知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
585 / 627
第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた

閑話37 赤星煌夜(エイン帝国パルルカ教皇)

しおりを挟む
 報告はほぼ同時に来た。
 帝国軍の敗北、そして降伏。
 さらに堂島元帥の戦死も。

 敗けた、か。
 そして堂島さんもいなくなってしまうなんて……。

 城の中に立てた小さな教会、その一室で静かに黙とうを捧げていると、ドアを壊すんじゃないかという勢いで部屋の扉が開く。
 そこから入ってきたのは、

「ハロハロー。元気? 元気じゃないよね、知ってまーす!」

「今、猛烈に貴女に腹が立っているのですが、いえ、前からだが」

「およよー? そりゃ大変。てか大変も大変。帝国軍が負けちゃったもんねー。帝国不敗の美柑ちゃんが死んじゃったもんねー。あ、もう不敗じゃないかー。不敗が腐敗。ね、今どんな気持ち? どんな気持ち?」

「楽しそうだな」

「そりゃモチ! なんてったって頂上決戦だったからねー。順当にいけば美柑ちゃんの方が有利だったけど、アッキーはそれを上回るえげつなさだったよねー。人為的にお腹を空かせた状態にして戦うスキピオの策と、天才軍略家のハンニバルの策を合わせたようなものだからね。あの包囲殲滅って難しいんだよ? 各部隊の連携はもちろんのこと、相手に力が残ってたら、一点突破ですぐ崩壊するからね。アッキーたちの歴史の中では、成功例はほんの数例って話じゃない? これってやっぱり――」

「少し黙れ」

「あーん、コーヤくんこわーい。麗明、おびえちゃうー!」

「その都合のいい時だけ麗明を使うの、やめてくれないかな」

「だが断る! このわたしが最も好きな事のひとつは、相手を徹底的にいじりたおすことでーす! なんちってー」

 本当にコレと話していると頭が痛くなる。

「大丈夫? 頭痛薬いる?」

「頭の中を読まないでほしいな」

「読んでませんー、だって顔に書いてあるんだもん。ぽんぽん痛い、って!」

「それってお腹痛いってことだと思うが」

 どこまで本気なんだか。
 仮にこいつが女神だというのなら、人の思考や想いを読み取ることなんて簡単なのだろう。

 本当に、厄介だ。

「んふふー、悩んでるねー。でも安心して。本当に人の心は読めないよ。これはもう長年、人間と付き合ってたから分かる、読心術っていう技術の賜物だからね」

「なるほど、数億年生きた化け物には相応の能力ということか」

「そんな生きてませんー! せいぜい1万年くらい……って違う違う。わたしは永遠に17歳! てか化け物ってひどくなーい? こんな可憐な麗明ちゃん捕まえてさー。ほら明るいうららで麗明ちゃんだよー」

「どうでもいい。とにかく黙ってもらえるか?」

「うーい、そうだね。コーヤくんの判断1つでこの後の流れがガラッと変わるからね。うん、楽しみだよ。これで終わるのか、まだまだ続くのか、それともどんでん返しが早まるか、どうなるか見ものだね!」

「……死ぬのが怖くないのか?」

「え?」

「私が降伏して、お前を殺すとは思わないのか?」

「またまたー、そんなことするわけないじゃん? だって麗明ちゃんだよ? ま、それに怖いとかそういうのないかなー。だって、死なないからね。わたし、神だもん」

「……化け物め」

「だーかーらー、化け物じゃないです、女神ちゃんでーす! ぶいぶい!」

 もはやツッコミを入れる気力さえ失われる。
 だからまだつべこべ言って来る女神を無視して、外に出る。

 城外にはオムカら連合軍が群れをなして囲んでいる。
 対するこちらも3万ほどの人はいるが、非戦闘員や負傷兵がほとんど。

 いや、彼らをすべて戦闘員に変えることはできる。
 死をいとわぬ、強靭な兵士にすることは可能だ。

 教皇の名のもとに命じれば、そうなる。

 だからまだ抵抗はできる。

 だが、思うのだ。
 その先に何があるのか。

 堂島さんと長浜さんを失い、尾田張人もつかまった現在、あのジャンヌ・ダルクに勝てる道理はない。

 それなのに抵抗して、この世界に住む何万もの人たちの命をさらに浪費させるのか。

 もはや自分の望みである、あの女神への復讐の芽は途絶えた。
 ならば敗者はいさぎよく、勝者に道を譲るべきではないか、という少し達観した思いも芽生えてくる。

 いや、あるいは彼女にこの夢を託す手もある。
 彼女ならきっとうまくやってくれる気がする。

 それを見ることができないのが心残りだが……。

 もはや一度死んだ身だ。
 麗明のことが気の毒だが、その時は一緒に逝けば彼女も許してくれるのではないか。

 そう思えば、少し気持ちが楽になった。
 偽善かもしれないが、そう思わずにはいられなかった。

「暗い顔をしているね」

 声に振り向く。
 そこにいたのは、もう会えないと思った友の姿。

 1日会わなかっただけなのに、ずいぶんとやつれた気がする。

「……達臣。生きていたのか」

「なんとか、ね」

 そう言って、椎葉達臣は力なく笑った。
 それでも彼が生きてくれて、ここに戻ってきてくれて、自分としてはありがたかった。

 彼になら託せる。
 そう思ったからだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...