知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第3章 帝都潜入作戦

第45話 帰還、そして――

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 馬車で護送されてきたハワードの爺さんが王都に戻ったのは、俺たち軍が先に戻ってから3日後だった。
 すぐに病院に入れられ、そのまま入院ということになったらしい。

 俺は事後処理に一息つけると、その病室を見舞った。

「ほれ、お見舞い」

 とりあえず適当に買ったフルーツの盛り合わせを手に病室に入る。

「おうおう、ジャンヌ良く来たのぅ。ほれ、そこに座れ。今お茶を入れてフルーツを剥いてやろう」

「病人なんだからじっとしてろよ」

 てゆうか大分やつれたな。
 ほんの数日顔を合せなかっただけなのに、どこか痩せたというよりそんな印象を得た。

 そんな爺さんに仕事をさせるわけにはいかないので、俺がフルーツを取り分けることにした。

 ――が、困った。

 俺がフルーツを食べるのはすでに加工されたものばかり。
 そのものを切るとか剥くとかほとんどやったことない。ミカンくらいだ。
 こういうお見舞いの品ってなんでフルーツなんだろうなぁ。剥くのとか、超難しくない? 見舞い以外にそんな仕事させるなよ。

 とりあえずなんとかなりそうなリンゴを手に取ると、ナイフを手にした。

「うん? おぉ、危ない! ちょ、その持ち方は……おお……」

 なんかハワードの声がちょくちょくうるさかったけど、なんとか皮むきをコンプリートした俺は、リンゴを皿に盛って、ハワードに差し出す。

「……だいぶちっちゃいのぅ」

「い、いいんだよ。そこが一番美味しいんだよ!」

 3分の1くらいの大きさになっちゃったけど、うん、美味しさに変わりはないよな!

 リンゴを平らげ、そして一息つくと爺さんが口を開いた。

「さっき、正式に引退を届け出た」

「……そう、か」

 こんな時、なんて言えばいいんだろうか。
 お疲れ様なのか。ありがとう、というのもちょっと違う。おめでとうは絶対ないな。

「やれやれ、まだわしは戦えるんじゃがのぅ。医者のやつが、しばらくベッドに縛り付けたいらしい」

「ま、いいんじゃねーの? 静かに余生を過ごすってのもさ」

「ふむ……あの男みたく伴侶がいればのぅ。そうじゃ、ジャンヌ――」

「言っとくけど、爺さんと余生を過ごすつもりはないからな」

「うぅ、ジャンヌがいじめる」

 ふん、泣きまねなんかして、わざとらしい。

「じゃが、まぁ最後にお主と共に戦えて楽しかったぞ。こんなギリギリの勝利は勘弁したいがな」

「欲張りな爺さんだな」

「ん。まぁいいじゃろ。及第点をくれてやろう。お主とジーン。2人にオムカの未来を任せる」

「……ん、任された」

 なんだか変な気分だ。
 嬉しいのか恥ずかしいのか複雑な感じ。

「ハワード、無事かの!?」

 そこへ、騒々しいのがやってきた。
 マリアがドアを破るように入ってきて、その後ろからニーアが続く。

「おお、これは女王様。わざわざかたじけない」

「なんの。ハワードはこの国を守る柱石だからの。そうじゃ! 余がお茶を入れてやろう! ニーア! 手伝うのじゃ!」

「あぁ、女王様。そんなはしゃがないでください」

「いやいや、女王様にお茶を振舞ってもらうとは。わしも果報者じゃの」

 ハワードの爺さんは目を細めて、マリアたちを見つめる。
 なんだか好々爺こうこうやな感じで、本当に引退したんだな、と思える。

「ったく、病人がいるんだから静かにしろっての」

「ほっほ、よいではないか。賑やかな方がわしは好きじゃて」

「なるほど。つまりハワードさんは変態なのですね、とジャンヌ・ダルクさんにお伝えください」

「そういうものかな」

「ジャンヌー! ジャンヌも飲むかの?」

「ん、ああ。じゃあいただこうか」

「わたしもいただきたいとお伝えください」

「うむ。ではえっと、5人じゃの!」

「やれやれ、こんな狭い部屋に5人もいたのかよ」

 ……ん?

 5人?
 俺、ハワード、マリア、ニーア。4人、だよな?

「これはもう少し現役でいた方がよいかのぅ」

「そうですね。お元気そうで何よりです、とジャンヌ・ダルクさんにお伝えした後にハワードさんにお伝えください」

 あれ、この喋り方。
 メルがいた。
 おかしい。ここは面会謝絶だったはず。
 俺と、マリアたちしか入れないよう、ドアでちゃんと確認してあったのだが。

 何よりメルの様子がおかしい。
 まっすぐにこちらを見てきている。
 ハワードの爺さんと喋っていたはずなのに。

 そしてその口が弓のように曲がり、血に濡れたように赤い唇からどこか寒気を思わす吐息といきが漏れる。
 目が、俺を捉えて離さない。そこにあるのはいつものおどおどした感じではなく、狂気の光。どこまでもどす黒く、深淵に染まった漆黒の闇。

 メルが動く。こちらに突っ込んでくる。銀色。光。
 刃物だ。
 そう思った。

「ジャンヌ!」

 衝撃が来て――鮮血が舞った。
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