知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
237 / 627
第3章 帝都潜入作戦

閑話17 玖門竜胆(フリーのプレイヤー)

しおりを挟む

九紋竜形態変化チェンジフォーム、第六もん! 閃竜せんりゅう! ハイパー・ジャスティス・ビーム!」

 魔術師に向かってビームを放つ。
 魔術師が消えた。

 きっと出るのはスライムがいないところ。
 それは意外と近い。この部屋にスライムじゃないところが少なくなったからだ。

「さらにビーム!」

 ビームの連射。
 魔術師はきっとまたワープするだろう。
 そう思ったが――

「プロースクレセープロースクレセー……」

 スライムが壁となって、ビームを防いだ。
 んん、惜しい。もういっちょ!

「ビーム!」

 ビームがスライムを突き破り、その奥にいる魔術師に……当たらなかった。
 またワープされていた。

「うぅ、あれ卑怯です! あんなの無理ですよ!」

「ちょっと待ってリンドー。今のは……」

「へぅ? 何かありました?」

 マールさんが更に考え込む。
 そうしている間にもスライムがじわじわと増殖していく。
 うぅ、このままじゃ溶かされちゃいますよ!

「いや……そういうことね」

 なんてギリギリの葛藤をしていた時。
 突如、マールさんが閃いたみたいだ。

「何か思いついたんですか!?」

「ええ……あいつの倒し方は分かったわ」

「すごい! じゃあやりましょう!」

「でも……それをやる手段がないの」

「へぅ?」

「せめてこのスライムを床一面に広げられるまで耐えられればいいんだけど……」

「あぁ、なんだ。そんなことですか」

「え、そんなことって……?」

 それができればいいなら何とでもなる。

「私がやります! でもここでやると自分たちも危ないんですけど……」

「あっち、クロエたちがいるあの緑の箱に行ける? さっき飛んだみたいに」

「もちのろんです! 九紋竜形態変化チェンジフォーム、第三もん! 風竜かざりゅう!」

 風を起こし、マールさんを抱えて飛ぶ。
 クロエさんたちがいる、緑のバリアー的な何かの上。

「うぉ! びっくりした!?」

 ザインさんの驚きの声。見れば足元にザインさん、クロエさん、ルックさん、イッガーさんがいる。

「マール、大丈夫なの? 勝てる?」

「ええ、何とかするわ」

 クロエさんの問いにしっかり答えるマールさん。心強いです!

『おやおや、いいのかなー。確かにそこは足元は安全だけど……にやにや』

 ニトーの言う通りだ。
 私たちの足元にはスライムは湧かないけど、壁に、そして天井にスライムが次々と現れる。
 しかも魔術師は部屋の反対側。
 ここからじゃあ閃竜も簡単に避けられるだろう。

「それでいいの。じゃあリンドー。お願い」

「任されました! 九紋竜形態変化チェンジフォーム、第二もん! 水竜すいりゅう!」

 水色の木刀。
 それを壁に突き立てた。

正義力ジャスティスパワー、マックス!」

 力を籠める。
 すると、その壁の一点から水が噴き出した。

 ダムの放水のように、壁から出た水は部屋の床を洗い流していく。
 もちろんスライムごと。
 ヘドロ状のスライムだから、水に流されやすいのだろう。たぶん。

「凄い、リンドー!」

「えへへ。けど、これいつまでやります……? このままだとスライムがここまで来るというか、ちょっと疲れが……」

 体力がなんかどんどん削られていく気分。
 頭がずきずきと痛み始めてきた。

「ごめん。もうちょっと。きっとあいつは――」

 そう言った視線の先。
 魔術師の足元にも水に流されたスライムが侵食していく。
 表情も見た目も遠くて良く分からないけど、どこか落ち着きをなくしているようにも見えた。

 そして、スライムが足元に達した時。

「ギョオオオオオオオオ!!」

 人間とは思えない悲鳴が響いた。
 思わず耳を塞ごうとしたけど、水竜を止めるわけにはいかないと踏ん張る。

「クロエ、もういいわ。その代わり伏せて!」

 何故、という反論は出ない。
 木刀を壁から抜いて、そのままへたり込む。
 言われなくてもほとんど限界だった。

 そして、

「そこ!」

 マールが剣を振るって何かを斬った。
 何が、と思った刹那、

「ギョオオオオオオオオ!!」

 魔術師の叫び。
 しかも至近距離。

 マールが斬ったのは、この緑のバリアーにワープしてきた魔術師だった。

「足場がなくなったらここにしか来れないってことね。そこを狙い撃てばいいってこと」

 斬られた魔術師は、バリアーの床から落ちて、そのままスライムの海へとダイブ。
 悲鳴が次第に弱くなったかと思うと、その体は光の結晶となってそのまま消滅した。

『なんとまぁ、力業で足場をなくすとは……でもまぁいいでしょう! 第二関門、勝者、ジャンヌ・ダルク奪還チーム!』

 ニトーの宣言と同時、部屋を覆っていたスライムがパッと消えた。
 これ以上ドロドロされると困ったけど、どこか寂しい気分。
 さようならスライム。フォーエバー……。

 というわけで!

「勝ちましたね、マールさん! やっぱり正義ジャスティスは勝つのです!」

「ええ、やったわ、リンドー! あなたのおかげよ」

「えへへー、ブイです!」

 そしてハイタッチ!
 うん、これぞ正義ジャスティスです!

『あ、スライムが消えたから、そのバリアーも消えるからね。ご注意を』

 なにが、と聞き返す前に、足場が消えた。
 一瞬の浮遊感。
 もちろん人間に空を飛ぶ力はなく、その後に起こるのは当然――

「きゃあ!」「ぎゃふ!」「どあぁあ!」

 落下した。
 それほど高くなかったのと、やわらかいクッションに阻まれて痛みはなかったけど。

「うわあああ!」

「きゃああ!」

 ザインさんとマールさんの叫び声。
 まさに重なりあった状態の2人はまさにラッキースケベという超展開!

「この、変態!」

「なんで俺の所為!? でもごっちゃんです!」

 パンっと乾いた音が響く。

 うわーマールさんのビンタ、痛そう。

「り、竜胆、さん。どいて……重い……」

 下を見ればイッガーさんが私の下でもがいている。
 むむ、ちょっとその言葉はカチンですよ。

「イッガーさん! 女子に重いは禁句です!」

「わ、分かった……ごめん、だから……」

 もう仕方ないですね。
 イッガーさんの上からどくと、水で浸された床に降り立つ。

 うん、これで完全勝利です。
 というわけで次の部屋へと思った時、ニトーが割り込んできた。

『ザインくん、同じ男としてそのラッキースケベ。羨ましいと思うよ。けど、バリアーが半透明だからって、下から覗くのはどうかなぁ……』

「ちょ! おい! それを言うな――」

「どういうこと、ザイン?」

 マールさんが首をかしげる。

 と、ピーンと来た。

「マールさんってスカートだから……」

「あ――」

 空気が固まった。
 ふぅ、危ない危ない。
 動きやすいショートパンツで正義ジャスティスでした。

「殺す!」

「誤解だマール! それに俺だけじゃなくルックも!」

「え、ザインそれはないんじゃ――うわぁ!」

 剣を振りかざすマールさんと、それから逃げようとするザインさんとルックさん。

「うーん、平和ですねぇ」

「どういう感覚してるのよリンドー……。まぁ、いっか」

 クロエさんも肩を落としつつ、苦笑してザインさんたちの光景をしばらく眺めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女を追放した国の物語 ~聖女追放小説の『嫌われ役王子』に転生してしまった。~

猫野 にくきゅう
ファンタジー
国を追放された聖女が、隣国で幸せになる。 ――おそらくは、そんな内容の小説に出てくる 『嫌われ役』の王子に、転生してしまったようだ。 俺と俺の暮らすこの国の未来には、 惨めな破滅が待ち構えているだろう。 これは、そんな運命を変えるために、 足掻き続ける俺たちの物語。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平
ファンタジー
 パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。  神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。  パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。  ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。    

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。    42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。   下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。  約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。  それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。  一話当たりは短いです。  通勤通学の合間などにどうぞ。  あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。 完結しました。

処理中です...