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第25話
しおりを挟む宿を見つけた私たちは、ひとまずアシュート様に風呂に入ってもらった。
その間に私はアシュート様が着られる服を用意して、宿へと戻った。
アシュート様に着替えを渡すと、彼はかなり身なりが整っていた。
この宿にてヒゲと髪も整えてもらい、私が見慣れたアシュート様がそこにはいた。
あとはもう少し筋肉がつけば、元のアシュート様となる。
「ベサは元気にしているか?」
「……はい。あなたのことを心配していました。今も、アシュート様のために兵士を動かしています」
「兵士を? どういうことだ?」
「……ある場所で発生した魔物を、王子は無視するとして決断しました。その近くの地域が危険にさらされるため、ベサが彼らを救うために兵士を出しているんです」
「大丈夫、なのか?」
「私とベサは協力関係です。そして、私が聖女の力の一部をベサに貸していますから、大丈夫です」
ほっとしたようにアシュート様は息を吐いた。
「……そうか。キミの力を信じてもいいんだな?」
「はい、信じてください」
私が胸を張ると、アシュート様は微笑んだ。
「分かった。……とりあえず俺はすこし外を歩いて、少しでも体力を戻そうと思う。魔法はキミから離れても大丈夫か?」
「はい、そうですが……もう少しお傍にいさせてもらってもよろしいですか?」
「……ああ、構わないが」
彼は首を傾げていた。
……私は昔から憧れていたアシュート様と少しでも一緒にいたかったからだ。
アシュート様とともに街を歩いていく。空はすっかり暗くなっていた。
街を歩いていると、アシュート様が顔を顰めた。それは、街の隅の方にいた子どもたちを見てだ。
「……確かに、国の状況が厳しいのは良く分かるな」
「そう、ですね」
ちらと見れば、物乞いをしている子どもたちがたくさんいた。
「……俺がここに投獄されるときは、ここまで酷くなかった。税金が厳しいのだろうな」
「はい……貴族たちは自分の私腹を肥やすために、民からむさぼっています。市民たちによる反乱も決して遠くないときに起きるでしょう」
「……だろうな。その市民たちの決意を、無駄にしてはいけないな」
「そう……ですね」
……アシュート様は、自分のためではなく誰かのためにと行動できる人だ。
そう考えると、私って小さい人間だなって思ってしまう。
だって、私はケルズ王子を王座から引きずり下ろすためだけに、行動している。
すべて終わったら――私も自分の行動を見直さないとね。
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