10 / 39
第一章
【三】星夜ーミッションを遂行せよ!③
しおりを挟む
「星夜は親父さんと同じ仕事に就くのか?」
「まだ考えてないな」
俺は父さんみたいなエリートにはなれないし、両親も悟ってるはずだ。
東京の学校じゃ田舎者とからかわれて、一部の生徒からは排除対象にされていた。もう過ぎたことだから、記憶を掘り起こすのは止めよう。
海人たちと楽しい学園生活を送るんだ。
ハッ。ミッションを忘れていたぜ。
『転校先で腐女子(BLを愛する女生徒)を見つけ出し、祖母ちゃんの小説についての生感想をもらう』
自己紹介がてら、速攻で作戦開始ってのはどうだろう。
「はじめまして、若生星夜です。東京からここへ戻ってきました。趣味は庭からボーッと海を眺めることです。もし腐女子の方がいたら、俺と友だちになってください!」
だめだ、絶対に腐男子認定されちゃうじゃんよー。
脳内シミュレーションやり直し!
教室へ入るとざわめきがピタリと止んだ。
「あれ誰?」
「イケメンじゃん」
「転校生じゃね?」
「紀文ちゃんがいってた人?」
【出席番号順に座ること】と黒板に指示されていたので、窓際の一番後ろの席に移動する。萩野妹は隣の席に、海人は斜め前に座った。
「隣でラッキー」
「お兄ちゃん、星夜君にノート見せてもらう気でしょ」
「当たり前じゃん」
月子ちゃんがため息をつきながら通学鞄から筆箱を取り出した。
見慣れないペンでスマホを擦って……書いてる?
「そのペンで何を書いてるの?」
「イラストよ。私、漫画家志望なの」
「凄いな! 俺は将来の夢は叶わなかったな……」
ため息をついたら、海人が俺の腕をバンバン叩いた。
「今からでも遅くないだろ!」
「うん、そうだな」
夢は叶わなくても、不可抗力や権力が作用する非日常的な生活だけはもう嫌だ。
「就職なら、うちの会社はいつでも大歓迎だぜ」
「スカウトありがとう」
始業のベルが鳴り、スーツのアラサー男性が教壇に立った。白チョークで黒板に紀文光一と刻んでいく。
「担任のきぶんこういち、です。現国担当です。文系大学進学コースの責任者も兼任しています。大学について知りたいことがあれば、俺に聞いてください」
「紀文ちゃん、彼女できた?」
メイクバッチリ女子から質問が飛んだ。
「俺は大学じゃないぞー。じゃあ出席番号一番の人から自己紹介していこうか」
廊下側の一番前の男子生徒が立ち上がり、窓側へ顔を向けた。
「相田よつおです。人間です」
「ツッコミどころがないぞー」
「母ちゃんの部屋にある色紙書いたの、お前かよー」
ツッコミを回避するのを失敗した相田くんは、なんだか涙目になっていた。マッシュルームカットが似合う、なかなかの美少年だ。
「よしなさいよ」
凛とした声は相田くんの後ろに座る女子だった。
「はい、じゃあ次の人~」
紀文先生はカバー付きのノートを開いて、何やらメモしていた。
あ、あれは?
「先生の持ってるペンに白い何かがついてる。もしかして、ハンペン?」
「そうよ。美味しそうだよね」
「食べれないけどね」
いや、レプリカだって俺でもわかるぞ。
「まだ考えてないな」
俺は父さんみたいなエリートにはなれないし、両親も悟ってるはずだ。
東京の学校じゃ田舎者とからかわれて、一部の生徒からは排除対象にされていた。もう過ぎたことだから、記憶を掘り起こすのは止めよう。
海人たちと楽しい学園生活を送るんだ。
ハッ。ミッションを忘れていたぜ。
『転校先で腐女子(BLを愛する女生徒)を見つけ出し、祖母ちゃんの小説についての生感想をもらう』
自己紹介がてら、速攻で作戦開始ってのはどうだろう。
「はじめまして、若生星夜です。東京からここへ戻ってきました。趣味は庭からボーッと海を眺めることです。もし腐女子の方がいたら、俺と友だちになってください!」
だめだ、絶対に腐男子認定されちゃうじゃんよー。
脳内シミュレーションやり直し!
教室へ入るとざわめきがピタリと止んだ。
「あれ誰?」
「イケメンじゃん」
「転校生じゃね?」
「紀文ちゃんがいってた人?」
【出席番号順に座ること】と黒板に指示されていたので、窓際の一番後ろの席に移動する。萩野妹は隣の席に、海人は斜め前に座った。
「隣でラッキー」
「お兄ちゃん、星夜君にノート見せてもらう気でしょ」
「当たり前じゃん」
月子ちゃんがため息をつきながら通学鞄から筆箱を取り出した。
見慣れないペンでスマホを擦って……書いてる?
「そのペンで何を書いてるの?」
「イラストよ。私、漫画家志望なの」
「凄いな! 俺は将来の夢は叶わなかったな……」
ため息をついたら、海人が俺の腕をバンバン叩いた。
「今からでも遅くないだろ!」
「うん、そうだな」
夢は叶わなくても、不可抗力や権力が作用する非日常的な生活だけはもう嫌だ。
「就職なら、うちの会社はいつでも大歓迎だぜ」
「スカウトありがとう」
始業のベルが鳴り、スーツのアラサー男性が教壇に立った。白チョークで黒板に紀文光一と刻んでいく。
「担任のきぶんこういち、です。現国担当です。文系大学進学コースの責任者も兼任しています。大学について知りたいことがあれば、俺に聞いてください」
「紀文ちゃん、彼女できた?」
メイクバッチリ女子から質問が飛んだ。
「俺は大学じゃないぞー。じゃあ出席番号一番の人から自己紹介していこうか」
廊下側の一番前の男子生徒が立ち上がり、窓側へ顔を向けた。
「相田よつおです。人間です」
「ツッコミどころがないぞー」
「母ちゃんの部屋にある色紙書いたの、お前かよー」
ツッコミを回避するのを失敗した相田くんは、なんだか涙目になっていた。マッシュルームカットが似合う、なかなかの美少年だ。
「よしなさいよ」
凛とした声は相田くんの後ろに座る女子だった。
「はい、じゃあ次の人~」
紀文先生はカバー付きのノートを開いて、何やらメモしていた。
あ、あれは?
「先生の持ってるペンに白い何かがついてる。もしかして、ハンペン?」
「そうよ。美味しそうだよね」
「食べれないけどね」
いや、レプリカだって俺でもわかるぞ。
63
あなたにおすすめの小説
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる