【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第四章 王宮炎上

第13話 アスターレン王宮炎上(4)

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 魔法により崩壊した前庭は、避難した王族を囲むように大きな人溜まりが出来る。

 宮廷魔術師達が噴水や池の水を必死に掛けるが、まさに焼け石に水――ほぼ効果は見られない。豪華な宮殿が白炎により灰になるまで、もう打つ手はないと思われた。

「リアは? 彼女は……」

 ライオットの疑問に答えたのは、彼女の着替えを担当させた侍女だった。桃色のヒールが高い靴をしっかり抱えたまま、乱れた息を整えて報告する。

「…っ、リア様は……大広間のドアまで、駆けつけ…ましたが……現れた、黒衣の……魔物に、っ連れ去られてしまい……」

「なんだと? 扉の騎士達は!?」

 大扉を守る騎士が2人、常駐している筈だ。彼らは近衛騎士団に所属する、この国でも指折りの騎士達だった。彼らがいながら攫われたというのか。

 指摘したライオットに、王太子が声をかける。

「魔物がでたのか?」

「っ、はい!」

 義弟の頷きに、王太子が眉を顰めた。

 現れた魔物が王宮に火を放ち、その場に居合わせた美女を攫った――繋がりが読めない状況だが、現在把握できているのはこの程度だ。





「さて、諸君。お揃いかな? ならば、終焉の幕を開けようか」

 美声だ。これが舞台の上に響いたなら、拍手喝采の的だろう。しかし告げられた物騒な内容と、現れた魔性の姿に誰もが息を呑んだ。

 燃え盛る白い炎を背に負う青年は、艶やかな黒髪を風に揺らす。火事の上昇気流に煽られて広がる黒髪は腰まで届くほど長く、陰になった顔は白く整っていた。

 俳優のような青年の瞳は炎の影になり、濃黒に見える。黒衣を纏っていることもあり、侍女が『魔物』と称したのも頷ける様相だった。

 なにより、彼が人外だと示す最大のパーツは――背を飾る大きな翼だ。魔物がもつ蝙蝠や虫のような羽ではなく、鳥の翼そのものだった。

 漆黒の翼を広げているが、飛ぶことに使うわけではなさそうだ。羽ばたく所作はなかった。

 今まで表に出さなかった翼は、特別な意味がある。長く生きる魔物や精霊ならば知っているだろうが、人間はわずか100年前の歴史すら正確に伝えられない種族だ。

 当然、彼らの中に『背に翼持つ者』に関する正確な知識を持つ者はいなかった。
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