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第二十章 愛し愛される資格
第88話 愚か者は裏切り躍る(2)
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にっこり笑った女性は裾の長いロングドレスを捌いて、奪い取った球体を抱きしめる。両手から放たれる癒しの緑が絡みつき、蔦は球体を覆いつくした。ぴしっと乾いた音が響いたあと、球体は割れて砕ける。
破片を浴びないよう自らに『白天の盾』を施したルリアージェが、蒼い瞳を輝かせてライラに抱き着いた。少女の姿と違い、抱き合うと視線が近い。本体である子供の身体を脱ぎ捨てたライラは、精霊としてこの場にいた。
どんな場所でも入り込める精霊の特性を利用し、ルリアージェの居場所を探しあてたのだ。本体は氷の棺に納められ、滅多なものの侵入を許さない死神の黒城に保管された。これ以上安全な場所はなかなかない。そのため本体を傷つけられる心配なしに、ライラは動き回っていた。
「よくわかったわね、リア」
「間違うはずがない」
言い切ったルリアージェを引き寄せたライラの周りに、緑色の蔦が結界を作り出す。触れる敵を排除し、魔力尽きるまで侵入を防ぐ鉄壁の守りだった。魔性殺しのアズライルの刃であっても苦戦するほど、堅固な守りの中で、ライラはマリニスへ微笑んだ。
「死神の眷属ではなくて、リアの眷属よ。失礼な火の魔王さん」
ライラが言い終わった瞬間、リオネルが白炎でマリニスを覆い隠した。火の魔王マリニスに扱えない最上級の白炎が退路を断つ。手札を奪われ囚われたマリニスに、容赦なくパウリーネの氷球が襲い掛かる。咄嗟に結界で防ぐが、こらえきれずに膝をつく。
火の魔王マリニスの欠点は、冷気だ。通常の冷気ではなく、氷静のパウリーネが操る最上級魔術である『凍獄』がマリニスを覆った。炎のような魔力が萎んでいく。身動きできなくて、息苦しさにマリニスの顔が歪んだ。真っ赤な髪が顔を覆う。
「…ジフィー、ルっ……、取引、を……ないか?」
「うん? 何を」
圧倒的に有利な立場のジルに対し、どんな取引を持ち掛けるのか。ラーゼンの声に首をかしげて続きを待った。
「……あの、女の命、と……っきか、え」
「何か仕掛けたか?! ライラ!!」
ルリアージェの命と引き換えと聞いた時点で、ライラの名を呼ぶ。反応したライラの手を、ルリアージェが振り払った。本人の意思でないのは、彼女の表情でわかる。身体が操られる不気味な感覚に、美女は叫んだ。
「私に近づくな。何をするか、わからない!」
「リアを放り出せるはずないでしょ!」
たとえ長い己の生命に終止符を打つことになっても、魔力や霊力が吹き荒れる外へ放り出すなんて出来ない。この結界は敵を排除するまで解かないと強く願いながら、ライラは蔦に命じた。この命が尽きても、魔力が残る限り結界を解かぬように……と。
破片を浴びないよう自らに『白天の盾』を施したルリアージェが、蒼い瞳を輝かせてライラに抱き着いた。少女の姿と違い、抱き合うと視線が近い。本体である子供の身体を脱ぎ捨てたライラは、精霊としてこの場にいた。
どんな場所でも入り込める精霊の特性を利用し、ルリアージェの居場所を探しあてたのだ。本体は氷の棺に納められ、滅多なものの侵入を許さない死神の黒城に保管された。これ以上安全な場所はなかなかない。そのため本体を傷つけられる心配なしに、ライラは動き回っていた。
「よくわかったわね、リア」
「間違うはずがない」
言い切ったルリアージェを引き寄せたライラの周りに、緑色の蔦が結界を作り出す。触れる敵を排除し、魔力尽きるまで侵入を防ぐ鉄壁の守りだった。魔性殺しのアズライルの刃であっても苦戦するほど、堅固な守りの中で、ライラはマリニスへ微笑んだ。
「死神の眷属ではなくて、リアの眷属よ。失礼な火の魔王さん」
ライラが言い終わった瞬間、リオネルが白炎でマリニスを覆い隠した。火の魔王マリニスに扱えない最上級の白炎が退路を断つ。手札を奪われ囚われたマリニスに、容赦なくパウリーネの氷球が襲い掛かる。咄嗟に結界で防ぐが、こらえきれずに膝をつく。
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「…ジフィー、ルっ……、取引、を……ないか?」
「うん? 何を」
圧倒的に有利な立場のジルに対し、どんな取引を持ち掛けるのか。ラーゼンの声に首をかしげて続きを待った。
「……あの、女の命、と……っきか、え」
「何か仕掛けたか?! ライラ!!」
ルリアージェの命と引き換えと聞いた時点で、ライラの名を呼ぶ。反応したライラの手を、ルリアージェが振り払った。本人の意思でないのは、彼女の表情でわかる。身体が操られる不気味な感覚に、美女は叫んだ。
「私に近づくな。何をするか、わからない!」
「リアを放り出せるはずないでしょ!」
たとえ長い己の生命に終止符を打つことになっても、魔力や霊力が吹き荒れる外へ放り出すなんて出来ない。この結界は敵を排除するまで解かないと強く願いながら、ライラは蔦に命じた。この命が尽きても、魔力が残る限り結界を解かぬように……と。
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