転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス

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一章 異世界への降り立ち。そして序章

実はこう見えて裏設定だけはしっかりしてるの(でも少しづつ表に出したいの)

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「………知らない天井だ」



 元ネタは知らないものの、異世界で目が覚めた初日に言うセリフ第1位とも言えるセリフを言い、優斗は目を覚ます。

 今日は異世界生活2日目。一々日数を数えるのも最初の内だけだろうが、それでも今だけは数えておく。



「〈アクアホース〉っと」



 目を覚ます為に洗面台に向かい、水属性の初級魔法を使って水を貯め、その水を使って顔を洗う。



「やっぱり、初級魔法は戦闘向きじゃないよな………」



 貯まった水を見ながらそう呟く。蛇口を捻らずとも冷たくて気持ちのいい水が出てくることはいい事だが、戦闘に魔法を使えないことは冒険者としては少し凹む。神聖魔法があって良かった。神聖魔法が無ければきっと耐えられなかっただろう。



「そう言えば〈初級神聖魔法〉まだ習得してなかったな」



 昨夜のどんちゃん騒ぎの影響ですっかり忘れていたスキルの習得を今する。



「えっと、〈初級神聖魔法〉で使えるのは簡単な治癒魔法と、浄化魔法か………」



 完全に後方支援の魔法だが、初級だしこういうものだろうと納得し、準備を終えると早速冒険者ギルドに向かう。



 ギルドに到着し、ライナー達と合流すると、早速ライナーに神聖魔法の事を伝えた。



「へぇ。ユウトっちは神聖魔法を習得出来たんだな」



「そうなんだ。でも昨夜のキースの話しを聞いて、やっぱり秘匿するべきなのかなって」



「俺っちは隠すべきだと思うぜ。初級とはいえ、神聖魔法は貴重な魔法。それを冒険者が持ってるとなればあらゆるパーティから引っ張りだこになるが、要らぬトラブルを招きやすくもなるしな。大っぴらに言うとしても、ユウトっちが一人である程度戦える実力がつくまで。そうだな………レベル30もあれば大丈夫か?」



「それは要求値が高すぎるだろう。レベル25もあれば大丈夫だ」



 レベル25。それも十分高いように聞こえるが、それだけ優斗の事を心配してくれているのだろう。



「ちなみに3人のレベルは幾つなんだ?」



 優斗は参考にしようと思い3人のレベルを尋ねたのだが



「俺っちは今は51だぜ」



「俺は46だな。やはりトドメを刺しづらいのが問題か」



「私は49だよ。斥候だけど、道中で不意打ちしたり、雑魚狩りもしてるから自然とレベルも上がるんだよね」



 やはり上級冒険者ということなのだろう。優斗の今のレベルよりも、優斗が想像していたよりも遥かに高い。



「そりゃ、スキルも1杯取得してるし、応用も出来るよな」



「そりゃそうだ。ユウトっちも、いつかできるようになるさ」



 ライナーはそう言いながら、懐から何枚かの紙を取り出した。



「じゃあ、今日は採取系のクエストにでも行こうか」



 提案されたクエストは、冒険者の始まりのクエストとも言える採取系クエスト。



「冒険者としてやっていく決心が出来たから、ここで基礎から学び直すってことか?」



「そういう事だ。それに、ユウトっちがどういう冒険者になるにせよ、〈弱点看破〉以外の何かしらの感知系スキルは取得した方がお得だしな」



「そうそう。私は斥候をしてる都合上感知系スキルも沢山持ってるし、スキルレベルも上がりやすいけど、沢山種類があるのに効果が違うのも多いし、微妙な違いしかないスキルも多いから難しいんだよね~」



 将来、優斗がソロで活動するのかパーティを組むかはわからないが、エレンの活躍とライナーがお墨付きを出すのであれば、感知系スキルは必要なのだろう。

 昨日のエレンのクエストでの活躍を思い出しながら、一つ疑問が浮かんでくる。



「そう言えば、エレンって昨日スキルを3つ使ってたよな?」



「ユウトくんにわかりやすい形で、だったらそうだね。〈敵感知〉と〈索敵〉と〈バインド〉だね」



 エレンが親切に教えてくれたことによって、より分かりやすく疑問が出てくる。



「〈敵感知〉と〈索敵〉って、どういう違いがあるんだ?」



 恐らくこの2つが、微妙な違いしかないスキルなのだろうが、名前だけ聞いても違いがわかりづらかった。



「ユウト。着眼点がいいな。実際、このスキルは違いがわかりづらい」



「でも、どんなスキルだって必ず違いはある。そうだよな?エレン」



「うん。この2つのスキルの違いは、やっぱり感知対象が絶妙に違うことかな」



「やっぱり、微妙に違うのか」



「うん。使ってみると全然違うんだけどね。ざっくりと答えると〈敵感知〉が向けられている敵意を感知するスキルで、〈索敵〉が自分からの敵意の矛先を感知するスキルかな?」



「………敵意の方向が違うのか」



「そういう事。もっと詳しく言うと、〈敵感知〉は自分に向けられる敵意と、その敵意を向けてくる存在がどこにいるのかがわかるスキルだけど、それが誰なのか、どういう存在なのかはわからないの。逆に〈索敵〉スキルは範囲はそこまで広くないけど、自分が敵意を向ける対象の現在位置がわかるスキル。でも、一度に沢山の種類や種族は感知できないスキルかな」



 2つのスキルを説明され、どういう存在なのか理解した上で優斗は考える。



(敵意を感知するスキルだけでもこんなに細かい違いがあるなら、他のスキルはどうなるんだ?)



 恐らく、想像を絶する量になるだろう。



「参考程度に、感知系スキルをエレンが知ってる限りでいいから教えてくれないか?」



「えっとね?全部は数が多いから言えないけど、〈敵感知〉に〈索敵〉でしょ?それに〈殺気感知〉に〈危険感知〉。〈魔力感知〉〈薬草感知〉〈鉱物感知〉〈生体感知〉かな?それと珍しいのだと〈未来予知〉なんていうスキルもあるって聞いたことあるよ」



 〈敵感知〉と〈索敵〉と〈殺気感知〉と〈危険感知〉が同じにしか聞こえない。そう思ってると



「ユウトっちも微妙そうな顔してるな。実際、〈敵感知〉と〈殺気感知〉に大きな違いは無いからな。強いていえば〈殺気感知〉の方は攻撃に対する殺意も感知出来るくらいか。それも〈危機感知〉でいいし、こっちは無機物に対する感知も可能だからな」



 そう聞くと、似たようなスキルは多いのかもしれない。確かに差別化はできるのかもしれないが。



「じゃあ、話しを戻すが、今日は採取系のクエストだ。目的はユウトの目利きを上達させること。そして、スキルの熟練度をあげることも視野に入れようか」



 キースが逸れた話しを戻して採取クエストの内容に触れる。



「スキルの熟練度って言うと、〈初級魔法〉か?」



「それもあるが、メインは〈自然影響耐性〉と〈初級神聖魔法〉だな。〈自然影響耐性〉は自然物の毒に対しては有効だからスキルレベルを上げておいて損は無いし、もし毒になっても〈初級神聖魔法〉でも簡単な解毒ができると聞いたことがある」



「今回はそこまで危険な場所まで行くつもりは無いが、どの植物に毒があって、何が安全かをユウトっちも知っておいて損は無いって俺っちは思うのよね」



 冒険者は危険を伴う物だから。ライナーたちは、優斗を積極的に少し危険な事をさせてくるみたいだ。

 だが、それは冒険者を辞めて欲しいという考えというよりも、冒険者という仕事を理解して少しでも生存率を上げるためにしてくれているのだと思う。

 そうじゃないと、昨日のクエストみたいに態々ゴブリンを生け捕りにして殺させる理由なんて無いからだ。



(ライナー達は、俺がしっかりと成長出来るように考えて教えてくれてる)



 優斗が知らなかったスキルの仕組み。スキルの種類。

 冒険者の心得と、モンスターを、生き物を殺すことに対する覚悟。まだ出会って24時間も経過していないが、世話になりっぱなしだ。



(いつか、恩返し出来るのだろうか)



 親孝行もせずに実の親よりも先に死んでしまった優斗だが、恩人に恩返しをし忘れるほど薄情な男になりたくない。



「じゃあ、この3つの採取クエストに行きたい」



「3つも行くのか?ユウトっち。俺っちはどれか一つだけでも………」



「ライナーたちがきっと真剣に考えて選んでくれたクエストだ。それぞれにやる意味があると俺は思う」



「でもよ………」



「いいんじゃないか?」



 渋るライナーに対して手助けしたキースは、優斗の方をしっかりと見ながら言う。



「焦る気持ちもあるのだろうが、早く冒険者として成長したいという気持ちの現れだろう。焦るだけなら俺も止めたが、今の優斗はそうじゃない。俺たちがペース配分を気にしながら、3つとも行けばいいんじゃないか?」



「私もそう思うな。もしユウトくんが生き急いでいても、私たちが止めればいいし。それに、私たちみたいな指導者が着いてるうちにそういう経験も大事になると思うな」



 キースとエレンの手助けによって、渋っていたライナーはようやく頷いた。



「わかった。ただし、無理だと判断したら、俺っちたちが止める。それだけはわかったな?」



「わかってる。無理だけはしない」



 そもそも、優斗は社畜大国の日本出身なのだ。優斗自身はまだ学生だったのでそこまで社畜を経験したこと無いが、一夜漬けやオールはしたことがある。肉体労働を伴うクエストともなるとまた違ってくるのだろうが、そこは学んでいけばいい。



「じゃあ、昨日のクエストの完了報告と、このクエストの受注に行こうぜ」



 ライナーの誘いに乗って一緒に受付嬢の元へと向かう。



 ちなみに件の受付嬢、フレデリカさんの窓口は相変わらず列が出来ており、他の2人の列は少ない。



「ちなみにユウトっちはどの列に並ぶんだ?」



「いや、空いてるところだろ。ライナーは?」



「俺っちも空いてるところだな」



 正直意外だった。ライナーなら美人受付嬢の列に並ぶと思っていたのだが。そう思いライナーの事を見ていると、ライナーは苦笑いを浮かべながら言う。



「見た目的にそう思っちまうのかもしれねぇけどよ。美人に受付してもらいたいっつう気持ちも俺っちはわかるぜ?けどよ………」



 そこまで言うと、ライナーは一拍置いて



「いつ死ぬかもわかんねえのに、色恋沙汰に現を抜かせねぇだろ」



 顔こそ笑っているものの、そう言うライナーの目は真剣だった。



(やっぱり、上級の冒険者なんだな)



 そういう事をしっかりと考えられているからこそ、彼らは上級冒険者になれたのだろう。



「まあ、ユウトっちが誰かを好きになることは止めねえよ」



 そう言うと、ライナーは優斗が昨日受付した受付嬢の列に並んだ。

 優斗もそれに続いて並び、暫く待つと優斗たちの番になった。



「こんにちは。今日はライナーさんと来てくれたんですね」



 この受付嬢の人は、どうやら優斗の事を覚えてくれていたみたいで、顔を見るなり話しかけてくれた。



「はい。昨日はお世話になりました」



「いえいえこちらこそ。無事に教育係の冒険者と合流出来て良かったです」



「ルリナちゃんよ。今日はユウトっちの昨日のクエスト完了報告と、新しいクエストの受注に来たんだ」



「承知しました。では、ギルドカードを提示してください」



 そう言われたので優斗はギルドカードを受付嬢の人………ルリナに渡し、ルリナは受け取ると魔導具の様なものに乗せて魔導具の操作を始めた。



「昨日のクエストは、ライナーさんが受注したゴブリン討伐ですね?」



「そうだな。新人教育用だから、初回クエストってことで」



「わかりました。それにしても、初回からゴブリン討伐だなんて………ユウトさんも、大変でしたでしょうに」



「いえ。ライナーたちの教えが良かったのもあって、冒険者として続ける覚悟が出来ました」



 そんな会話をしながらルリナは魔導具の操作を続ける。



「今回受注するクエストは………」



「こちらのクエストです」



 ルリナに問いかけられ、優斗はライナーから貰っていたクエスト受注用紙を手渡す。



「はい。ヒール草の採取クエストと、ポーション鉱石の採取クエストと、魔力花の採取クエストですね。クエスト受注、完了しました。ギルドカードと、こちらをどうぞ」



「これは………?」



 ルリナに手渡されたのは、ギルドカードと金貨と銀貨だっただった。



「昨日のクエストのクリア報酬です。ゴブリン討伐のクエスト報酬は1万ブカなのですが、本来5匹討伐のところ追加で3匹討伐してくださったので、追加報酬として6千ブカの報酬となります」



 クエストの報酬と聞いて、優斗は報酬があったことを思い出す。そもそも、報酬の受け取りも来たのだからそれはそうだろう。

 異世界に転生して目の前のことに集中して視野が狭くなっていることを反省する。その内詐欺に合いそうだ。



「あ、ありがとうございます。それにしても、ギルドカードから討伐履歴なんて見れるんですね」



「はい。その効果によって、不正がないようにしっかりと見ていますからね」



 不正防止も兼ねての効果。現代日本にもこういうのがあれば良かったなと故郷のことを少し思う。



「じゃあ、クエスト報酬も貰ったし、クエストの受注もしたし、行くか、ユウトっち」



「ああ。今日もよろしく頼む」



 狭くなった視野を広く。自分に目標を作り、クエストに向かうのだった。
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