11 / 39
第一章
【三】星夜ーミッションを遂行せよ!④
しおりを挟む
「猪又れなです。よつおの彼女です」
背中まである黒髪の持ち主は、冷たい切長の瞳でクラスメイトを一瞥すると、さっさと席に着いてしまった。
相田くんは真っ赤になってた。
「噂は本当だったかー。佐藤振られてたもんなー」
「れなちゃん争奪バトル、盛り上がったもんなー」
な、なんなんだ。その気になるイベントは。
相田くんが戦いに勝利したってことかー?
クラスメイトは中々に濃いキャラが集まっていた。萩野兄妹は有名人らしく、海人が挨拶したら、なぜか飴玉が四方八方から飛んできた。
「な、なんなんだ?」
とりあえず床に落ちた飴玉の袋を拾って、海人の机に載せた。
「お兄ちゃんがチョコより飴が好きってバレンタイン前日にバラしたもんだから、気合い入れて用意してた女子から恨まれて時々飛んでくるんだよね」
「愛情の裏返しってやつだな」
いや、ただの嫌がらせ80%だと俺は断言するぜ。
「海人がニャニーズ系イケメンなのが羨ましいぜ」
「星夜くん、鏡見たことないの?」
月子ちゃんが意味不明だ。
「毎朝見てるぜ。それがどうしたんだよ」
「よせ、月子。星夜はこのままでいいんだ。都会の絵の具に染まらないで帰ってきてくれて、ありがとう」
「お兄ちゃん。それ、おばあさまの持ち歌でしょ」
「お前たち兄妹の内ネタか?」
「そうそう。木綿のハンカチーフな」
「俺、ポケティしかないぜ」
「はい、それじゃラスト。転校生よろしく」
「若生星夜です。東京から、小6まで住んでいた仙台に戻って来ました。趣味は庭で海を見ることです。よろしくお願いします」
「よろしく~」
「海人君の友だちなの?」
「幼なじみさ。みんな、俺からもよろしくな!」
海人がウインクしたら嬌声と飴が飛んできた。明日から虫網を持ってくるべきか……。
「帽子のほうがいいわね」
おっと、月子ちゃん。心の声が聞こえてたか。
四十人が自己紹介をして一時限目は終了した。続く授業も教科ごとの新担任からのオリエンテーションが行われた。
俺は楽しいアオハルライフが目標なので、窓際で日向ぼっこして過ごした。要するに白昼夢状態だ。
ミッション、全然進まなかったな……。
クラスメイトと親しくなるひと月後あたりに、それとなく探りを入れようか。そうだ、漫研とかあるかも。いや、美術部に生息しているのか?
あとで月子ちゃんに聞いてみよう。
背中まである黒髪の持ち主は、冷たい切長の瞳でクラスメイトを一瞥すると、さっさと席に着いてしまった。
相田くんは真っ赤になってた。
「噂は本当だったかー。佐藤振られてたもんなー」
「れなちゃん争奪バトル、盛り上がったもんなー」
な、なんなんだ。その気になるイベントは。
相田くんが戦いに勝利したってことかー?
クラスメイトは中々に濃いキャラが集まっていた。萩野兄妹は有名人らしく、海人が挨拶したら、なぜか飴玉が四方八方から飛んできた。
「な、なんなんだ?」
とりあえず床に落ちた飴玉の袋を拾って、海人の机に載せた。
「お兄ちゃんがチョコより飴が好きってバレンタイン前日にバラしたもんだから、気合い入れて用意してた女子から恨まれて時々飛んでくるんだよね」
「愛情の裏返しってやつだな」
いや、ただの嫌がらせ80%だと俺は断言するぜ。
「海人がニャニーズ系イケメンなのが羨ましいぜ」
「星夜くん、鏡見たことないの?」
月子ちゃんが意味不明だ。
「毎朝見てるぜ。それがどうしたんだよ」
「よせ、月子。星夜はこのままでいいんだ。都会の絵の具に染まらないで帰ってきてくれて、ありがとう」
「お兄ちゃん。それ、おばあさまの持ち歌でしょ」
「お前たち兄妹の内ネタか?」
「そうそう。木綿のハンカチーフな」
「俺、ポケティしかないぜ」
「はい、それじゃラスト。転校生よろしく」
「若生星夜です。東京から、小6まで住んでいた仙台に戻って来ました。趣味は庭で海を見ることです。よろしくお願いします」
「よろしく~」
「海人君の友だちなの?」
「幼なじみさ。みんな、俺からもよろしくな!」
海人がウインクしたら嬌声と飴が飛んできた。明日から虫網を持ってくるべきか……。
「帽子のほうがいいわね」
おっと、月子ちゃん。心の声が聞こえてたか。
四十人が自己紹介をして一時限目は終了した。続く授業も教科ごとの新担任からのオリエンテーションが行われた。
俺は楽しいアオハルライフが目標なので、窓際で日向ぼっこして過ごした。要するに白昼夢状態だ。
ミッション、全然進まなかったな……。
クラスメイトと親しくなるひと月後あたりに、それとなく探りを入れようか。そうだ、漫研とかあるかも。いや、美術部に生息しているのか?
あとで月子ちゃんに聞いてみよう。
61
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる