【完結】帝国滅亡の『大災厄』、飼い始めました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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第二十二章 世界の色が変わる瞬間

第102話 個性という暴走(1)

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 雪で作られた大きな城は見事だった。魔術で灯された水晶が色とりどりに雪像を彩り、見応えのある光景に ルリアージェは満足して黒い城へ戻る。

「もう少ししたらサークレラの祭りがあって、次の夏はタイカの海祭りか」

 有名な祭りをほぼ網羅すると指折り数えるジルへ、ルリアージェは頷いた。

 ジルの居城は、気づけば帰る場所になっている。リオネルやリシュア、パウリーネはもちろん、ライラにもそう認識されていた。いつの間にか個人の部屋が増やされ、城はひと回り大きくなっている。それでも漆黒の空間が狭く感じないのは、外の空間ごと広げたためだ。

「あとで、みんなの部屋を見せてもらえるか?」

 それぞれ個性的な魔性ばかりなので、きっと部屋も個性的だろう。目を輝かせるルリアージェの願いを、彼らは快諾した。断る理由がない。

「夏祭りが終わったら、部屋巡りね。ドラゴンはその後かしら」

 くすくす笑うライラが呟けば、ジルが一瞬考え込んだ。すぐに何もなかった風を装うが、気づいたルリアージェが答えを待つ。無言の圧力に負けたジルは、苦笑いして白状した。

「いや、部屋は作ったが何も入ってない。寝る必要もないから、物置と同じだ」

「あたくしは植物をたくさん植えたわ」

 少女の私室が植物園という暴露に、大地の精霊王の娘だからとルリアージェは納得する。ジルが物置扱いというのも、不思議と似合う気がした。鉢植えを置いたのではなく、本当に地面を作って床から生やしたかも知れない。それはそれで興味があった。

「3人はどうだ?」

 話を向けると、リシュアは笑顔で「サークレラで暮らしていた部屋をそっくり移設しました」と言う。移設と言うからには、文字通り持ってきたのだろう。国王の私室を奪われたサークレラ王城は、どうなったのか。聞きたいような、聞いてはいけないような。複雑な心持ちになる。

「私は普通ですわよ。部屋を全て柔らかなベッドで埋め尽くしてますわ」

 それは普通じゃない。パウリーネの常識のなさがバレた瞬間だった。まあ、休む部屋なら居心地の良さだけ追求すればいいので、あながち見当違いでもない。

「私も別段変わったものは無いと思いますよ」

 笑っているのに黒い感情が滲むリオネルに、なぜか部屋を見たらいけない気にさせられた。

「この際ですから、家具を入れて人族のような部屋を作ってみましょうか。リア様にお見せするのですから、競っても面白いでしょう」

 リシュアの提案に、ジルが手を叩いた。

「それだ! 夏祭りが終わるまでに死蔵品の家具を並べて部屋を作るぞ!」

「居心地のいい部屋を作ればいいのね」

 人族の部屋にある物を思い浮かべながら暴走する彼らを、ルリアージェは微笑んで見守った。他人に迷惑をかけずに遊ぶなら、多少非常識でも構わないだろう、と。
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