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第5章 帝国決戦
閑話4 クロエ・ハミニス(オムカ王国ジャンヌ隊副隊長)
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隊長殿の気合が身に染みた。
それがなんだか嬉しくて、体を動かさないと爆発しそうになる。
「作戦とか、あるー?」
ルックがのんびりした声で聞いてくる。
うん。彼の声は張り切りとは無縁に聞こえるけど、なんだかんだで彼も燃えているのが分かる。
なんてったって隊長殿の前なのだ。無様な戦いは見せられない。
「もちろんある! こうバーンと行って、ドーンとすれば、ズギャギャギャギャーン、ってなるから!」
「うん、つまり何もないってことだねー」
なんでよ。完璧な作戦なのに。
「じゃあ、どうしたいかってのは? さっきのウィットみたいな、とか」
どうしたい、か。
もちろんウィットの真似なんて死んでも嫌。
やるなら当然隊長殿のように。
でも隊長殿、突っ込んではいくけどほとんど私たちに丸投げだからなぁ。
それが悪いって言ってるわけじゃなく、これといって真似するものがないというか。
強いて言うなら、速さとタイミング、かな。隊長殿はどんな時も的確なタイミングと圧倒的な速度で戦場を掻きまわして、鮮やかな勝利を得ていた。
自分もあんな風に鮮やかに動ければと思う。
「なるほど、隊長みたいにねー。でもさー、クロエ。それって僕たちにもできると思わないー?」
「え?」
「だって、僕たちはいつも隊長殿と一緒にいたんだよ。突っ込むタイミングも速度も、体験してきた。だからなんとかなるよー」
そうだ。いくら隊長殿のことを見てきたとはいえ、実行してきたのは私たちじゃないか。
なら速さは真似できる。
あとはタイミング。
どこへどのタイミングでどう突っ込めばいいか。
それは“なんとなく”分かっている。
隊長殿のタイミングをこれまで何度も見てきた。
そして、それが正しいことが“なんとなく”自分にも理解できる。
だからそれをやろう。
そうすれば、きっと隊長殿に少しでも近づけるような気がしたから。
「決まったみたいだね、その顔はー」
「ん、とりあえずは」
「じゃあいけるね。おっと、敵が動きだしたねー」
ルックののんびりとした声は、どうも緊張感がない。
それでも敵――ブリーダの率いる騎馬隊が動き出したのは分かる。
本気の戦闘でないし、さほどの兵数でもないけど、それでも向こうから来る威圧感は半端ない。これを相手になんとかしのぎ切ったウィットのこと。小指の爪先くらいは認めてあげなくもない。
「どうする、隊長」
「ん……」
そうだ、ここでは私が今は隊長だ。
命令しなければ、他が動かない。
どう命令すればいいか。
それは知っている。
だって、いつも一番近くで、その命令を受けていたのだから。
「迎撃する! 私の後ろを見失わないようついてこい!」
走り出す。
100騎が後ろに続く。
馬が軽快に走る。喜んでいる。主とこの草原を走れる喜びだ。
少し寒いけど、この速度で走るのはどこか心地よい。
その心地よさを邪魔する何かが前から来る。
ブリーダ。その騎馬隊。
距離が縮まって威圧感がすごい。
これがあの男なのか。あのへらへらして、副官のアイザさんの尻に敷かれる情けない印象の彼とは別人に見える。
けど臆していられない。
もはや隊長殿の後任とか、ウィットのこととかどうでもよかった。
この男と相手できる。
強い相手と戦うことができる。
その喜びが、体中を支配した。
「切り抜ける!」
棒を構える。進路は変わらない。
加速した。お互いが一直線に距離を詰める。
このままいけば激突だ。
どちらが馬首をずらすかのチキンレース。
そして、ブリーダの顔が、表情が読み取れる位置まで来ると、その顔が笑みに包まれた。
左にずれた。
同時だった。
お互いが同タイミングで馬首を横にずらし、激突を回避する。
ホッとするのもつかの間、相手からあからさまな殺気。
すれ違う瞬間に攻撃をしかけてきたのだ。
握った木の棒を、手の中で一度遊ばせて握りなおす。
応戦する。
ブリーダ。来る。弾いた。安堵。だがすぐ次。当然だ。私は先頭。何より私を倒せば相手は勝ちなのだ。だから集中する。攻撃が。棒が来る。目で追う。前に。避けた。反撃。パンッ。割った。倒した。次。弾く。キリがない。なら――
馬首を左に向ける。
加速度的に敵との距離が開いた。
そこで馬の加速を落とす。
「……ふぅ」
「大丈夫ー?」
ルックが緊張感のない声で語り掛けてくる。
どうやら彼も無事のようだ。
「ん、とりあえずは。1人叩き落としたけど……こっちは?」
「10騎ほど落とされたかな。まぁさすがだね」
10騎も……。
あの一瞬でそこまでの差が出るのか。
こういう時にルックの弓が使えればと思うけど、そうすると不公平だし、そもそも弓を使うのは禁じられていた。
まぁいいや。
もともと実力差はあるのだ。
オムカ軍に入ったのはほぼ同時期とはいえ、彼は将軍の息子として鍛えられ(増長してたけど)、そして帝国に抗っていたのだ。
その後も、彼は数千の部下を切り従えてひたすらに前線で戦い続けた。
部隊指揮に差が出るのも当然。
それは受け止める。
受け止めて、けど、それがどうした。
自分もあのジャンヌ・ダルク隊長殿の下でずっと戦い続けてきた。部隊指揮では負けるかもしれないけど、それ以外のところで負けてたまるものか。
「ルック、部隊を分けるからよろしく」
「えぇ!? 僕が率いろって!?」
珍しくルックが驚いたように声をあげた。
「そっちの50で相手をかく乱して。無理に攻める必要はないから」
「各個撃破されそうだけど」
「その前にこっちが挟撃に持ち込むから」
「ん……んん……まぁ、そういうならー」
これまで隊長殿は戦力で劣る敵に対し、ひたすら勝ってきた。
けど正攻法では勝てない。奇襲、挟撃、誘引、火など正攻法以外のやり方でなければ兵力差は覆せないのだ。
今も同じ。
兵数はほぼ一緒でも、兵力の差は歴然としている。
だから。
「正攻法でやったら勝てない。地形を使うにも、こうも何もないとどうしようもない。なら、最低限勝つ努力しないと」
「ウィットみたいに引き分けは狙わないんだねー?」
「あんなの、負けてないだけ。これから帝国って敵と戦うのに、勝たない勝負をする意味がないじゃない!」
「……ま、それがクロエだよねー」
「なによ」
「いやいや、そっちの方がらしい、ってこと。分かったよー。50騎で相手の鼻先をかき乱すでいいんだね?」
「うん、お願い。後は私がやる」
自信なんてものはない。
隊長殿みたいに理論立てて組み立てて、勝利への道筋を確立することなんてできない。
けど、直感が告げている。
やれる。できる。私だって。隊長殿のすぐそばで、ずっと見ていたんだから。
だから、
「勝つよ!」
90人が声を上げる。
同時、走りだした。
相手も動き出す。
こちらの対応を見て反応したような動き。
こちらの動き出しを見られた。
いや、待たれていた。待っていてくれていた。
それはある意味屈辱。舐められているということだから。
けど構わない。勝てばいい。だから行く。
真正面から突っ込んだ。
相手も同じ。
再び同じことが起こるか。
いや、その直前。手を挙げ、馬を左に。ルックはその逆を行く。
部隊が割れた。
相手の先頭にいるブリーダが少し驚いたような顔をする。
左右に別れたこちらの騎馬隊を、敵の騎馬隊はただ一直線に突き抜ける。
急旋回。そのまま相手と相対速度を一瞬合わせ、そのまま敵のわき腹に食いつこうとした。
加速される。かすった。最後尾の数騎を落としただけで逃げられた。
相手も反転する。
その鼻先をルックがかすめる。
一瞬、相手の動きが鈍った。
そこだ。
突っ込む。
斜めからえぐるように。ブリーダの首を取りに。
加速のついたこちらと、減速した相手。
しかもルックの隊に視界を遮られ、さらにわき腹に食らいつく動きをしているのだから奇襲と挟撃になる。
勝つ。
木の棒を再び握りなおす。
目の前。ブリーダ。その頭を落とす。横にはアイザ。勝つ。ブリーダの表情。二ッと笑った。気がした。
そして、ブリーダの姿が消えた。
「えっ!?」
おかしい。目の前にブリーダがいたはずなのに。
その後ろに100騎が続いていたはずなのに。
途端、後ろから衝撃が来た。
「後ろっ!?」
見れば40騎のうち、半分がやられていた。一撃で、だ。
何が――と思った時に、パンパンッと連続して風船が割れる音。
こちらではない。
別動隊、ルックの方だ。
少し離れたところで後ろから猛追されて犠牲者を出していた。
その先頭には、小柄な女性らしき人物がいる。
「あ……」
理解した。あれはアイザだ。
そして自分が突っ込んだ時、ブリーダはアイザと並んでいた。
それはつまり、
「隊を割った!?」
自分たちがやったように。
100騎なら動きが緩慢になったはず。それを半分に割ったのだから、機動性もあがるのは疑いようがない。
二手に分かれて挟撃しようとしたのを、二手に分かれて各個撃破された。
いや、違う。
これも奇襲だ。
相手を引き付けておいて、二手に分かれて急加速。
こちらの視界外から襲い掛かってきた。それだけのこと。
「狙いはよかったっすけど」
声。どこ? 右? 棒。振る。手ごたえは、ない。
パンッ
風船の割れる音。
相手じゃない。
衝撃。
自分の頭から、だ。
「勝ちは勝ちっす」
左側。棒を自分の頭に振り下ろした状態のブリーダが、そう言って笑みを浮かべていた。
負けた。
その思いがずしりと肩に乗っかってくる。
隊長殿の期待に応えられなかった。ウィットごときの下風に立つことになった。
それが悲しくて、悔しくて、私は久しぶりに涙を流した。
それがなんだか嬉しくて、体を動かさないと爆発しそうになる。
「作戦とか、あるー?」
ルックがのんびりした声で聞いてくる。
うん。彼の声は張り切りとは無縁に聞こえるけど、なんだかんだで彼も燃えているのが分かる。
なんてったって隊長殿の前なのだ。無様な戦いは見せられない。
「もちろんある! こうバーンと行って、ドーンとすれば、ズギャギャギャギャーン、ってなるから!」
「うん、つまり何もないってことだねー」
なんでよ。完璧な作戦なのに。
「じゃあ、どうしたいかってのは? さっきのウィットみたいな、とか」
どうしたい、か。
もちろんウィットの真似なんて死んでも嫌。
やるなら当然隊長殿のように。
でも隊長殿、突っ込んではいくけどほとんど私たちに丸投げだからなぁ。
それが悪いって言ってるわけじゃなく、これといって真似するものがないというか。
強いて言うなら、速さとタイミング、かな。隊長殿はどんな時も的確なタイミングと圧倒的な速度で戦場を掻きまわして、鮮やかな勝利を得ていた。
自分もあんな風に鮮やかに動ければと思う。
「なるほど、隊長みたいにねー。でもさー、クロエ。それって僕たちにもできると思わないー?」
「え?」
「だって、僕たちはいつも隊長殿と一緒にいたんだよ。突っ込むタイミングも速度も、体験してきた。だからなんとかなるよー」
そうだ。いくら隊長殿のことを見てきたとはいえ、実行してきたのは私たちじゃないか。
なら速さは真似できる。
あとはタイミング。
どこへどのタイミングでどう突っ込めばいいか。
それは“なんとなく”分かっている。
隊長殿のタイミングをこれまで何度も見てきた。
そして、それが正しいことが“なんとなく”自分にも理解できる。
だからそれをやろう。
そうすれば、きっと隊長殿に少しでも近づけるような気がしたから。
「決まったみたいだね、その顔はー」
「ん、とりあえずは」
「じゃあいけるね。おっと、敵が動きだしたねー」
ルックののんびりとした声は、どうも緊張感がない。
それでも敵――ブリーダの率いる騎馬隊が動き出したのは分かる。
本気の戦闘でないし、さほどの兵数でもないけど、それでも向こうから来る威圧感は半端ない。これを相手になんとかしのぎ切ったウィットのこと。小指の爪先くらいは認めてあげなくもない。
「どうする、隊長」
「ん……」
そうだ、ここでは私が今は隊長だ。
命令しなければ、他が動かない。
どう命令すればいいか。
それは知っている。
だって、いつも一番近くで、その命令を受けていたのだから。
「迎撃する! 私の後ろを見失わないようついてこい!」
走り出す。
100騎が後ろに続く。
馬が軽快に走る。喜んでいる。主とこの草原を走れる喜びだ。
少し寒いけど、この速度で走るのはどこか心地よい。
その心地よさを邪魔する何かが前から来る。
ブリーダ。その騎馬隊。
距離が縮まって威圧感がすごい。
これがあの男なのか。あのへらへらして、副官のアイザさんの尻に敷かれる情けない印象の彼とは別人に見える。
けど臆していられない。
もはや隊長殿の後任とか、ウィットのこととかどうでもよかった。
この男と相手できる。
強い相手と戦うことができる。
その喜びが、体中を支配した。
「切り抜ける!」
棒を構える。進路は変わらない。
加速した。お互いが一直線に距離を詰める。
このままいけば激突だ。
どちらが馬首をずらすかのチキンレース。
そして、ブリーダの顔が、表情が読み取れる位置まで来ると、その顔が笑みに包まれた。
左にずれた。
同時だった。
お互いが同タイミングで馬首を横にずらし、激突を回避する。
ホッとするのもつかの間、相手からあからさまな殺気。
すれ違う瞬間に攻撃をしかけてきたのだ。
握った木の棒を、手の中で一度遊ばせて握りなおす。
応戦する。
ブリーダ。来る。弾いた。安堵。だがすぐ次。当然だ。私は先頭。何より私を倒せば相手は勝ちなのだ。だから集中する。攻撃が。棒が来る。目で追う。前に。避けた。反撃。パンッ。割った。倒した。次。弾く。キリがない。なら――
馬首を左に向ける。
加速度的に敵との距離が開いた。
そこで馬の加速を落とす。
「……ふぅ」
「大丈夫ー?」
ルックが緊張感のない声で語り掛けてくる。
どうやら彼も無事のようだ。
「ん、とりあえずは。1人叩き落としたけど……こっちは?」
「10騎ほど落とされたかな。まぁさすがだね」
10騎も……。
あの一瞬でそこまでの差が出るのか。
こういう時にルックの弓が使えればと思うけど、そうすると不公平だし、そもそも弓を使うのは禁じられていた。
まぁいいや。
もともと実力差はあるのだ。
オムカ軍に入ったのはほぼ同時期とはいえ、彼は将軍の息子として鍛えられ(増長してたけど)、そして帝国に抗っていたのだ。
その後も、彼は数千の部下を切り従えてひたすらに前線で戦い続けた。
部隊指揮に差が出るのも当然。
それは受け止める。
受け止めて、けど、それがどうした。
自分もあのジャンヌ・ダルク隊長殿の下でずっと戦い続けてきた。部隊指揮では負けるかもしれないけど、それ以外のところで負けてたまるものか。
「ルック、部隊を分けるからよろしく」
「えぇ!? 僕が率いろって!?」
珍しくルックが驚いたように声をあげた。
「そっちの50で相手をかく乱して。無理に攻める必要はないから」
「各個撃破されそうだけど」
「その前にこっちが挟撃に持ち込むから」
「ん……んん……まぁ、そういうならー」
これまで隊長殿は戦力で劣る敵に対し、ひたすら勝ってきた。
けど正攻法では勝てない。奇襲、挟撃、誘引、火など正攻法以外のやり方でなければ兵力差は覆せないのだ。
今も同じ。
兵数はほぼ一緒でも、兵力の差は歴然としている。
だから。
「正攻法でやったら勝てない。地形を使うにも、こうも何もないとどうしようもない。なら、最低限勝つ努力しないと」
「ウィットみたいに引き分けは狙わないんだねー?」
「あんなの、負けてないだけ。これから帝国って敵と戦うのに、勝たない勝負をする意味がないじゃない!」
「……ま、それがクロエだよねー」
「なによ」
「いやいや、そっちの方がらしい、ってこと。分かったよー。50騎で相手の鼻先をかき乱すでいいんだね?」
「うん、お願い。後は私がやる」
自信なんてものはない。
隊長殿みたいに理論立てて組み立てて、勝利への道筋を確立することなんてできない。
けど、直感が告げている。
やれる。できる。私だって。隊長殿のすぐそばで、ずっと見ていたんだから。
だから、
「勝つよ!」
90人が声を上げる。
同時、走りだした。
相手も動き出す。
こちらの対応を見て反応したような動き。
こちらの動き出しを見られた。
いや、待たれていた。待っていてくれていた。
それはある意味屈辱。舐められているということだから。
けど構わない。勝てばいい。だから行く。
真正面から突っ込んだ。
相手も同じ。
再び同じことが起こるか。
いや、その直前。手を挙げ、馬を左に。ルックはその逆を行く。
部隊が割れた。
相手の先頭にいるブリーダが少し驚いたような顔をする。
左右に別れたこちらの騎馬隊を、敵の騎馬隊はただ一直線に突き抜ける。
急旋回。そのまま相手と相対速度を一瞬合わせ、そのまま敵のわき腹に食いつこうとした。
加速される。かすった。最後尾の数騎を落としただけで逃げられた。
相手も反転する。
その鼻先をルックがかすめる。
一瞬、相手の動きが鈍った。
そこだ。
突っ込む。
斜めからえぐるように。ブリーダの首を取りに。
加速のついたこちらと、減速した相手。
しかもルックの隊に視界を遮られ、さらにわき腹に食らいつく動きをしているのだから奇襲と挟撃になる。
勝つ。
木の棒を再び握りなおす。
目の前。ブリーダ。その頭を落とす。横にはアイザ。勝つ。ブリーダの表情。二ッと笑った。気がした。
そして、ブリーダの姿が消えた。
「えっ!?」
おかしい。目の前にブリーダがいたはずなのに。
その後ろに100騎が続いていたはずなのに。
途端、後ろから衝撃が来た。
「後ろっ!?」
見れば40騎のうち、半分がやられていた。一撃で、だ。
何が――と思った時に、パンパンッと連続して風船が割れる音。
こちらではない。
別動隊、ルックの方だ。
少し離れたところで後ろから猛追されて犠牲者を出していた。
その先頭には、小柄な女性らしき人物がいる。
「あ……」
理解した。あれはアイザだ。
そして自分が突っ込んだ時、ブリーダはアイザと並んでいた。
それはつまり、
「隊を割った!?」
自分たちがやったように。
100騎なら動きが緩慢になったはず。それを半分に割ったのだから、機動性もあがるのは疑いようがない。
二手に分かれて挟撃しようとしたのを、二手に分かれて各個撃破された。
いや、違う。
これも奇襲だ。
相手を引き付けておいて、二手に分かれて急加速。
こちらの視界外から襲い掛かってきた。それだけのこと。
「狙いはよかったっすけど」
声。どこ? 右? 棒。振る。手ごたえは、ない。
パンッ
風船の割れる音。
相手じゃない。
衝撃。
自分の頭から、だ。
「勝ちは勝ちっす」
左側。棒を自分の頭に振り下ろした状態のブリーダが、そう言って笑みを浮かべていた。
負けた。
その思いがずしりと肩に乗っかってくる。
隊長殿の期待に応えられなかった。ウィットごときの下風に立つことになった。
それが悲しくて、悔しくて、私は久しぶりに涙を流した。
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