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一章 異世界への降り立ち。そして序章
鬼さんこちら!手のなる方へ!!
採取系クエスト。それは討伐クエストには劣るものの、冒険者のクエストとしてはかなりオーソドックスな部類のクエストだ。
今回優斗たちが採取するのは〈ヒール草〉と〈ポーション鉱石〉と〈魔力花〉の採取クエストだ。
「先ずは〈ヒール草〉だな。って言っても、この薬草は案外簡単に見つかるんだがな」
ライナーは昨日ゴブリン討伐の為に来た森の入口に辿り着くと、森の手前に生えている草を1本だけ引き抜いた。
「ほら、これが〈ヒール草〉だ。様々な回復薬を作るのに必要な薬草だけど、需要に見合うかのように数も多く、繁殖力も高い」
「………こんなただの草が?」
一見すると雑草にしか見えない。
「ユウトの気持ちもわかるぞ。実際、〈鑑定眼〉のスキル持ち以外に判別するのは難しい。それでも、判別方法はあるがな」
キースはそう言うと、エレンへと視線を向け、それに気付いたエレンは頷くと近くに生えている草を2本引きちぎって持ってきた。
「私の右手にあるのが雑草で、左手にあるのが〈ヒール草〉だよ。1度、見比べてみて」
ということで見比べてみるのだが
「………全然わかんないな」
じっくり観察してもわからなかった。
「この絶妙な違いが大事なのだけど、まず色素が違うの」
「………そうなのか?」
「色素って言うか、どっちも植物だからクロロフィルだね。クロロフィルは体内の有害物質を吸着して排出するデトックス効果や、抗酸化作用、口臭・体臭予防などの効果も期待されてるらしいんだけど、〈ヒール草〉は特にそれが強いんだって」
「普通に葉緑素って言えば良いだろ………っていうか、そんなの見てわかるわけないだろ」
「まあ、今エレンが言ったのだってなんかの研究者が纏めた論文を言ってるだけだけどな」
「ちょっとライナー!今そんなこと言わなくてもいいじゃん!折角格好よく見えるところだったのに………」
そんな難しい言葉を何も見ずに言える時点で優斗的には凄いと思うし、この世界にもクロロフィルだったりデトックス効果とかあるんだなとか思ってしまった。
「じゃあ、他に見分ける方法は無いのか?」
まさかクロロフィルが少し違うから色の見え方も違うよねとか言わないだろうなと考えながらキースに尋ねる。
「流石に色で判別するのは無理だからな。簡単なのは葉の模様だ」
「模様?雑草の模様なんて雑多的なイメージがあるんだが………」
「その通りだが、〈ヒール草〉は違う。葉の裏にマークがついてるんだ」
「へー。そうなんだな。そういえば、見比べるだけで葉の裏とか確認してなかったな………」
優斗はエレンから貰った〈ヒール草〉の葉の裏面を見てみる。
「………いや、音符じゃねえか」
葉の裏には音符模様が描かれていた。いや、描かれていたって表現するのは違うのかもしれないが。
「それが、不思議なマークだ」
「この世界に音楽無いのかよ」
まさかの音符を知らない世界だとは思わなかった。そう言えばギルド内でもBGMとか聞いたことない。異世界の店でBGMが流れるのも変かもしれないが。
「オンガク?が何かはわからないけど、〈ヒール草〉の葉の裏には、全部その模様があるの」
「ユウトっちには、それを的確に見分けられるようになってほしいわけよ。稀に似たようなマークの雑草もあるからな」
流石に音符マークを間違えることは無いだろう。
「そう言えばユウトっち、ここら一帯にある〈ヒール草〉は、全部取り尽くしちゃったらダメだぞ?」
「繁殖できなくなるからか?」
「その通りだ。繁殖出来なくなると、薬も作れなくなるからな」
ライナーの忠告は、異世界系のラノベ作品では稀にある忠告だった。
「了解。そこは気をつけるよ」
そう息巻いて優斗は〈ヒール草〉を探し始める。
「………確かに似たようなマークはあるな」
符尾が下に垂れるのではなく上に上がっていたり、符幹が少し曲がっていたり、符頭が符幹から少し離れていたり。
「これ、絶対別の名前がある草だよな」
数こそ少なかったが、似たようなマークは幾つかあった。
「よし、こんなもんかな」
優斗は自分が回収した分をエレンに見せる。
「これくらい集まったんだが、この中に雑草って入ってるか?」
「少し待っててね………」
エレンが〈鑑定眼〉を発動して優斗の袋の中身を確認する。
「どうだった?」
「………凄いよユウト!雑草が全然入ってない!ちゃんと見分けられてるよ!」
良かった。どうやら、音符マークは間違えていなかったらしい。
「ちなみに別で分けてるこの草たちは?」
と、音符マークが不揃いの草をエレンに渡してみると
「えっとね、この子達は雑草だね。土に戻してあげてね」
との事なので、普通に土に戻してあげる。
「ユウトっち、見分けるの上手いんだな!コツとかあるのか?」
「そうだな。正直、俺も苦手だ。他のクエストでも役立つかもしれないし、俺にも教えて欲しい」
と、優斗の活躍を聞いた2人が寄って来るのだが
「いや、マーク見たらわかっただけだから。コツとか無いし………」
と答えておく。
そして〈ヒール草〉は規定量集まったので、次は〈ポーション鉱石〉を取りに行く。
「ちなみに〈ポーション鉱石〉ってなんだ?」
「〈ポーション鉱石〉は様々なポーションを作る為に必要な物だ。粉末状にして、ポーション作製段階でそれを混ぜると、ポーションになるらしい。〈調合〉のスキルを持っていない見習い薬師の人達にとっては無くてはならない物らしいな」
「ちなみに、〈調合〉のスキル持ちが鉱石を使うと?」
「〈調合〉の効果と、〈ポーション鉱石〉の効果が合わさって効力が上がったり、グレードが上がったり、それか効果が増えたりするらしい」
キースに教えて貰いながら昨日ゴブリンを倒した洞窟に向かう。鉱石という名前の通り、洞窟だったりダンジョンだったりの地下空間に出来やすいみたいだ。
「そう言えばライナー。俺、採掘道具なんて持ってないぞ?」
鉱石という名前からしてツルハシで採掘するのかと思っていたのだが
「いんや?〈ポーション鉱石〉にツルハシはいらないぞ?」
ライナーから帰ってきた返事は、そんなものだった。
「え?本当にいらないのか?」
「いらないの。〈ポーション鉱石〉って、筋力のステータスが25もあれば簡単に抜けちゃうの。抜く時が少し持ちにくいけどな」
今の優斗の筋力のステータスは27。つまり、ギリギリだが鉱石を引き抜けるらしい。
「ちなみに、ユウトくんが勘違いしないように言うと、手で引っこ抜ける鉱石は〈ポーション鉱石〉だけだからね。他の鉱石は手じゃ抜けないよ」
じゃあ今日は運が良かったのだろう。だが、受注の段階でルリナが教えてくれていたのだからその時に気付くべきだった。
「それよりも、洞窟に着いたぜ?早速引き抜いて行こうぜ」
催促するライナーの後ろを、優斗はエレンとキースと一緒に着いていくだけだった。
今回優斗たちが採取するのは〈ヒール草〉と〈ポーション鉱石〉と〈魔力花〉の採取クエストだ。
「先ずは〈ヒール草〉だな。って言っても、この薬草は案外簡単に見つかるんだがな」
ライナーは昨日ゴブリン討伐の為に来た森の入口に辿り着くと、森の手前に生えている草を1本だけ引き抜いた。
「ほら、これが〈ヒール草〉だ。様々な回復薬を作るのに必要な薬草だけど、需要に見合うかのように数も多く、繁殖力も高い」
「………こんなただの草が?」
一見すると雑草にしか見えない。
「ユウトの気持ちもわかるぞ。実際、〈鑑定眼〉のスキル持ち以外に判別するのは難しい。それでも、判別方法はあるがな」
キースはそう言うと、エレンへと視線を向け、それに気付いたエレンは頷くと近くに生えている草を2本引きちぎって持ってきた。
「私の右手にあるのが雑草で、左手にあるのが〈ヒール草〉だよ。1度、見比べてみて」
ということで見比べてみるのだが
「………全然わかんないな」
じっくり観察してもわからなかった。
「この絶妙な違いが大事なのだけど、まず色素が違うの」
「………そうなのか?」
「色素って言うか、どっちも植物だからクロロフィルだね。クロロフィルは体内の有害物質を吸着して排出するデトックス効果や、抗酸化作用、口臭・体臭予防などの効果も期待されてるらしいんだけど、〈ヒール草〉は特にそれが強いんだって」
「普通に葉緑素って言えば良いだろ………っていうか、そんなの見てわかるわけないだろ」
「まあ、今エレンが言ったのだってなんかの研究者が纏めた論文を言ってるだけだけどな」
「ちょっとライナー!今そんなこと言わなくてもいいじゃん!折角格好よく見えるところだったのに………」
そんな難しい言葉を何も見ずに言える時点で優斗的には凄いと思うし、この世界にもクロロフィルだったりデトックス効果とかあるんだなとか思ってしまった。
「じゃあ、他に見分ける方法は無いのか?」
まさかクロロフィルが少し違うから色の見え方も違うよねとか言わないだろうなと考えながらキースに尋ねる。
「流石に色で判別するのは無理だからな。簡単なのは葉の模様だ」
「模様?雑草の模様なんて雑多的なイメージがあるんだが………」
「その通りだが、〈ヒール草〉は違う。葉の裏にマークがついてるんだ」
「へー。そうなんだな。そういえば、見比べるだけで葉の裏とか確認してなかったな………」
優斗はエレンから貰った〈ヒール草〉の葉の裏面を見てみる。
「………いや、音符じゃねえか」
葉の裏には音符模様が描かれていた。いや、描かれていたって表現するのは違うのかもしれないが。
「それが、不思議なマークだ」
「この世界に音楽無いのかよ」
まさかの音符を知らない世界だとは思わなかった。そう言えばギルド内でもBGMとか聞いたことない。異世界の店でBGMが流れるのも変かもしれないが。
「オンガク?が何かはわからないけど、〈ヒール草〉の葉の裏には、全部その模様があるの」
「ユウトっちには、それを的確に見分けられるようになってほしいわけよ。稀に似たようなマークの雑草もあるからな」
流石に音符マークを間違えることは無いだろう。
「そう言えばユウトっち、ここら一帯にある〈ヒール草〉は、全部取り尽くしちゃったらダメだぞ?」
「繁殖できなくなるからか?」
「その通りだ。繁殖出来なくなると、薬も作れなくなるからな」
ライナーの忠告は、異世界系のラノベ作品では稀にある忠告だった。
「了解。そこは気をつけるよ」
そう息巻いて優斗は〈ヒール草〉を探し始める。
「………確かに似たようなマークはあるな」
符尾が下に垂れるのではなく上に上がっていたり、符幹が少し曲がっていたり、符頭が符幹から少し離れていたり。
「これ、絶対別の名前がある草だよな」
数こそ少なかったが、似たようなマークは幾つかあった。
「よし、こんなもんかな」
優斗は自分が回収した分をエレンに見せる。
「これくらい集まったんだが、この中に雑草って入ってるか?」
「少し待っててね………」
エレンが〈鑑定眼〉を発動して優斗の袋の中身を確認する。
「どうだった?」
「………凄いよユウト!雑草が全然入ってない!ちゃんと見分けられてるよ!」
良かった。どうやら、音符マークは間違えていなかったらしい。
「ちなみに別で分けてるこの草たちは?」
と、音符マークが不揃いの草をエレンに渡してみると
「えっとね、この子達は雑草だね。土に戻してあげてね」
との事なので、普通に土に戻してあげる。
「ユウトっち、見分けるの上手いんだな!コツとかあるのか?」
「そうだな。正直、俺も苦手だ。他のクエストでも役立つかもしれないし、俺にも教えて欲しい」
と、優斗の活躍を聞いた2人が寄って来るのだが
「いや、マーク見たらわかっただけだから。コツとか無いし………」
と答えておく。
そして〈ヒール草〉は規定量集まったので、次は〈ポーション鉱石〉を取りに行く。
「ちなみに〈ポーション鉱石〉ってなんだ?」
「〈ポーション鉱石〉は様々なポーションを作る為に必要な物だ。粉末状にして、ポーション作製段階でそれを混ぜると、ポーションになるらしい。〈調合〉のスキルを持っていない見習い薬師の人達にとっては無くてはならない物らしいな」
「ちなみに、〈調合〉のスキル持ちが鉱石を使うと?」
「〈調合〉の効果と、〈ポーション鉱石〉の効果が合わさって効力が上がったり、グレードが上がったり、それか効果が増えたりするらしい」
キースに教えて貰いながら昨日ゴブリンを倒した洞窟に向かう。鉱石という名前の通り、洞窟だったりダンジョンだったりの地下空間に出来やすいみたいだ。
「そう言えばライナー。俺、採掘道具なんて持ってないぞ?」
鉱石という名前からしてツルハシで採掘するのかと思っていたのだが
「いんや?〈ポーション鉱石〉にツルハシはいらないぞ?」
ライナーから帰ってきた返事は、そんなものだった。
「え?本当にいらないのか?」
「いらないの。〈ポーション鉱石〉って、筋力のステータスが25もあれば簡単に抜けちゃうの。抜く時が少し持ちにくいけどな」
今の優斗の筋力のステータスは27。つまり、ギリギリだが鉱石を引き抜けるらしい。
「ちなみに、ユウトくんが勘違いしないように言うと、手で引っこ抜ける鉱石は〈ポーション鉱石〉だけだからね。他の鉱石は手じゃ抜けないよ」
じゃあ今日は運が良かったのだろう。だが、受注の段階でルリナが教えてくれていたのだからその時に気付くべきだった。
「それよりも、洞窟に着いたぜ?早速引き抜いて行こうぜ」
催促するライナーの後ろを、優斗はエレンとキースと一緒に着いていくだけだった。
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