魔王に成り上がったスライム ~子育てしながら気ままに異世界を旅する~

メイ(旧名:Mei)

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街を回る ー2

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「ふ~、食った食った。こんなうまい肉を食ったのは初めてだな……」
 俺達はオークの肉の串焼きを堪能した後、まず物品を確保すべくいい店がないか探していた。
「また食べたいなの!」
 レヴィアもオークの肉の串焼きがお気に召したようだ。
「ああ、また食べような」
 今度は俺がオークの肉の串焼きでも作ってやろう。これからの食事はこればかりになってしまうかもしれないな。気をつけなければ。
 俺達は暫く人通りの多い道を歩く。う~ん。あまりいい店が見つからないな……。これ以上暗くなりすぎても危ないし……。今日は宿をとって明日探すとしよう。
「レヴィア、宿をとろうと思うから今日はこれぐらいにしてまた明日、ここに来よう」
「分かったなのー!」
 レヴィアは元気に返事をし、俺の後に続く。
「さてと……。いい宿はどこかな~」
 俺はそんなことをぼやきながら周りを見渡し、いい宿はないかと探す。だが、どれがいい宿でどれが悪い宿なのか皆目見当がつかない。こういうときは情報収集だな。
 俺はそう考えてある施設に向かう。しかし、突如宿を探している俺達の前に全身黒い装束に身を包んだ男達が現れた。男達は顔をフードで覆っておりよく見えない。俺達はこの時人通りの少ない道を選びながら進んでいた。当然ながら周囲に人々の姿は見当たらない。仮にこの五人を区別するとしたら、ひょろい体格の男を男A、低身長の男を男B、がたいのいい男を男C、高身長の男を男D、普通の体格の男を男Eというところだろうか。
 俺がそんな呑気なことを考えていると、がたいのいい男Cが俺に対して言葉を発する。
「…………おい。お前の後ろにいる竜人族の少女をこちらに渡せ」
「……何故レヴィアの事を竜人族だと知っている?」
「……お前には関係のない事だ」
 多分推測するに、この男達は誰かに依頼されてレヴィアを拐いに来たのだろう。その誰かさえ分かればそいつを泣いてのたうち回るくらい殴ってやりたいのだが……。現状、その黒幕が誰だか分からない。
 俺が難しい顔をして考えているところを何を勘違いしたのかひょろい体格をした男Aが、
「おいおい、どうした? まさか怯えちまったのか? まあ、そこの少女をこちらに引き渡せばお前に用は無い。……だが、ここで我らの姿を見てしまった以上無傷で帰す訳にもいかねえんだよ。お前には少なくとも我らに半殺しにされてもらわないと困るわけよ」
そんな事を言ってくる。俺は心の中で思わず吹き出してしまう。俺からしたらまだひよっこ同然のこいつらが俺に勝てるはずがない。確かにそこら辺の奴よりは断然強いのだが……それでも全然俺には届かない。何せ俺は魔王だ。最近、レヴィアの事ばかりを考えていたせいで忘れかけそうだったが改めてその事を俺自身に自覚させる。こいつらは今レヴィアを歯牙にかけようとしているのだ。俺もそれをおいそれと黙って見過ごす訳がない。ニールの胸の内に激しい怒りが込み上げてきている。
「…………ちっ、仕方ねえ。少々面倒だがあの男を始末するぞ」
 ひょろい体格をした男Aがそう言うと他の4人が俺とレヴィアを取り囲むように陣取った。
「…………大人しくその少女を渡せば済んだものを」
 高身長の男Dがそう吐き捨てる。
「生憎と俺にそんな趣味は無いんでね……。レヴィアに手を出そうとした事を後悔するがいい!!」
 俺のその言葉を皮切りに五人の男達は一斉に腰の短剣を抜き、俺に向かって攻撃を仕掛ける。俺はレヴィアに危害が及ばないように"結界ヴァント"をレヴィアの周囲を取り囲むように展開させた。これでレヴィアには何の手出しも出来ない。俺は不安そうな顔をするレヴィアに小さくここで待ってろ、直ぐに片付けるから、と呟く。
 俺は五人の男達を周囲に風を発生させる"旋風ヴィルベルヴィントという中級魔法を使い吹っ飛ばす。五人の男達は狭い路地だということもあり、壁に激突する。5人の男達のうち、4人は呻き声を上げることもなく気絶したが、がたいのいい男Cが呻き声をあげながらなんとか立ち上がっていた。
「……ぐっ……! お、お前は一体何者だ……!?」
「……さあな。お前には知る必要の無いことだ」
 俺ががたいのいい男Cに対して冗談めかした口調でそう言うと、
「……くっくっくっくっく……」
 がたいのいい男Cは、何が可笑しいのか急に笑いだした。
「……何が可笑しい?」
「……お前の顔が絶望に変わる瞬間を想像すると……実に愉快だ」
がたいのいい男Cはそんな事を言うが……。もう勝ち目は残っていないはずだ。なのにこの余裕な顔……何かあるとしか思えない。俺のこの考えは次の瞬間、正しいことが証明された。
「我が内に秘めたる力よ……この場にいる四人を生け贄とし、その力を解放せよ……。"奪食バイト"」
 がたいのいい男Cがそう唱えると直後、その場に気絶していた四人が光の粒子となり、がたいのいい男Cの身体に取り込まれていく。やがて、全て吸収し終えるとがたいのいい男Cのその身に纏う覇気が先程までとは桁違いになっていた。
「くっくっく……。お前の顔を絶望の色に塗りつぶしてやるよぉぉ!!!」
 がたいのいい男Cはそう言いながら、ニールに目にも止まらぬスピードで襲いかかったーー。



 


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