破滅確定の悪役令嬢ですが、魅惑の女王になりました。

専業プウタ

文字の大きさ
23 / 35

23.なんで? 恋愛感情はないって言ったのに!

しおりを挟む
「何が嫌なの? どうして、そんなに私に拘るの?」
「拘るって当たり前だろ! 僕たち10年以上も一緒にいたんだよ。僕は君と一緒になる未来しか考えていないよ。君のことを心から愛しているんだ」
 ミカエルに縋られて戸惑った。

 はっきり言って、男に縋られた経験など皆無だ。
 そして、恋愛脳でないせいかイケメンの彼に抱きしめられても全くときめかない。それ以上に、この異常事態に愛の告白などしてくる彼が心配になる。

(今、下手したら反逆罪で訴えられるかもしれないのに⋯⋯)

 男心のわからない私でも、今、そういう時ではないと彼を突き放したらマズイ事はわかった。
「正直に言うね⋯⋯私、ミカエルに対して恋愛感情は持ってないよ。でも、あなたは私にとって大切な人で守りたいと思ってるよ」
「それで十分だよルシア⋯⋯」
ミカエルは私の頬を手で包み、唇を近づけてくる。
(なんで? 恋愛感情はないって言ったのに!)

「ちょっと待って⋯⋯それは、結婚式までとっておきたいの」
私は思わず両手でミカエルの口を塞いでいた。
「そっか、ルシアは奥ゆかしいね。そういう所も好きなんだ⋯⋯僕との婚約がなくなってもアルベルトのものにだけはならないで⋯⋯それだけは耐えられない」
 私の髪を撫でてくる彼に私はとっても不安になった。

 (私、アルベルト様と契約キスみたいなのしてる⋯⋯あれ? レオやライアンともキスしてる?)

 目の前にいる精神不安定な彼にバレたら大変なことになりそうだ。

 その日の夜、皇室の正式に王宮医が誤診したことを発表した。王宮医は厳罰に処されるらしい。でも、ほとんどの人間は今回の黒幕はステラン公爵だと気づいているようだった。

 そして、私は真夜中にカイロス国王に呼び出された。
 彼の執務室に入るのは初めてだが、こんな真夜中なのに補佐官が2人もついていて仕事をしているようだった。
 積み上がった書類の処理に追われているように見えた。
(国王の仕事って大変なのね⋯⋯そういえば君主の過労死ってよく聞く⋯⋯)

 
「ルシア、お前を呼んだのは他でもない。お前を1週間後に立太子する。ミカエルには王子としてお前を補佐させる」
「ミカエルを王太子のままにする選択肢はないのですか?」
「実子に跡を継がせたい余の気持ちは、まだ子であるお前には理解できまい」

 私はミカエルの気持ちが心配だった。
 散々、次期国王になるための勉強をしてきたはずだ。
 
 私が黙りこくっていると、カイロス国王は続けて言って来た。

「そなたはナタリーに似て優しいな。ミカエルの事を気にすることはない。それに今回のことで余はアレの弱さに失望した。使えないようなら、今回の罪を問い廃嫡にしようと思う」
 
 不倫女ナタリー・ミエーダに似ていると言われた事にゾッとした。そして、ミカエルの立場を考えると国王の提案を受け入れた方が良さそうだ。

「分かりました。でも、一言だけ言わせてください。今回の件は元を正せば陛下とナタリー・ミエーダ侯爵夫人の不貞が原因です。ミカエルは被害者ですよ。突然明かされた真実に動揺して当然です。彼が今まで次期国王になる為、努力してきた事をしっかり評価してください」
「ルシア、お前は王妃というよりは女王の器だな。もう、余よりも偉いつもりのようだ」

 馬鹿にしたように笑うカイロス国王に苛立ったが、気持ちを抑えた。

「お褒め頂き光栄です。ミカエルの頼もしいサポートを得て、スグラ王国をより良い方向に導いていきたいと思います。まずは、国の膿を出した方が良さそうですね」
「お前は余にも似てるな⋯⋯不敵で、曖昧なことの許せないその性格」
 カイロス国王が楽しそうに笑い出したので、気分が悪くなり私は一礼してその場を去った。彼のような自分勝手な男に似ていると言われて嬉しい訳がない。
(グレーが嫌だとか言いながら、ステラン公爵は野放しじゃない⋯⋯)

 どうやら、私が誘惑の悪女ルシアを演じるのもここまでのようだ。
 
 いつだって、突然のことで思ってた道ではない道を行かなければならない時がある。
 
 私が今しなければならないのは、ルシアとして男を誘惑して乙女ゲームの話を進めることではない。
 
 ミカエルと協力してスグラ王国をより良いものにしていくことだ。

(軌道修正しなきゃね⋯⋯まずはアルベルト様とレオと別れないと)

 私はこの時は自分のこれからの行動が、男たちを惑わし執着される結果になるとは思っても見なかった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...