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第4章 ジャンヌの西進
第38話 私を温泉に連れてって
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目が覚めた。
窓から差し込む陽の光が、網膜を焼くような刺激を与えてくる。
頭がぼうっと霧がかかったようで、自分の名前も居場所も何もかも一瞬忘れる。
酷く嫌な夢を見た気がする。
家族と一緒に殺される嫌な夢。
夢だけど夢じゃない変なリアリティを持っていた。
背中が冷汗で濡れていて気持ち悪い。
「あ、明彦くん。起きた?」
ドアが開き、少女が顔を出した。
そうだ、俺は明彦くん……じゃなく写楽明彦。
そしてこの声は里奈――立花里奈だ。
彼女は近づいてきて、じっと俺の顔を覗き込んでくる。
「よかった……」
そう言ってほほ笑む彼女は、差し込む陽の光と相まって、菩薩のように光り輝いて見えた。
「俺は……」
「明彦くん、昨日のお昼過ぎにこの村に帰って来たの。…………でも疲れが出たのか、倒れちゃったみたいで」
思い出してきた。
山を降りた俺は、攻撃、移動、休憩を繰り返しひたすらに帝国の砦を脅かし続けた。
その合間に地形の調査とか敵の動きの監視とかをしてたから、ほぼ寝る暇もなかったのだ。
『お願いしますから、寝てください』
『休憩は大事です。調査はわたしたちがやります』
などとフレールとサールの兄妹に泣きつかれて3時間くらい寝たものの、それ以外は数分目を閉じるくらいだった。
「そうだった……」
それほど犠牲はなく作戦は一応成功したとみていいだろうけど、本命の敵増援の報告はまだないから完璧とは言えない。
となると間を置かずに攻撃をしかけるべきだが……。
なんてことを考えていると、ふと視線に気づいた。
里奈が俺を見て口を尖らせている。
「それより明彦くん!」
急に佇まいを直すように正座した里奈は、いかめしい真面目な表情でこちらを見てくる。
「えっと、どうした?」
「私は怒ってます?」
「え?」
意味が分からない。
里奈を怒らせるようなことしたのか。
てかこれで怒ってるのか?
「明彦くんは無茶しすぎ。あんな倒れるまで頑張って」
「あぁ……うん」
「ずっと目を覚まさなくて、すごく心配したんだから」
少し険を落とした物言いに、少し引っかかった。
「ん、あれ? 今ってもしかして」
「明彦くん、丸一日寝てたんだよ」
「あーーー」
そういうこと、か。
ずっと寝て一度も起きた覚えもない。そりゃ心配されるわな。
「あんなに……生き急いでる感じ。よくないよ。明彦くんが……いなくなったら、私は……」
涙ぐみながら言う里奈に、俺は何も言えなくなった。
あまり覚えてないけど、なんか熱くなって変なことを言ったような気もする。
生き急ぐ、か。
状況はそれくらい切羽詰まっていた――いや、そう感じていた。
巨大すぎる敵。増えない味方。
方針は立てたものの、その綱渡りすぎる道筋に内心不安を抱いていたんだろう。
俺にできるのか?
勝つことができるのか?
そのためにどれだけ多くの人が死ぬのか?
だからその不安を払拭するために、無茶をした。そうでもしないと、皆がついてこないと思ったから。
それで里奈に――守るべきものに心配させたのだから、俺は本当にダメな男だ。
分かった。もう無茶はしない。
そう答えようとして、頭の中で待ったがかかった。
違う。ここで答える言葉はそれじゃない。
ここは――
「ごめん。心配かけた」
「…………うん」
里奈が涙を拭きながらそう頷く。
その所作が、どこか俺の琴線に触れる。
里奈をじっと見つめる。里奈もじっと見つめ返してきた。
涙に濡れた里奈の瞳。そこに少しクマがある。あまり寝ていないのだろう。もしかしてずっとここにいてくれたのか。なんだ、里奈も人のこと言えないじゃないか。お互い様だ。けど、そんな里奈が愛おしく思えて――
――くぅ。
お腹が鳴った。
こんな時に鳴らなくても……ってか待て。俺は今何しようとした?
なんかいいムードみたいになろうとしてなかったか!?
いやいや、俺は里奈とそういう関係じゃまだないし、それに今の俺は女!
危ない危ない。なんか色々と超えちゃいけない一線をぶち抜くところだった。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、里奈は微笑んで、
「ご飯にしようか」
「ああ」
気恥ずかしくなって、俺は少し視線を外して頷く。
「あ、でも少し待って。ご飯の前にちょっと行こうか」
「行くって、どこへ?」
「温泉。明彦くん、ちょっと臭うよ?」
――というわけで。
「隊長殿が、元気になればー♪ 帝国なんちゃへっちゃららー♪」
「なんですか、その歌は? 正義の香りがします!」
「お、気になりますか、リンドー? これぞ隊長殿のテーマです! 今度、ファンクラブの公式ソングにしようかと!」
「あなた、まだその活動してたの……?」
「むむ、そりゃやりますよ。隊長殿がいる限り、隊長殿は永遠に不滅です! そういえば隊で入ってないのはマールだけですよね? マールも入りますか!?」
「え、いや。私は、その……」
「今ならジャンヌさんの愛をつづった詩を公募しています。審査委員長はもちろんこの私。マールさんも是非、一口応募してみませんか?」
「おお、さすがファンクラブ会員ナンバー9のサール! しれっとぶっこんできやがりました。人呼んで静寂の詩人!」
「え、サールさんも入ってるの? てか番号若い!? てか何そのあだ名!? 詩人なの!?」
「はい、団長殿に入会を義務付けられましたから。いえ、もちろんファンクラブの一員になって心から感謝していますとも。ジャンヌさんへの愛をこのように表現する場を与えてくれた団長殿とクロエさんには」
「むー、詩、それは魂の衝動! つまり正義!」
「あー、なんかクロエも変なスイッチ入っちゃった?」
クロエ、竜胆、マール、サールといった面々が和気あいあい(?)と喋っているのを、後ろから見てため息つく。
クロエと追加でサール。後で説教だな。
「つかこのメンツ……温泉行くって、もちろん男女別だよな?」
「何言ってるの? こんな山奥にそんなのあるわけないじゃない。天然温泉よ?」
里奈がすました顔で答えるけど、俺は耳を疑った。
というかこのメンツで気づくべきだった。
「いや俺、男なんだけど」
「まぁまぁ、今は女の子だし?」
「いや俺、20歳なんだけど?」
「まぁまぁ、今は14歳だし?」
「いや俺、一緒に入るの?」
「まぁまぁ、今は妹だし?」
全然意味が分からん!
てかなんだ、最後の!?
とはいえ、今の俺は4日も風呂に入っていないから、体のあちこちがかゆい。
河原で体を洗ったとはいえ、お世辞にも綺麗とはいえないし、何よりお風呂というものに飢えているところもある。
やはり日本人はお風呂!
湯につかることによって疲労成分が分解され、代謝能力もアップ!
まぁつまりは緊張状態が解けて、ひとっぷろ浴びてスッキリしたいという気分だ。
ただこうなったらしょうがない。皆の目を盗んで、隅っこでサッと入ろう。
――だが、
「いっきますよー、そーれ、ざっぶーん!」
「イエス! 正義!」
クロエと竜胆が勢いよく温泉に飛び込み、水しぶきを上げる。
「こら、あなたたち! 体を流してからにしなさい!」
「これが噂の温泉……ここならきっと泳いでも怒られませんね」
「あー、もうサールも! ったく、『狭い』んだから遊ばないの!」
なんかもうマールが保育園の先生みたいに見えてきた。
苦労してるなぁ、あいつ。
じゃなく!
さすが山奥の秘湯ともいうべきか。
岩で囲まれた4メートル四方の空間に、もうもうと湯気が立ち上りっている。
めっちゃ狭かった。
6人なんてギリギリ入れるくらいじゃないか。
さて、どうする。
知力99の天才的な頭脳は、この俺にどんな解決策を見出してくれる!?
1、後で入るよ。
……無理、この湯気の心地よさに逆らえない。
2、目を瞑って入る
……無理、それで前失敗したよな。
3、諦める
……無理、いや、もうほんと今日お風呂入らないと精神が死ぬ。
4……4……4……もうないな!
あれ、俺って実はそんな頭良くない?
てかそれ以前に意思弱すぎじゃね?
「明彦くん、どうしたの?」
呼ばれて振り返ると、里奈はすでにタオルを体に巻いた状態だった。
それがある意味新鮮で、あるいはどストライクで、俺は思わず言葉に詰まり、視線のやり場に困る。
「ほら、明彦くんも早く脱いで。早く入ろう?」
満点の笑顔で誘ってくる里奈に、俺はどぎまぎしながらも、必死で断りの言葉を探す。
「え、いや、だから俺は……」
「は?」
「いや、俺は後で……」
「は?」
「だからみんなとは……」
「は?」
ヤバい。なんか笑顔なのが逆に怖い。
圧が凄すぎる。
そして極めつけがこれだった。
「明彦くん。自分で脱ぐか、それとも脱がされるか、あるいは……『収穫』されるのどれがいい?」
「全力で脱ぎます!」
あれ? 里奈ってこんなだったっけ?
いや、長い時間一緒にいたわけじゃないし、実はこんな押しが強いんですって言われてもそういうものかってのはあるけど。てか怖い。収穫とか超怖いんですけど!
持ってきた大きめのタオルで体を隠しながら、里奈の監視の前でなんとか上から下まで脱ぎ去った。
うぅ、なんか逆に超恥ずかしいんだけど。
「ん、じゃあ入りましょう。そんなに嫌なら目を瞑ってていいから。ほら、私が案内するよ」
里奈に手を取られ、温泉の方に歩き出す。
里奈の手。小さいと思ってたけど、今はそれが大きく、温かい。思えば彼女と手を握ったこともないのに、こうもあっさりとその壁を突き抜けてくるとか……。
いや、あれだよな。今は女の体だから異性として見られてないってことだよな。
それで俺は観念して、俯き薄目で足元を見ながら里奈に連れていかれるがままにした。
「うふふ、それにしても真面目だね。まぁそれが明彦くんっぽいんだけど」
「うるせ。からかうなよ」
「からかってないよ。温泉旅行みたいで、明彦くん可愛くて、一緒に入れて、ちょっとテンションが変になっちゃってるけど」
あぁ、そのせいかよ。
このテンションは一過性のものだと願いたい。本気でそう思った。
「はい、到着。それじゃ体流すからそこ座って」
里奈に示された場所は、クロエたちがはしゃいでいる場所から岩陰になっている部分。
どうやらそこにも水たまり程度の温泉が流れ込んでいて、体を洗う分には持ってこいの場所だった。
そこのちょうど突き出た岩に腰かける。
お尻に岩肌が当たって痛かったけど我慢するしかない。
「はい、じゃあかけるよー」
ざばっとお湯が頭から来た。
温度は少し熱め。それでも川の水とは比べ物にならないほどの高揚をもたらす。
「シャンプーとかあったらいいんだけどとりあえず石鹸だね。リンスもコンディショナーもないし。そういうところは不便だよね。はい、頭ごしごしー、お客様、かゆいところはありませんかー?」
「……ないです」
里奈の手が俺の頭を、指の頭で掻くようにして優しくこすってくる。
あぁ、他人のシャンプーってなんでこんな眠たくなるんだ。
「うわー、ほんとさらさら。羨ましい」
さらに何度かお湯をかけられ、少し硬めのタオルでごしごしと首から下が拭かれていく。
皮がむけるような気分だけど痛くはない。むしろ古いものが剥がされていき、なんだか生き返った感覚がする。
「ん、やっぱり若いね。すぐにすべすべな肌が出てきちゃう。ほら、ここも」
「わゃ! さ、触るなよ!?」
「お、明彦くんの声、可愛いー。でも触らなきゃ汚れが落とせないでしょ? うふふー、こんなに育って。お姉ちゃんは満足です」
「いや、だから何で姉? てかお前、確実にあの2人の影響を受けてるだろ!」
「そりゃ明彦くんトークでつながっちゃったからねー」
最悪だ!
変態コンビが変態トリオに増えやがった!
「てか里奈って一人っ子だったよな。なんでそんな姉を強調するんだよ」
「んー、そういえばどうしてかなー。妹が欲しかったのかな。てか今は明彦くんが妹!」
「意味が分からん!」
どうしよう。里奈がどんどん離れていく。俺の想像していた里奈像から。
将来のマリアというか、ニーアを一回り小型にしたというか。
あんま似て欲しくない人たちに似てしまっているんだけれど。
「はい、これでおしまい」
「ん、ありがとう里奈」
少し行き過ぎなところがあるとはいえ、洗ってもらうのはやっぱり気持ちが良かった。
だがそれが更なるカオスの幕開けだったのだ。
「じゃあ、はい」
そう言って里奈は俺に手桶――いや、本当に手桶だ。木製の。里奈も作ったのか?――を渡して俺の隣に座る。
「え?」
「え? じゃなくて、私もお願い」
「え?」
「いや、だから明彦くんに体洗って欲しいの」
「え?」
「収穫されたい?」
「全力でやります!」
もしかして今後、これってパターン化されないよな?
てかどうする?
勢いで返事しちゃったけど……里奈の体を洗う? 俺が?
何べんも言うけど俺は男だぞ。里奈もそれは分かっているはず。
それとも本当に妹だとか思ってるわけ?
里奈の背中がすぐそこにある。
まるっきり油断しているようで、無防備とも言える背中をさらけ出している。
とりあえずお湯をかけてみる。
「ん……」
里奈の口から声が漏れる。
お湯を浴びた里奈の体が火照ったように赤みを帯びる。きめ細やかな肌は水を弾き、つややかな黒髪はみずみずしさを際立たせる。
なんだろう。すごく官能的な気分になってくる。
いや、彼女の素肌が目の前にある以上、その表現は間違っちゃいないんだけど。
触ってみたい。
その肌に、髪に、頬に。
けどそれをしてしまったら、色んな意味で一線を越えてしまうようで、踏ん切りがつかない。
はっきり言うとチキンだった。
髪を洗う美容師の気分だ、とか言い訳しようにもやっぱり体が動かない。
「明彦くんー?」
ヤバい、収穫される。
けど決心がつかない。
いや、でも里奈は良いって言ってるんだ。
でもそれをやってしまったら気まずいことこの上なくなる。
回し車をひたすら回すハムスターみたく思考が空回り。
俺の中の天使と悪魔が綱引きをして仲良く肩を組んでラインダンス。
うん、意味不明だ。つまりそれほど激しく混乱して、もう爆発寸前だ。
だがそんな絶体絶命の俺の元に、招かれざる援軍がやってきた。
「あー! 里奈さんずるいです! 隊長殿とイチャイチャして!」
「先輩とイチャイチャ!? これは……正義ですね! 竜胆も参加希望です!」
「落ち着いてください。ここは間をとってわたしがやるべきだと判断します」
「あんたたち! 静かにしなさいっての! あ、隊長が洗ってくれるなら私も……」
うるさいのが4人増えて、現場はますますカオスになった。
結局、それぞれが自分を洗う(当たり前だ)ことになり、俺は事なきを得た。里奈は少し不機嫌そうだったが……後でしっかり謝ろう。
そんなわけで温泉旅は終わったわけだが……。
疲れた。特に精神が。
おかしいな、温泉って心も体もリフレッシュするはずなのに……。
どうしてこうなった。
窓から差し込む陽の光が、網膜を焼くような刺激を与えてくる。
頭がぼうっと霧がかかったようで、自分の名前も居場所も何もかも一瞬忘れる。
酷く嫌な夢を見た気がする。
家族と一緒に殺される嫌な夢。
夢だけど夢じゃない変なリアリティを持っていた。
背中が冷汗で濡れていて気持ち悪い。
「あ、明彦くん。起きた?」
ドアが開き、少女が顔を出した。
そうだ、俺は明彦くん……じゃなく写楽明彦。
そしてこの声は里奈――立花里奈だ。
彼女は近づいてきて、じっと俺の顔を覗き込んでくる。
「よかった……」
そう言ってほほ笑む彼女は、差し込む陽の光と相まって、菩薩のように光り輝いて見えた。
「俺は……」
「明彦くん、昨日のお昼過ぎにこの村に帰って来たの。…………でも疲れが出たのか、倒れちゃったみたいで」
思い出してきた。
山を降りた俺は、攻撃、移動、休憩を繰り返しひたすらに帝国の砦を脅かし続けた。
その合間に地形の調査とか敵の動きの監視とかをしてたから、ほぼ寝る暇もなかったのだ。
『お願いしますから、寝てください』
『休憩は大事です。調査はわたしたちがやります』
などとフレールとサールの兄妹に泣きつかれて3時間くらい寝たものの、それ以外は数分目を閉じるくらいだった。
「そうだった……」
それほど犠牲はなく作戦は一応成功したとみていいだろうけど、本命の敵増援の報告はまだないから完璧とは言えない。
となると間を置かずに攻撃をしかけるべきだが……。
なんてことを考えていると、ふと視線に気づいた。
里奈が俺を見て口を尖らせている。
「それより明彦くん!」
急に佇まいを直すように正座した里奈は、いかめしい真面目な表情でこちらを見てくる。
「えっと、どうした?」
「私は怒ってます?」
「え?」
意味が分からない。
里奈を怒らせるようなことしたのか。
てかこれで怒ってるのか?
「明彦くんは無茶しすぎ。あんな倒れるまで頑張って」
「あぁ……うん」
「ずっと目を覚まさなくて、すごく心配したんだから」
少し険を落とした物言いに、少し引っかかった。
「ん、あれ? 今ってもしかして」
「明彦くん、丸一日寝てたんだよ」
「あーーー」
そういうこと、か。
ずっと寝て一度も起きた覚えもない。そりゃ心配されるわな。
「あんなに……生き急いでる感じ。よくないよ。明彦くんが……いなくなったら、私は……」
涙ぐみながら言う里奈に、俺は何も言えなくなった。
あまり覚えてないけど、なんか熱くなって変なことを言ったような気もする。
生き急ぐ、か。
状況はそれくらい切羽詰まっていた――いや、そう感じていた。
巨大すぎる敵。増えない味方。
方針は立てたものの、その綱渡りすぎる道筋に内心不安を抱いていたんだろう。
俺にできるのか?
勝つことができるのか?
そのためにどれだけ多くの人が死ぬのか?
だからその不安を払拭するために、無茶をした。そうでもしないと、皆がついてこないと思ったから。
それで里奈に――守るべきものに心配させたのだから、俺は本当にダメな男だ。
分かった。もう無茶はしない。
そう答えようとして、頭の中で待ったがかかった。
違う。ここで答える言葉はそれじゃない。
ここは――
「ごめん。心配かけた」
「…………うん」
里奈が涙を拭きながらそう頷く。
その所作が、どこか俺の琴線に触れる。
里奈をじっと見つめる。里奈もじっと見つめ返してきた。
涙に濡れた里奈の瞳。そこに少しクマがある。あまり寝ていないのだろう。もしかしてずっとここにいてくれたのか。なんだ、里奈も人のこと言えないじゃないか。お互い様だ。けど、そんな里奈が愛おしく思えて――
――くぅ。
お腹が鳴った。
こんな時に鳴らなくても……ってか待て。俺は今何しようとした?
なんかいいムードみたいになろうとしてなかったか!?
いやいや、俺は里奈とそういう関係じゃまだないし、それに今の俺は女!
危ない危ない。なんか色々と超えちゃいけない一線をぶち抜くところだった。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、里奈は微笑んで、
「ご飯にしようか」
「ああ」
気恥ずかしくなって、俺は少し視線を外して頷く。
「あ、でも少し待って。ご飯の前にちょっと行こうか」
「行くって、どこへ?」
「温泉。明彦くん、ちょっと臭うよ?」
――というわけで。
「隊長殿が、元気になればー♪ 帝国なんちゃへっちゃららー♪」
「なんですか、その歌は? 正義の香りがします!」
「お、気になりますか、リンドー? これぞ隊長殿のテーマです! 今度、ファンクラブの公式ソングにしようかと!」
「あなた、まだその活動してたの……?」
「むむ、そりゃやりますよ。隊長殿がいる限り、隊長殿は永遠に不滅です! そういえば隊で入ってないのはマールだけですよね? マールも入りますか!?」
「え、いや。私は、その……」
「今ならジャンヌさんの愛をつづった詩を公募しています。審査委員長はもちろんこの私。マールさんも是非、一口応募してみませんか?」
「おお、さすがファンクラブ会員ナンバー9のサール! しれっとぶっこんできやがりました。人呼んで静寂の詩人!」
「え、サールさんも入ってるの? てか番号若い!? てか何そのあだ名!? 詩人なの!?」
「はい、団長殿に入会を義務付けられましたから。いえ、もちろんファンクラブの一員になって心から感謝していますとも。ジャンヌさんへの愛をこのように表現する場を与えてくれた団長殿とクロエさんには」
「むー、詩、それは魂の衝動! つまり正義!」
「あー、なんかクロエも変なスイッチ入っちゃった?」
クロエ、竜胆、マール、サールといった面々が和気あいあい(?)と喋っているのを、後ろから見てため息つく。
クロエと追加でサール。後で説教だな。
「つかこのメンツ……温泉行くって、もちろん男女別だよな?」
「何言ってるの? こんな山奥にそんなのあるわけないじゃない。天然温泉よ?」
里奈がすました顔で答えるけど、俺は耳を疑った。
というかこのメンツで気づくべきだった。
「いや俺、男なんだけど」
「まぁまぁ、今は女の子だし?」
「いや俺、20歳なんだけど?」
「まぁまぁ、今は14歳だし?」
「いや俺、一緒に入るの?」
「まぁまぁ、今は妹だし?」
全然意味が分からん!
てかなんだ、最後の!?
とはいえ、今の俺は4日も風呂に入っていないから、体のあちこちがかゆい。
河原で体を洗ったとはいえ、お世辞にも綺麗とはいえないし、何よりお風呂というものに飢えているところもある。
やはり日本人はお風呂!
湯につかることによって疲労成分が分解され、代謝能力もアップ!
まぁつまりは緊張状態が解けて、ひとっぷろ浴びてスッキリしたいという気分だ。
ただこうなったらしょうがない。皆の目を盗んで、隅っこでサッと入ろう。
――だが、
「いっきますよー、そーれ、ざっぶーん!」
「イエス! 正義!」
クロエと竜胆が勢いよく温泉に飛び込み、水しぶきを上げる。
「こら、あなたたち! 体を流してからにしなさい!」
「これが噂の温泉……ここならきっと泳いでも怒られませんね」
「あー、もうサールも! ったく、『狭い』んだから遊ばないの!」
なんかもうマールが保育園の先生みたいに見えてきた。
苦労してるなぁ、あいつ。
じゃなく!
さすが山奥の秘湯ともいうべきか。
岩で囲まれた4メートル四方の空間に、もうもうと湯気が立ち上りっている。
めっちゃ狭かった。
6人なんてギリギリ入れるくらいじゃないか。
さて、どうする。
知力99の天才的な頭脳は、この俺にどんな解決策を見出してくれる!?
1、後で入るよ。
……無理、この湯気の心地よさに逆らえない。
2、目を瞑って入る
……無理、それで前失敗したよな。
3、諦める
……無理、いや、もうほんと今日お風呂入らないと精神が死ぬ。
4……4……4……もうないな!
あれ、俺って実はそんな頭良くない?
てかそれ以前に意思弱すぎじゃね?
「明彦くん、どうしたの?」
呼ばれて振り返ると、里奈はすでにタオルを体に巻いた状態だった。
それがある意味新鮮で、あるいはどストライクで、俺は思わず言葉に詰まり、視線のやり場に困る。
「ほら、明彦くんも早く脱いで。早く入ろう?」
満点の笑顔で誘ってくる里奈に、俺はどぎまぎしながらも、必死で断りの言葉を探す。
「え、いや、だから俺は……」
「は?」
「いや、俺は後で……」
「は?」
「だからみんなとは……」
「は?」
ヤバい。なんか笑顔なのが逆に怖い。
圧が凄すぎる。
そして極めつけがこれだった。
「明彦くん。自分で脱ぐか、それとも脱がされるか、あるいは……『収穫』されるのどれがいい?」
「全力で脱ぎます!」
あれ? 里奈ってこんなだったっけ?
いや、長い時間一緒にいたわけじゃないし、実はこんな押しが強いんですって言われてもそういうものかってのはあるけど。てか怖い。収穫とか超怖いんですけど!
持ってきた大きめのタオルで体を隠しながら、里奈の監視の前でなんとか上から下まで脱ぎ去った。
うぅ、なんか逆に超恥ずかしいんだけど。
「ん、じゃあ入りましょう。そんなに嫌なら目を瞑ってていいから。ほら、私が案内するよ」
里奈に手を取られ、温泉の方に歩き出す。
里奈の手。小さいと思ってたけど、今はそれが大きく、温かい。思えば彼女と手を握ったこともないのに、こうもあっさりとその壁を突き抜けてくるとか……。
いや、あれだよな。今は女の体だから異性として見られてないってことだよな。
それで俺は観念して、俯き薄目で足元を見ながら里奈に連れていかれるがままにした。
「うふふ、それにしても真面目だね。まぁそれが明彦くんっぽいんだけど」
「うるせ。からかうなよ」
「からかってないよ。温泉旅行みたいで、明彦くん可愛くて、一緒に入れて、ちょっとテンションが変になっちゃってるけど」
あぁ、そのせいかよ。
このテンションは一過性のものだと願いたい。本気でそう思った。
「はい、到着。それじゃ体流すからそこ座って」
里奈に示された場所は、クロエたちがはしゃいでいる場所から岩陰になっている部分。
どうやらそこにも水たまり程度の温泉が流れ込んでいて、体を洗う分には持ってこいの場所だった。
そこのちょうど突き出た岩に腰かける。
お尻に岩肌が当たって痛かったけど我慢するしかない。
「はい、じゃあかけるよー」
ざばっとお湯が頭から来た。
温度は少し熱め。それでも川の水とは比べ物にならないほどの高揚をもたらす。
「シャンプーとかあったらいいんだけどとりあえず石鹸だね。リンスもコンディショナーもないし。そういうところは不便だよね。はい、頭ごしごしー、お客様、かゆいところはありませんかー?」
「……ないです」
里奈の手が俺の頭を、指の頭で掻くようにして優しくこすってくる。
あぁ、他人のシャンプーってなんでこんな眠たくなるんだ。
「うわー、ほんとさらさら。羨ましい」
さらに何度かお湯をかけられ、少し硬めのタオルでごしごしと首から下が拭かれていく。
皮がむけるような気分だけど痛くはない。むしろ古いものが剥がされていき、なんだか生き返った感覚がする。
「ん、やっぱり若いね。すぐにすべすべな肌が出てきちゃう。ほら、ここも」
「わゃ! さ、触るなよ!?」
「お、明彦くんの声、可愛いー。でも触らなきゃ汚れが落とせないでしょ? うふふー、こんなに育って。お姉ちゃんは満足です」
「いや、だから何で姉? てかお前、確実にあの2人の影響を受けてるだろ!」
「そりゃ明彦くんトークでつながっちゃったからねー」
最悪だ!
変態コンビが変態トリオに増えやがった!
「てか里奈って一人っ子だったよな。なんでそんな姉を強調するんだよ」
「んー、そういえばどうしてかなー。妹が欲しかったのかな。てか今は明彦くんが妹!」
「意味が分からん!」
どうしよう。里奈がどんどん離れていく。俺の想像していた里奈像から。
将来のマリアというか、ニーアを一回り小型にしたというか。
あんま似て欲しくない人たちに似てしまっているんだけれど。
「はい、これでおしまい」
「ん、ありがとう里奈」
少し行き過ぎなところがあるとはいえ、洗ってもらうのはやっぱり気持ちが良かった。
だがそれが更なるカオスの幕開けだったのだ。
「じゃあ、はい」
そう言って里奈は俺に手桶――いや、本当に手桶だ。木製の。里奈も作ったのか?――を渡して俺の隣に座る。
「え?」
「え? じゃなくて、私もお願い」
「え?」
「いや、だから明彦くんに体洗って欲しいの」
「え?」
「収穫されたい?」
「全力でやります!」
もしかして今後、これってパターン化されないよな?
てかどうする?
勢いで返事しちゃったけど……里奈の体を洗う? 俺が?
何べんも言うけど俺は男だぞ。里奈もそれは分かっているはず。
それとも本当に妹だとか思ってるわけ?
里奈の背中がすぐそこにある。
まるっきり油断しているようで、無防備とも言える背中をさらけ出している。
とりあえずお湯をかけてみる。
「ん……」
里奈の口から声が漏れる。
お湯を浴びた里奈の体が火照ったように赤みを帯びる。きめ細やかな肌は水を弾き、つややかな黒髪はみずみずしさを際立たせる。
なんだろう。すごく官能的な気分になってくる。
いや、彼女の素肌が目の前にある以上、その表現は間違っちゃいないんだけど。
触ってみたい。
その肌に、髪に、頬に。
けどそれをしてしまったら、色んな意味で一線を越えてしまうようで、踏ん切りがつかない。
はっきり言うとチキンだった。
髪を洗う美容師の気分だ、とか言い訳しようにもやっぱり体が動かない。
「明彦くんー?」
ヤバい、収穫される。
けど決心がつかない。
いや、でも里奈は良いって言ってるんだ。
でもそれをやってしまったら気まずいことこの上なくなる。
回し車をひたすら回すハムスターみたく思考が空回り。
俺の中の天使と悪魔が綱引きをして仲良く肩を組んでラインダンス。
うん、意味不明だ。つまりそれほど激しく混乱して、もう爆発寸前だ。
だがそんな絶体絶命の俺の元に、招かれざる援軍がやってきた。
「あー! 里奈さんずるいです! 隊長殿とイチャイチャして!」
「先輩とイチャイチャ!? これは……正義ですね! 竜胆も参加希望です!」
「落ち着いてください。ここは間をとってわたしがやるべきだと判断します」
「あんたたち! 静かにしなさいっての! あ、隊長が洗ってくれるなら私も……」
うるさいのが4人増えて、現場はますますカオスになった。
結局、それぞれが自分を洗う(当たり前だ)ことになり、俺は事なきを得た。里奈は少し不機嫌そうだったが……後でしっかり謝ろう。
そんなわけで温泉旅は終わったわけだが……。
疲れた。特に精神が。
おかしいな、温泉って心も体もリフレッシュするはずなのに……。
どうしてこうなった。
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だが、それは 攻撃魔法ではなく、回復魔法のみだった。
戦場では、剣を振るうことも、敵を討つこともできない。
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——けれど、彼は知っている。
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いや、正しくは——「思い出しつつある」。
彼は今日も、傷を癒やす。
それが”何度目の選択”なのかを、知ることもなく。
※これは第一部完結版です。
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まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
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