転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス

文字の大きさ
12 / 17
一章 異世界への降り立ち。そして序章

さあ皆様こちらですよ!ほら聞こえるでしょ?物語が進みそうな音が

しおりを挟む
 武器屋に行き、残っていた荷造りの手伝いを終えると、遂に護衛クエストの始まりだ。



 と言っても、護衛クエストは護衛対象と一緒に馬車に乗るだけ。

 業者の人が馬を操縦しており、屋根付きの荷台に鍛冶師のおじさんと優斗たちは座っている。



「………」



 ちなみにこの三点リーダが鍛冶師のおっちゃんだ。エレンとキース曰く、荷造り中も必要最低限の台詞以外は喋らなかったらしい。

 ちなみに武器屋の店主とは兄弟関係で、基本的に鍛冶師のおっちゃんが裏で鍛治をしてるらしい。



「ライナー。隣町までって、馬車で何分くらいなんだ?」



「荷物の運搬もあってゆっくりだからな。まあ3時間もあれば着くだろうな」



 朝の11時頃から馬車で街を出たので、隣町に着くのは14時頃。納品自体は長く見積もっても1時間程度で、そこから同じ速度で帰るとなると街に戻るのは18時頃だろうか。

 少しだけ暇そうにしている優斗を見かねたのか、エレンがある提案をしてきた。



「ユウトくんも暇そうだし、今のうちに護衛クエストで注意することを幾つか教えておくね」



「注意すること?」



「うん。まず絶対にしないといけないのは、感知スキル持ちは警戒を怠らないことかな」



 それは、わかる。感知スキルは奇襲や不意打ち対策の要だ。

 感知スキル持ちが働かなければモンスター襲撃は常に後手に回るだろうから。



「まあ、この警戒も感知スキル持ちが複数人いる場合は交代制だけどね。ずっと警戒するのも難しいから」



「それはそうだろうな。だけどこの3時間の道のりは?」



「俺っちも一応〈敵感知〉は持ってるからエレンが疲れた時は、買われるぜぃ」



 それならエレンも安心か。



「それと、何時でも戦えるようにすること。疲れて動けませんでしたは通じないからね。だから、直ぐに動けるように仮眠をとっていても大丈夫だし、他のことをしていても大丈夫だよ」



 そこまで言うと、エレンはでもと付け加えて



「暇そうに座ってるのだけは絶対にダメ。そんな人を見ても護衛対象の人は本当に緊急時に動いてくれるのか心配になっちゃうから」



 そう言われて、優斗は先程までの自分を思い出す。

 暇そうにし、ライナーに時間を聞いて欠伸をしていた自分を。

 確かに、少し前まで学生だった優斗に仕事中は欠伸をするなというのは難しいのかもしれない。それが何も無い座っている状態なら尚更だ。



 だが、この時間も仕事の時間。ならば気を引き締めるのは当然だ。



「ごめん。ありがとうエレン」



「いいよ。優斗がはやく慣れてくれたら嬉しいし」



 優斗はエレンの言葉を聞いて、外の空気を吸うために顔を少しだけ外に出す。

 今馬車が通っているのは草原だ。優斗が、この世界に降り立った時に立っていた草原を通過している。

 気晴らしも含めて久しぶりにスマホを取り出して地図を見ると、きちんと初日とは逆方向。つまり南に向かって進んでいる。



「っていうか、やっぱりこの地図そんなに大きくは無いんだよな」



 今優斗が拠点にしている街とその周辺の地図は載っているので、優斗が何度かクエストをしに行ったあの森もある程度地図には乗っているが、今向かっている隣町までは地図には載っていない。



「このスマホも、別の町を拠点にするってなると必要無くなるのかな」



 初級の雷属性魔法なら充電できるかもだが、そこまでする価値が今はスマホには無い。

 精々がメモ書きくらいだろうか。



 ということでライナーとキースに武器の手入れを教えて貰ったり、先程購入した〈スキルの秘伝書〉を読みながらなんだなんだ3時間が経過し、隣町に到着した。



「行きは何事も無かったな」



「そうだな。でも油断大敵だぞ。特にユウトにとっては初めての護衛クエストだ。帰りに不意の戦闘になる可能性もあるからな」



 キースの窘める言葉にもわかってると返事をする。

 長いものだと野宿をしたり、途中で寄った街で宿をとったり、目的地に着くとそのまま解散したりするのだが、今回は日帰り往復の為依頼主の用事が済むまで待つ形だ。



 ちなみに依頼主である鍛冶師のおっちゃんは終始無言だった。



 そんなこんなでおっちゃんは戻って来、街に帰ることになった。



「それにしても、今回のクエストは実に平和で………」



 と、優斗が外を眺めながら呟いていると



「ユウトくん。戦闘準備をして」



 エレンからそう声をかけられた。



「………敵襲?」



「うん。気配的にはそんなに強く無さそうかな。空を飛んでし、地中を移動していないからアースモモンガたちじゃない。数はそこそこいるからゴブリンとコボルトだと思うよ」



 それはまた異世界テンプレを地で行くようなモンスターたちだ。

 そう聞くと、優斗は剣を取り出す。ついでに短剣も用意する。投げナイフの要領で攻撃出来るようにだ。



「よし、エレンの〈索敵〉によれば、ゴブリンが10匹とコボルトが9匹だな。数は多いが強さは問題ない。ただユウトっちにとってはかなりきついから俺っち達でカバーしよう」



「数は脅威だからな。ユウトは安心して戦え」



 ということでライナーとキースが先頭でエレンが荷台の屋根の上で弓の準備。優斗は中衛だ。



「来たな。〈デコイ〉!そして〈挑発〉!!」



 キースのスキルによってゴブリンとコボルトの半数がキースに襲いかかる。



「〈狙撃〉!からの〈狙撃〉!」



 だが、キースに辿り着く前に数体はエレンによって狩り取られる。



「俺も!やぁ!」



 少々情けない声だが、〈弱点看破〉と組み合わせてゴブリンを斬り、短剣を投げ飛ばしてコボルトに傷を負わせる。



「バワッ!グルル!!」



 だが優斗が投げた短剣は急所には当たらず、中途半端に肩に当たるだけだった。



「おっと危な!クソっ」



 優斗はコボルトの攻撃を上手く躱しながら剣を喉に突き刺す。これで2匹目。



「ユウトっちも成長してるな!〈ファイアーボール〉!!」



 ライナーはしっかりと優斗の事を褒めながらも火球でゴブリンとコボルトを一斉に焼却処分する。



「ラスト1匹!」



 キースを襲いそうだったコボルトを優斗が倒して、戦闘は終了した。



「エレン!反対側からは何も来てないか?」



「うん!周辺にモンスターの気配は無いよ!」



 エレンの索敵も終了し、優斗たちは再度馬車に戻ると街に向かって進み出す。



「わかった?ユウトくん」



「ん?」



「モンスターの襲撃はいつだって突然だから。だから、油断しちゃダメだからね」



「そうだな。肝に免じておくよ」



 優斗はまだまだ油断が多い。一応、教育係が居なくなるのは、ある程度自力でクエストをこなせるようになるか、レベルが一定以上になるか、だ。

 ライナーたちが定めたレベルは15。今優斗がギルドカードを見ると、前回のアースモモンガと今回のゴブリンとコボルトでレベルが上がり11になっていた。



「独り立ちの日も、近いのかもな」



 まだ異世界に来て1週間も経過していないが、少し寂しさを覚えてきた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...