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第二十章 愛し愛される資格
第88話 愚か者は裏切り躍る(3)
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ルリアージェの手が震えながら持ち上がり、己の首にかかった。指先が赤くなるほど力を込めて自らを絞める。人は自分の首を絞めても意識がなくなった時点で手が緩むものだ。しかし操られた身体は、確実に死ぬまで絞め続けるだろう。
最愛の存在を失ってしまう――ジルの表情が歪んだ。
「ちっ……わかった。お前を見逃せばいいのか?」
「……リニ、スを」
「ダメだ! ラーゼン!!」
もっとも苦手とする冷気に苦しめられながら、マリニスが白炎の中で叫ぶ。一瞬宙を睨んだジルがひらりと手を振った。
主の合図で、パウリーネは氷を水に変えて流す。リオネルも白炎を消し去った。補助に徹していたリシュアも魔力を散らせる。
攻撃の解除を命じたジルの意思を汲んで、誰もが引き下がった。悔しそうな顔をする者はなく、不安そうにライラの緑の蔦を見つめる。解けていく蔦の中から、ライラに支えられたルリアージェの銀髪が覗いた。
咳き込んでいるが、もう自分の首を絞める手は自由になっている。急いでルリアージェの隣に転移したジルが、心配そうに眉根を寄せた。首についた指の跡を治癒して抱きしめる。奪われたライラが肩を竦めた。
「両方とも助けてやる。貸し1だぞ、ラーゼン」
忌々しいが、彼らが互いを庇う姿にルリアージェを想う自分が重なった。左手で触れてアズライルを消すと、首の傷を撫でて治したラーゼンが立ち上がる。
「姫君を苦しめたことは詫びよう。この借りはいつでも返す」
ラーゼンがルリアージェに寄り添うジルに頭を下げた。ぶわりと大きな風が巻き起こり、風の渓谷の気流が乱れる。
「風の魔王ともあろうお方が、なんてざまだ」
吐き捨てるように声を上げたのは、暴風のエアリデだった。彼の手に握られた白い粉に、ジルが口元を緩める。挑発するように、3人に合図を送った。
「愚か者と弱い奴ほどよく吠える」
最初に動いたのは好戦的なリオネルだ。青白い炎を風の螺旋に乗せて、エアリデへ送り込む。叩きつける暴風で防ごうとしたエアリデの反応は早かったが、風を操る能力ではリシュアの方が上手だった。
「この程度の実力でケンカを売ったのですか」
さらに挑発する2人の後ろで、パウリーネが眉をひそめた。
「やだ、私の出番がなくなっちゃう」
鋭く尖らせた氷の矢を大量に作り出し、エアリデの周囲に散らせる。どこからでも狙えるよう、数百本の矢を一瞬で作りだした。逃げ場を奪った死神の眷属達が包囲網を狭めていく。リオネルの口角が持ち上がった。
「どうやって死にたいですか?」
最愛の存在を失ってしまう――ジルの表情が歪んだ。
「ちっ……わかった。お前を見逃せばいいのか?」
「……リニ、スを」
「ダメだ! ラーゼン!!」
もっとも苦手とする冷気に苦しめられながら、マリニスが白炎の中で叫ぶ。一瞬宙を睨んだジルがひらりと手を振った。
主の合図で、パウリーネは氷を水に変えて流す。リオネルも白炎を消し去った。補助に徹していたリシュアも魔力を散らせる。
攻撃の解除を命じたジルの意思を汲んで、誰もが引き下がった。悔しそうな顔をする者はなく、不安そうにライラの緑の蔦を見つめる。解けていく蔦の中から、ライラに支えられたルリアージェの銀髪が覗いた。
咳き込んでいるが、もう自分の首を絞める手は自由になっている。急いでルリアージェの隣に転移したジルが、心配そうに眉根を寄せた。首についた指の跡を治癒して抱きしめる。奪われたライラが肩を竦めた。
「両方とも助けてやる。貸し1だぞ、ラーゼン」
忌々しいが、彼らが互いを庇う姿にルリアージェを想う自分が重なった。左手で触れてアズライルを消すと、首の傷を撫でて治したラーゼンが立ち上がる。
「姫君を苦しめたことは詫びよう。この借りはいつでも返す」
ラーゼンがルリアージェに寄り添うジルに頭を下げた。ぶわりと大きな風が巻き起こり、風の渓谷の気流が乱れる。
「風の魔王ともあろうお方が、なんてざまだ」
吐き捨てるように声を上げたのは、暴風のエアリデだった。彼の手に握られた白い粉に、ジルが口元を緩める。挑発するように、3人に合図を送った。
「愚か者と弱い奴ほどよく吠える」
最初に動いたのは好戦的なリオネルだ。青白い炎を風の螺旋に乗せて、エアリデへ送り込む。叩きつける暴風で防ごうとしたエアリデの反応は早かったが、風を操る能力ではリシュアの方が上手だった。
「この程度の実力でケンカを売ったのですか」
さらに挑発する2人の後ろで、パウリーネが眉をひそめた。
「やだ、私の出番がなくなっちゃう」
鋭く尖らせた氷の矢を大量に作り出し、エアリデの周囲に散らせる。どこからでも狙えるよう、数百本の矢を一瞬で作りだした。逃げ場を奪った死神の眷属達が包囲網を狭めていく。リオネルの口角が持ち上がった。
「どうやって死にたいですか?」
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