魔王に成り上がったスライム ~子育てしながら気ままに異世界を旅する~

メイ(旧名:Mei)

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街を回る ー3

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「"異質な拳撃エキストラストライク"」
 
 がたいのいい男Cの拳がニールの目の前に迫っていた。ニールはそれを結界ヴァントを展開することで防ぐ。

「な…………!?」
 
 がたいのいい男Cは自分の魔法を使用した拳撃をあっさり読まれたあげく、いとも簡単に防がれた事に驚愕を隠せない。

「……実体化した幻影イリュージョンか……。実につまらん攻撃だな」
 
 そう。異質な拳撃は実体化した幻影イリュージョンを操る魔法だ。がたいのいい男Cはニールに向かって正面から拳撃を繰り出すと共に背後から実体化した幻影イリュージョンで攻撃していたのだ。ニールはそれに気づき、周囲に結界ヴァントを展開したのだ。

「ぐっ……! これなら……! "まとわりつく幻覚クリージングアリュシナシオン"!!」
 
 まとわりつく幻覚クリージングアリュシナシオンはその名の通り相手に幻覚を見せる魔法だ。今、がたいのいい男Cはニールに何万人もの化け物に襲われる幻覚を見せているはずだった。だが、相手が悪かった。

「……"重力弾グラビティバレット"」
 
 ニールがそう唱えると、ニールの回りに重力を圧縮した紺色の球が発生し、がたいのいい男Cを目掛けて飛んでいく。その速度はかなり遅く、がたいのいい男Cは易々とそれをかわす。

「くっくっく……。多少の自我が保てているとはな……これは予想外だった。だが、その程度じゃ俺に勝つことなど到底不可能。これで終わらせてやるよ」
 
 がたいのいい男Cがニールを軽く鼻で笑うとニールを始末するため、魔法の詠唱を開始しようとした、その時。

「がっ!?!?」
 
 突然身体が重くなり始めたかと思うと、がたいのいい男Cは突如苦痛に顔を歪めることになる。

「ぐううぅぅぅ……!!」
 
 先程俺が発動した"重力弾グラビティバレット"。本来は、超スピードで相手に飛ばす技なのだが、それを少し応用してがたいのいい男Cの回りに飛ばして浮遊させてそれらを起点に重力を発生させる仕組みに変化させた。そうすることで普通に重力操作グラビティコントロールを発生させるよりも何百倍もの重力ががたいのいい男Cにかかる。

「がはっ……!?」
 
 がたいのいい男Cは耐えきれなくなったのか、口から血反吐を吐いた。歯茎からも血が吹き出しており必死に抗っている様子が窺えた。

「うぐぅ……!! き、貴様……!! あがあああぁぁぁ!!」

 暫くすると、がたいのいい男Cは重力に耐えられなくなったのか悲鳴をあげながら押し潰されていく。
 
 やがて、重力弾グラビティバレットが収まると、そこには身体中から血を流したがたいのいい男Cが横たわっていた。腕も足も何もかもが潰れ、あらぬ方向に曲がっていた。

「"分解シザイラス"」
 
 俺がそう唱えると、がたいのいい男Cの身体が光の粒子となって消え去っていった。レヴィアにあの気持ち悪い姿を長い時間見せる訳にはいかないからな。俺もあんなの見たくないし。

「レヴィア、大丈夫だったか?」
 
 俺は、レヴィアの元に行き 結界ヴァントを解きながらそう問いかける。

「うん! 大丈夫なの! ありがとうなの、パパ!」
 
 レヴィアはそう言うと、勢いよく俺に抱きついてくる。おれはそれをしっかりと受け止め、レヴィアの頭を優しく撫でる。

「ふにゃ~」
 
 レヴィアも気の抜けたような声をだし、満更でもない様子で目を細めながら身を任せている。やっぱりいいよな~、これ。もう癖になりそうだ……。

 この場にもう癖になってるだろ! 突っ込む人はいなかった。そもそも心の中で呟いたことなので、いたとしても誰も突っ込めないだろうが。

「レヴィア、そろそろ宿に向かうぞ」
 
 俺がそう言うとレヴィアは名残惜しそうな顔をしていたが、宿に着いたらまたしてやるから、と言うとパアアアと顔を輝かせ、はやくやどにむかうの! と言いながら俺の後ろに着いてくる。

 ……それにしても、レヴィアを拐ってくるよう依頼したのは誰なのか……。ニールはそんなことを考えながら宿を探しにある場所へと向かった。この後、レヴィアを巡った闘いが更に待ち受けているとも知らずに……。
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みんなの感想(1件)

銀しゃも
2020.02.28 銀しゃも
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