敵対感情は持っていないらしく、それについては安心した。
 彼女を安心させるために、少し声を明るくして伝える。

「とりあえず危害は加えない。そこは安心してくれ」

 そう言って外にいるサールを呼び出す。

「彼女をうちらの陣に連れて行ってくれ。あくまでも丁重にな」

「はっ!」

 とりあえず細かいことは後だ。
 帝国軍を撃退し、ようやくここまでたどり着いた。
 あとは最後の仕上げが残ってる。

 だが小屋を出たところで、次なる衝撃が待ち受けていた。

「ジャンヌ様! 大変です、キシダ将軍が!」

 息を切って表れた伝令が、急報をもたらした。
 その言葉というより必死の形相に、俺は深く衝撃を受ける。

「今行く!」

 喜志田が?
 いったい何が。
 いや、まさか。

 案内されたのはビンゴ軍の集まっている場所。
 首都から離れているからここはまだ水浸しにはなっていない。
 そこに円形に人が集まり、その中央に彼はいた。

「やぁ、アッキー……元気?」

 血の気の失せた顔で、相変わらずの軽口をたたく。
 だがその下。胴体部分を袈裟に斬られたらしく、眼をそむけたくなるような傷からあふれる水分が彼の衣服を濡らしていた。

 そして認めたくないことだが、俺ははっきりと感じた。
 これが死相というものだと。明らかに、通常の人間とは違う。どこか病的で、どこか退廃的で、どこか絶望的な顔。

「ふっ……なんて顔……してんのさ。こんなの、かすり傷、さ」

「それが言えるのはうちのサカキくらいだな」

「ふ……ふふっ。そうだ、な」

 声にもおちょくりにもキレがない。

「喜志田!」

「いや、しかし参ったよ。あれは……強いよ?」

「お前は勝ったんだ。相手は撤退していった。だからお前は勝ったんだよ」

「ん……いやぁ……どうかなぁ。しかし、やっぱり……慣れない、こと……するんじゃないねぇ……」

 あ、死ぬ。
 喜志田が死ぬ。

 なんとなく直感でそう思った。

 するとこれまでのこいつとのやり取りが堰を切ったようにあふれ出す。
 思えばここ2か月ほど、こいつとはいつも一緒にいた。そしてなんだか振り回されたような気がしたけど、色々相談に乗ってくれた。

 楽しかった、と言い換えてもいいかもしれない。
 あまり認めたくないけど。

 ビンゴ領の平定がここまで成ったのも、彼が尽力してくれたからだし、その功績は決して消えていいものじゃない。

 なのに、死ぬ。
 喜志田志木が今死ぬのだ。

 無情にも、無慈悲にも。
 こんなことがまかり通る。この世界。本当に腐ってる。

 それを思うと、これまで我慢した思いが爆発した。

「喜志田! 死ぬな! 頼む。お前がいなくなったら……俺は……」

「ふっ……ふふっ……アッキーの泣き顔。ブサイク」

「あぁ、ブサイクでもいい。悪口だって言われてやる。だから死ぬな!」

「ひどいこと、いうなよ。……俺は、死にたかった……元から。国が滅んで、もういいやって……思った」

 それはなんとなく感じていた。
 彼のやる気のなさ。そこにはどこか、自分の命さえも投げやりにしてしまうほどの危うさがあったから。

 けど、それでも。
 ここ数か月の彼には、そんなものはなくクロエも、ビンゴのみんなも、世話になってきたわけで。

 何より、俺だ。
 こいつがいたから、対等の立場で色々と話ができたから。下手に隠し事せず、なんでも話せたから。

 正直、助かった。
 心地よかったと言ってもいい。
 救われたと思ったことも何度あったか。

「本当は、もっと前に死ぬつもり……だった。そう、君にしてやられた時だよ、ジャンヌ・ダルク……」

「……あの時は、お互い様だろ。ねちねちと嫌がらせしやがって」

「あぁ、あれは傑作……だった、なぁ。グロスも、その時にはいた……もう、いないけど」

 クロスは傷ついた喜志田を守るため、敵の突撃を一身に受けて死んだという。

 もう本当にいい加減にしてくれと思う。
 知ってる人の命をこうも簡単に奪っていく戦争。それが本当に心底憎い。そしてその憎いものでしか、みんなを守れない自分の無力っぷりも憎く思う。

「アッキーに……全部押し付けたんだ。けど、それをアッキーは……クイズを答えるみたいに、正解していった。だから……なんだか見たくなったよ……アッキーがどこまで、行けるのか……ははっ、それで無理してこれじゃあ……笑えないな」

「あぁ……笑えないよ。全っ然、笑えない!」

「それは残念……」

 喜志田がため息をつく。
 何かが漏れ出した。そんな気がした。

「センドに言っておいた。何か……あったら。俺の次は全部、アッキーに……任せろって」

「そんな、不吉なこと……言うなよ」

「次は……決戦だよ。帝国との……あのクソ女との。あぁ、惜しいなぁ……アッキーが、あのクソ女をプギャーさせるの……見れないじゃん。それだけが、心残り」

「心残りとか言うな! 生きて、生きて、見ろよ。俺が……帝国を滅ぼすの!」

「ふふっ、それは来世で聞こうかな。ま、頑張って」

「…………っ!」

 もう何も言葉にならない。
 歯を食いしばらないと、恥も外聞をかなぐり捨てて泣き叫んでしまう。そう思ったから。

「あぁ、死にたくないなぁ……」

 そう言って深く、深くため息をつく。
 そのため息から何かが一緒に漏れ出したような気がした。

 それが、ビンゴ王国最後の将軍にしてプレイヤーの1人、喜志田志木の最期の言葉だった。

 しとしとと降る雨の中、ビンゴ兵の慟哭どうこくが天に届かんとする。
 その中で俺は、喜志田の亡骸なきがらにしがみつき、ただ声を殺して……泣いた。
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