知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた

閑話46 大山雫(シータ王国四峰)

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 一体、何が起きているか分からなかった。

 アキが病気だって聞いて、ミカが動揺しているのは分かる。
 あの2人は、雫が来る前からずっと一緒にいたというのだから。

 けどアキの病気は嘘で、それであのジャンヌとかがいる国を攻めるということになって、そこからよく分からなくなった。
 なんで今まで一緒に戦ってきた仲間を攻撃するのか。

 けどミカがそう必要だと判断し、そう命令するのなら、断る理由はなかった。

 もともとあのジャンヌとかいうのは気に入らなかった。
 なんか偉そうな感じで癇に障った。

 ただ、あのクッキーに罪はない。
 クッキーだけは後でもらおう。

 そう思いながらいつものように部隊を連れて、大砲を撃たせた。

 そこへ、疾風のごとく突っ込んできたのが敵の騎馬隊だった。

 あっという間だった。
 大砲が壊され、仲間が殺されていくのをただ見ているしかなかった。

「てめぇら、っざけんな!」

 そう言って抵抗した良介は斬られて倒れた。

 生きているのか分からない。

 なぜなら自分はその直後に、とても大きなものに掴まれて宙へと放り上げられてしまったから。
 それが馬に乗った人で雫を片手でかっさらったと気づいたのは、すでに味方からだいぶ離れてからだった。

 それで自分が捕まったのだと分かった。

 正直、今思い出しても怖い。
 激しい馬の足音。
 味方の悲鳴。
 そして振り返ったところには、巨大な腕が伸びて雫を宙へと連れていく。

 あっという間すぎて、それが本当に現実か信じられないところもあった。

 なにより敵に捕まったということが信じられない。
 捕まったら何をされるか。
 そう改めて思うと、身震いがする。

 敵。
 そうはいっても数日前までは味方だった。
 ミカと一緒に、ジャンヌとかと話に行ったこともある。

 だから雫を連れ去った人の隊長も見たことがある。
 喋ったことはないけど、相手も雫のことを見知っていたようだ。

「シータ王国の四峰の1人、その人は軍師殿の大切なお客っすから。大事にするっすよ」

「またこういう系……本当にクズなんだから」

「違うっすよ! そういうのじゃないっす!」

「近寄らないでください、このロで始まってンで終わる、間にリコが入る変態」

「何にも隠されてない!」

 なんだかうるさいけど、たぶん楽しいんだろうな、と他人事に思う。
 まぁ実際他人事だし。

 ただその隊長の言葉は真実になったようで、雫は特に乱暴されることもなく、ロープで両手を縛られるくらい。

 そして2日後。
 夜を待って、包囲の緩んだところを狙って城内へと入れられたのだ。

 そのまま連れていかれたのは、中央にある大きな建物。
 前に来たことがある。
 確か王宮。

 なんでそんなところに連れていかれるのかと思ったら、今度は女王が出てきた。

「ジャンヌの友達なのじゃろう? 色々お話を聞かせてほしいのじゃ! ほれ、紅茶にお菓子もあるぞ!」

 別にアレの友達でも何でもないけど、お菓子は魅力的だった。
 何より、あの時食べ損ねたクッキーは美味しかった。

「どうじゃ。やっぱり紅茶にお菓子は良いじゃろう! うん? なんかすごい早いぞ……」

「女王様、ちょっとこれ。もう少しクッキーをあげてみましょう」

「ヤバいのじゃ。余の中の何かが目覚めそうなのじゃ。ニーア、この子、うちで飼ってもよいかの!?」

「ダメです、女王様。そんなペットみたいに…………でも、良いかも」

 何かよく分からないまま、どうも受け入れられたようで、その日から一緒にお風呂に入ったりすっごい豪華なお布団で寝ることができて満足だった。

 自分から話すことはなかったけど、向こうがどんどんと質問してくるので、ようやく自分にも状況が飲み込めた。

 ミカは、帰りたかったのだ。
 ジャンヌとかと一緒に戦っても元の世界に戻れないと知ったミカは絶望しただろう。
 それをアキがそそのかした。

 この女王を倒せば元の世界に戻れると。

 あの女神が言ってたこと。
 どこまで本気かは分からない。
 そもそも女神とかいうのがよく分からない。

 だからもう考えないことにした。
 そうすると、やっぱりアキがおかしい。
 ミカは何も悪くない。

 だからアキだ。
 悪いのは。
 ミカをけしかけて、戦いたくもない相手と戦っている。
 だからミカを助けないと。

 ミカが雫を助けてくれたように、今度は雫がミカを助ける。

 けどどうすればいいか分からない。
 考える能力があるわけでもなく、それを女王をはじめちゃんと説明できる気がしない。
 そもそも捕まった立場で何ができるのか。

 そんな悶々とした日々を過ごす中、変化が起きた。

「ジャンヌに姉さま、おかえりなのじゃー!」

 あの女が、来た。

 ミカを惑わし、雫もクッキーで惑わして来た悪の根源。

 けど、ある意味一番頼もしい相手。

 雫は知っている。
 ミカがこのジャンヌとかを気になっているのを。

 ミカはもとの世界に戻りたくて、でもできなくて、たまにとても寂しい表情をすることがある。
 それがこの女の前では和らぐのだ。

 それはどういう感情かは分からない。
 けど、ミカを救うことができるのは、逆にこの女しかいないとも思うのだ。

 だから彼女が来たのは1つの転機。
 ミカを助けてくれる、最後の手段。

 だからこれが、きっと雫がここにいる意味。
 殺されずに、生かされたことの証明。

 クッキーを食べ終わると、扉の前に立つジャンヌ・ダルクに向かって口を開いた。

「ミカを、助けて。ジャンヌ・ダルク」

 なぜか自分の頬を、涙が伝っていた。
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