知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第4章 ジャンヌの西進

第4話 聖少女の悩み

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 ある日。
 マリアに呼ばれて、彼女の部屋で昼を食べていた時のこと。

「むー……むむ?」

 ニーアが首をかしげながらこちらをじろじろ見てきた。

「なんだよ、そんなじろじろ見て」

「んー……いや、気のせいかな」

「そこで止められる方が気になるんだが」

「ん……じゃあちょっと待ってて」

 などと言ってニーアは俺の後ろへと歩を進めた。
 てっきりそのまま部屋を出て行くのかと思ったが、

「ほいっ」

「ひゃぅ!」

 変な声が出た。

 いや、急に背後から腰回りをギュッと抱きしめられればそうなるさ。

「な、なにすんだよ!」

 俺がじたばたと抵抗するも悲しいかな筋力1。
 ニーアのホールドはびくともしない。

「んー……ちょっと、女王様」

「任せるのじゃ!」

 椅子から元気よく飛び降りると、とてとてと歩き寄ってくると思うと、今度はマリアがギュッ。
 前と後ろからまさかのサンドイッチ状態だった。

 なんというか匂い。いい匂い。
 さすがそこは一国の女王。マリアはしっかりお風呂入って清潔だし、髪の毛も油でトリートメントしてあるし、香木でも炊いたのか滅茶苦茶甘い匂いするし。

 それ以上に柔らかい。
 俺を抱きすくめるマリアの体がなんというか……エロイよね?
 まぁ胸板は発展途上ということで……それより自分の胸が圧迫されて苦しいまであったけどさ。

「あー、なるほどなのじゃ」

「そうですよね」

 と、マリアは俺を放すと、ニーアと共に少し離れた位置で何やらこそこそと話している。

 なんだよ。そういうの気になるだろうが。
 と、マリアに抱き着かれてどぎまぎしている内心をごまかしてみた。

「というわけで結論が出たのじゃ」

「なにが」

 冷静を装って聞く。

「こないだの水着の時にちょっと思ったんだけど。ジャンヌ、もしかして――太った?」

「え!?」

「ジャンヌのウェスト、前より3センチは大きくなってるのじゃ」

「何で知ってんだよ……って、え? 太ったの?」

「安心するのじゃ、ジャンヌ! その分、バストサイズも大きくなってるから――びゃぅ!」

 セクハラ発言する女王陛下にデコピンを見舞ってやった。

 はぁ……てか何を真剣なことをと思ったけどそんなことかよ。

「太ったって言ってもちょっとだろ。大げさだな」

 もともとがそんなに外見を気にするたちじゃなかったし。
 正直どうでもいい。

「なんてことを言うのじゃ! ジャンヌの完璧なボディバランスが崩れてしまっているのじゃぞ!」

「そーだそーだ! 昔のジャンヌの方が抱き心地よかったぞ! 昔のジャンヌを返せ!」

「馬鹿らしい。そんなくだらないことで遊んでんじゃない」

「残念だけど、これはオムカの存亡にかかわる話よ」

 急に神妙な顔つきで真面目なトーンになるニーア。
 だけど「は?」って感じだ。
 なんで俺が太るのとオムカ存亡が関りあるんだよ、馬鹿らしい。

「ジャンヌ。あなた、いっつも言ってるわよね。自分には何もできない。だからこそ前線に立つんだって」

 うん、まぁそんな感じのこと言ってるけど。
 改めて他人から聞かされると小恥ずかしいな。
 なんか主人公みたいなこと言ってるぞ。

「その理念はとても立派だと思う。感服すらする。だからこそ皆がついてくるし、頑張ろうって気になるの」

「それが、なんだよ」

「でもね! それ以上に皆、ジャンヌが可愛いからついてきてるの! ジャンヌが可愛いから美しいから格好いいから、守ってあげたいから皆して奮い立つの! それを分かるのよ、ジャンヌ!」

「な、なんだよ、その理論! おかしいだろ! 能力と外見は関係ない。いや、関係あってたまるか」

「本当にそう? もしジャンヌが体重100キロ越えの汗っかきでデュフフって笑うおっさんだったら、いくら智謀があっても誰もついてこないでしょ!」

「いやぁぁぁぁ! そんなジャンヌ嫌なのじゃあ!」

「いや、それは……」

 ない、よな。ないだろ。さすがに不謹慎すぎる。けど……なんだろう。ちょっと分かるような気もする。

「というわけでけど、ジャンヌは別なの! それとこれとは全くもって断然完璧に圧倒的に違うの!」

「そうなのじゃ! ジャンヌは美しくて格好良くなくちゃ駄目なのじゃ! 太ってちゃ嫌なのじゃ!」

「めっちゃ私情バリバリじゃねぇか!」

「私情よ! 悪い!?」

「開き直られた!?」

「もう一個。聞いて、ジャンヌ。あなた、なんで国王ってのが豪華な暮らししてるか知ってる?」

「そりゃ、偉いから、だろ」

「そう。でも何故偉いと豪華にならなくちゃいけないの? それはね、豪華じゃないと国民が納得しないからよ。いくら国王だ、って言ってもボロボロの服着てたら誰も納得しない! 国王が超質素だったら、家臣だって国民だって贅沢ができない! そんな窮屈な国、絶対嫌よ。分かる? 上に立つ人間はね、そうやって自らを着飾る義務があるのよ!」

「そ、それは……」

 確かに、一理はあるんだよな。
 国の代表がみすぼらしかったりすれば、外国に見くびられる。
 上の人が少し贅沢しないと、国民は少しの贅沢すら楽しめない。

 国の代表というのは、国の顔。
 だから少しでも見栄えを気にしてほしい、という要望も分からないでもない。

 でも嫌だ。
 つまりダイエットをしろってことだろ。
 この体力のない体以上に、俺は運動がもともと苦手なんだ。
 そんな辛い事、してたまるか! 第一、俺は別に国の代表じゃないし!

「と、とにかく! そんな訳の分からん理由で痩せろとかふざけるな! 俺はこれでいい!」

 だが、俺の目一杯の抵抗など、2人の子供の前では無意味に等しかった。

「あーあ、ジャンヌがそんな感じじゃあ、もうダメかーオムカも。ジーンとかクロエとかジャンヌ隊の皆とか……街の人だって愛想尽かすだろうなぁ。リンちゃんも聞いてくるんじゃない? お姉ちゃん、どうして太っちゃったの? って」

「うー、なんか勅命ちょくめいを乱発したくなったのじゃ。無暗やたらに投獄したり、死罪にしたくなったのじゃー。これもジャンヌが余のやる気を奪うからなのじゃー」

「お前らいい加減にしろよ!?」

 なんでそんなことで国が滅びなきゃいけないんだよ。
 俺は絶対やらないからな!
 絶対運動なんてしてやるもんか!

 やるもんか。

 ……やるもんかよ?
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