知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
521 / 627
間章 それぞれの決断

間章11 写楽明彦(オムカ王国軍師)

しおりを挟む
 翌日、俺は無理言って皆に集まってもらった。

 ジル、サカキ、ブリーダ、クロエ、ウィット、マール、ルック、サールらこの世界のオムカ王国の軍人。クルレーンとアークはヨジョー城に詰めていない。
 そして里奈、イッガー、ミスト、竜胆、林檎、新沢のプレイヤー陣。

 合計14人の主だった人たちに加え、文武百官が謁見の間にずらりと集まっている。
 彼らは特に何を話すわけでもなく、ただ黙って事の始まりを待っていた。

 やがてニーアとマツナガを伴ってマリアが現れ、玉座に座る。

「突然の招集にもかかわらず全員が集まってもらって感謝します」

 マツナガが代弁して議事を進める。
 当然、俺が呼び出した理由も知っての上だから、その進行によどみはない。

「それでは、ジャンヌ・ダルク。話を伺いましょう」

 呼ばれ、全員の視線がこちらに向くのを感じる。

 俺は小さく深呼吸して、

「その前に、ここ数日。軍師の立場でありながらも、職務を放棄し、多大な迷惑を与えたことをここに謝罪します」

 そう言ってマリアに振り返り頭を下げる。

「うむ。罰は追って定める故、今は軍師の責務を果たすのじゃ」

「はっ」

 寛大な言葉をいただいて再び叩頭――と言えば聞こえはいいが、これもある意味、茶番だ。マリアに俺を罰するつもりはこれっぽちもないのだから。
 けれど信賞必罰。それをしっかりと知らしめることが大事なのだ。

 頭を上げた俺は、集まったみんなに向き直り、再び一礼して話し始めた。

「この度は、集まっていただき感謝します」

 茶化す者はいない。
 女王のいる以上、公式の場だ。
 だから俺も言葉遣いには気を付けて先を進める。

「今回、集まってもらったのは他でもありません。来るべき帝国との戦いについてです」

 その言葉に、さっと緊張が走る。

 特にジルやサカキといった軍人の面々には覇気のようなものが見え、逆に里奈たちプレイヤーからは心配するような戸惑いの視線を感じた。

「今度の戦いは、文字通りオムカ王国の死命を決する戦いとなります。負ければ降伏は許されず、女王様は敗軍の将として処断されることになります」

 そして俺は語った。講和会議で起きたことを。女神の存在を。
 もちろんただでは信じられないような話だ。けど、あの全土に響いた神の啓示がその話に信ぴょう性を持たせた。

 里奈たちにはざっくりと話していた。
 だからショックは幾分か少ないようだったけど、改めて話を聞かされてこの置かれた状況に沈思するように顔を伏せる。

 対してオムカの臣下としている人々には、顔を高揚させている者が多い。
 仕えるべきマリアが死ぬ、それ以上にその後に待つ現実を理解しているからだろう。

「我らが負ければ、女王様は処断され、そしてオムカの正統なる血筋は途絶え、オムカ王国は滅亡します。あとはそう。帝国の支配が再び全土を覆いつくすでしょう」

 帝国の支配。
 ほんの数年前の話だ。誰もがその当時の過酷な時代を知っている。

 そうなることを進んで望むものなどいない。
 だから今やオムカの人間の士気は最高潮と言ってもいい。

 望んでこの状況を生み出したというなら、あの女神。本当に底意地が悪い。
 そして、それを利用とする俺自身も。

 そう、俺は着火するためにここにみんなを集めた。
 オムカの人間を、心理的に追い詰め。帝国を打倒するための戦いに駆り出すため。

 そんな彼らに対し、殺せ死ねと言うのだから俺はもう本当にどうしようもない、最低の人間だ。
 だが、それも甘んじて受け入れよう。

 戦うと決めた。
 守ると決めた。
 勝つと決めた。

 そして俺ひとりではどうにもならないのだから、ほかの人の手を借りるしかない。
 頭を下げて、助力を請うて、誠心誠意真心を伝えるしか方法はないのだ。

 だから俺は言うんだ。

 自分の想い。
 戦う想い。
 守る想い。
 勝つ想い。

 それを、これまでさんざん嘘を吐き出した口から、真実として、祈りとして、外に放つ。

「私は、この国に来てまだ数年の新参者です。しかし、この国を、女王を思う気持ちに偽りはありません。ゆえに私は戦います。しかし相手は強力。いかに軍略があろうと、戦うのは私ひとりではできない。だから、ここにお願い申し上げる! 皆の力を、私に貸してほしいと!」

 場の空気が、ピリッと変わった気がした。
 何か揺れ動くような、何かが蠢動するような、そんな空気に。

 だからそれを爆発させるために、さらに声を大にして、力を込めて火をともす。

「これは女王様を守る戦いであり、そして皆自身、父母を、子を、友人を守るための戦いである! 帝国という圧倒的な暴力から、圧政から、国を、人を守る戦いである! 耳ある者は聞け、瞳ある者は見よ! 私はジャンヌ・ダルク! この国の建国の英雄と同じ名を持つものである!」

 そう、今こそこの名を叫ぼう。
 不敗のジャンヌなんかより、よほど収まりがいい、この名を。

「私は旗を振る! 軍の先頭で旗を振る! それがこの世界に生まれた、旗を振る者ジャンヌ・ダルクとしての使命だと信じて!」

 マリアの方を見る。
 彼女が小さくうなずいたように思えた。

 するとすぐにマリアは立ち上がり、小さな体を大きく振るいあがらせ、大広間に響く声で宣言した。

「ジャンヌ・ダルクの覚悟や、よし! オムカ王国第37代女王がここに宣誓する! 必ずや帝国を打ち破り、この大陸をオムカ王国が統一することを! 皆の者、存分に励むがよい!」

 次の瞬間、大歓声に広間は包まれた。
 怒声と言ってもいい。

 オムカに住む誰もが、涙を流し、声を震わせ大いに叫ぶ。
 武官だけでなく、日ごろは書物と格闘する文官すらも、力こぶしを振り上げる。

 オムカ万歳だとか、女王陛下万歳だとか、そんな中にジャンヌ様と俺の名前を叫ぶ者もいて、若干赤面。

 火が灯り、爆発した。

 明日には閲兵式も行うというから、そこでも同じようなことが起き、士気は最高潮に達するだろう。

 もう後戻りはできない。

 誰もが興奮した様子で広間から退室し、決戦への準備へと移る中。
 マリアにジルたち軍人と里奈たちプレイヤーだけが残った。

「ふっ、茶番お疲れさまでした。千両役者ですね」

「ちゃかすなよ、マツナガ」

 もはや公式の場所ではない。
 いわば身内だけの場なので、砕けた口調になるのも仕方ない。

「ジャンヌ様の覚悟、私は猛烈に感動しました。私も全軍を指揮し、勝利に貢献しましょう」

「ああ、ジル。頼みにしてる」

「俺も出るぜ」

 そう言って出てきたのはサカキだ。
 重傷の体を押して、今日は出てきたようだが。

「でも、お前の傷は……」

「治った」

「ンなバカな。おい、ちゃんと医者の許可は取ったんだよな。じゃなかったら、お前――」

「俺が治ったっつったら治ったんだよ」

 なんだよ、その子供の理論。
 そんなのでだまされるわけない。

「ジャンヌ様、こいつは何を言っても無駄でしょう。ここに残しても這ってでも追いついてくるでしょうから、近場において見ておいた方がよいかと」

「でも……」

 ちらっとサカキを見る。
 やる気が充実して、重傷人とは思えない。
 けどどこまで本当かはわからない。

 はぁ、しょうがないか。

「わかった。けど無理はするなよ。てか死んだら、あれだからな。嫌うからな」

「死なねーよ。お前と結婚するまでは」

「サカキ、その件については後でじっくり話し合いましょうか?」

「へん、早いもの勝ちだ」

 言い合いになるジルとサカキ。
 こう見ると良いコンビだよな。

「明彦くん……」

 2人を眺めていた俺に、里奈が話しかけてきた。

「里奈、心配かけた」

「ん……大丈夫。信じてたから」

 そう言ってほほ笑む里奈に、俺も笑い返した。
 本当に、彼女には助けられた。

「なんとか、力になります……だから……えっと……頑張りましょう?」

「先輩! こうなったら勝って終わりましょう! 正義ジャスティスは勝つです!」

「ま、気楽にやろうさ。負けても死ぬだけさ」

「その、あまり期待しないでね。私は歌うだけが仕事だから。その、応援歌くらいは」

「トシ、よくわからんけど己のまことを貫く! それが俺たち新選組だろ」

 イッガー、竜胆、ミスト、林檎、新沢がそれぞれの心境を述べに来る。
 彼らは何がいいのか、俺なんかに付き合って残ってくれたわけだ。負ければ死ぬというのに。

 けど、その意思がありがたい。
 負けてなるものか、という気になってくる。

「けど……勝っても、後味、悪いですよね」

 イッガーがつぶやくように言う。
 そう、勝つということは、相手のプレイヤーは全員死ぬということ。

 誰かを犠牲にして自分が生き残る。
 それはある意味、生存競争においては間違っていないのだけれど、それを意図してやるかどうかに、心の持ちようがかかわってくるのは当然だろう。

 だから安心させるわけじゃないけど、とりあえず言っておくことにした。

「一応、それに対しては秘策があると言っておくよ。だから気にせず……は無理だろうから、まぁ少し力ぬいてやってくれ」

「……っす」

 っと、そうだ。
 最後にこれは言っておかないと。

「すまないがちょっと聞いてくれ」

 せっかくの団らんとした雰囲気に、水を差すようで嫌だが、言わずにおいたら絶対後悔する。
 俺たちのこれから。
 プレイヤーとしての、後始末。

 だから言った。

「出陣したら、俺はこの世界に残れない。この戦いに勝ったら、俺は――俺たちはこの世界からいなくなる」

 そのことを知っている人、知らない人。
 それぞれがそれぞれの反応を見せる。
 無念、驚愕、動揺、悲壮、憂慮。
 様々な感情が視線に乗っかって、俺に突き刺さる。

 それを俺は受け止めた。
 受け止めたうえで、さらに話を進めなければならない。

「勝てばこの世界から消え、負ければ原野に屍をさらす。どちらにせよ、もうこの世界にはいられないんだ。いや、もちろん最後に挨拶しにくる時間はもぎ取ってくるつもりだけど」

 マリアは泰然とした様子で、ニーアは憮然とした様子。
 ジル、サカキは目を伏せ、ブリーダ、クロエ、ウィット、マール、ルック、サールらは困惑した様子で俺の声を聞いていた。

「なんにせよ、俺は守りたいんだ。マリアを。みんなを。この国を。だから、俺は戦う。戦って、勝つ。けどさっきも言ったとおり、俺だけじゃ無理だ。みんなの力を貸してくれ。それが俺の……最後の奉公だ」

 俺の本心。
 今までどこかへ行ってしまって、気づかされて取り戻した想い。

 それをこれまで戦ってきた仲間たちに打ち明ける。

「ここまで言い出せずにすまない。けど、黙っていなくなりたくなかった。だから最後の最後だけど、こうして言わせてもらった」

 再び頭を下げる。
 本当、今日は謝ってばかりだ。

「ジャンヌ様、頭をお上げください」

 ジルが代表して優しくそう促してくれた。
 顔を上げると、ジルが優しく微笑しながら、

「我々はジャンヌ様に助けられてきました。だから今度は我々がジャンヌ様を助ける番です。たとえその先にジャンヌ様の姿がないにしても、この世界を、この国を、女王様を守って盛り立てていくのは、我々の使命ですから」

「……ありがとう、ジル」

 やばい、ちょっと涙が出そうだ。

「へっ、どっか行くなら俺もついてくかな。そうすりゃ離れ離れにならないだろ」

「サカキ、相変わらずだな」

「……頭が追い付かないっすけど、その、自分がここにいるのは軍師殿のおかげっす。感謝してます」

「ああ、ブリーダ。俺もだ」

「隊長殿ぉぉぉぉぉ! いっちゃやです。でも……クロエは頑張りますから!」

「馬鹿者! 貴様がそんなでどうする……くっ、いえ、泣いてなんか、いないですから」

「お世話になりました。その、突然で、なんて言ったらいいか。でも、とにかくは勝たないと、ですね」

「寂しいですねー、でも大丈夫ですよ。クロエたちは、強いですからー」

「クロエ、ウィット、マール、ルック。すまないけど後を頼む」

「その、今までジャンヌさんの護衛ができて、よかったです。兄も……兄もぉぉぉぉ、うぅ……わーーーーーん!」

「久しぶりに出たな。でも、今までありがとうな、サール」

 視線をマリアとニーアに向ける。

 マリアは涙を浮かべながらも、無理やり笑おうとしている。
 ニーアは横を向いて舌を出している。涙は、少なくともこちら側からは見えなかった。

 俺のことをこんなに思ってくれる人たちがいる。

 なら、その人たちに未来を渡す。
 それが今の俺の、この世界での俺ができる、最後のことだろう。

 そう思ってやまなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国の物語 ~聖女追放小説の『嫌われ役王子』に転生してしまった。~

猫野 にくきゅう
ファンタジー
国を追放された聖女が、隣国で幸せになる。 ――おそらくは、そんな内容の小説に出てくる 『嫌われ役』の王子に、転生してしまったようだ。 俺と俺の暮らすこの国の未来には、 惨めな破滅が待ち構えているだろう。 これは、そんな運命を変えるために、 足掻き続ける俺たちの物語。

追放もの悪役勇者に転生したんだけど、パーティの荷物持ちが雑魚すぎるから追放したい。ざまぁフラグは勘違いした主人公補正で無自覚回避します

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
ざまぁフラグなんて知りません!勘違いした勇者の無双冒険譚  ごく一般的なサラリーマンである主人公は、ある日、異世界に転生してしまう。  しかし、転生したのは「パーティー追放もの」の小説の世界。  なんと、追放して【ざまぁされる予定】の、【悪役勇者】に転生してしまったのだった!  このままだと、ざまぁされてしまうが――とはならず。  なんと主人公は、最近のWeb小説をあまり読んでおらず……。  自分のことを、「勇者なんだから、当然主人公だろ?」と、勝手に主人公だと勘違いしてしまったのだった!  本来の主人公である【荷物持ち】を追放してしまう勇者。  しかし、自分のことを主人公だと信じて疑わない彼は、無自覚に、主人公ムーブで【ざまぁフラグを回避】していくのであった。  本来の主人公が出会うはずだったヒロインと、先に出会ってしまい……。  本来は主人公が覚醒するはずだった【真の勇者の力】にも目覚めてしまい……。  思い込みの力で、主人公補正を自分のものにしていく勇者!  ざまぁフラグなんて知りません!  これは、自分のことを主人公だと信じて疑わない、勘違いした勇者の無双冒険譚。 ・本来の主人公は荷物持ち ・主人公は追放する側の勇者に転生 ・ざまぁフラグを無自覚回避して無双するお話です ・パーティー追放ものの逆側の話 ※カクヨム、ハーメルンにて掲載

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

勇者をしている者なんですけど、キモデブ装甲のモブAにチェンジ魔法を使われて、身体が入れ替わった!? ありがとうモブA!やっと解放された!

くらげさん
ファンタジー
 雑草のように湧いてくる魔王の討伐を1000年のあいだ勇者としてこなしてきたら、キモデブ装甲のモブAに身体を取られてしまった。  モブAは「チェンジ魔法」のユニークスキル持ちだった。  勇者は勇者を辞めたかったから丁度良かったと、モブAに変わり、この姿でのんびり平和に暮らして行こうと思った。  さっそく家に帰り、妹に理由を話すと、あっさりと信じて、勇者は妹が見たかった景色を見せてやりたいと、1000年を取り戻すような旅に出掛けた。  勇者は勇者の名前を捨てて、モブオと名乗った。  最初の街で、一人のエルフに出会う。  そしてモブオはエルフが街の人たちを殺そうとしていると気付いた。  もう勇者じゃないモブオは気付いても、止めはしなかった。  モブオは自分たちに関係がないならどうでもいいと言って、エルフの魔王から二週間の猶予を貰った。  モブオは妹以外には興味なかったのである。  それから妹はエルフの魔王と仲良くなり、エルフと別れる夜には泣き止むのに一晩かかった。  魔王は勇者に殺される。それは確定している。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...