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210.番と伴侶の違いってなんだろう
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並んでご飯を食べて、もう1日だけゆっくりすることになった。というのも、お外が雨だったんだ。部屋の中に巻いてあった絨毯を敷いて、僕はぺたりと座る。
「そういや、オレが転がり込んだ日も雨だったな」
外の様子を眺める僕を温めるみたいに抱っこして、セティが雨に濡れた景色に目をやる。背中が温かい。セティが来たのはもっと雨が激しい日だった。誰もいなくて、鎖が届くぎりぎりのところで冷たい床に寝転んでいた。黒い影が踊って、すごく怖かったのを覚えてる。
「うん、僕を見て嫌な顔をしないからびっくりした」
叩かれる、声を出したら怒られる。そう怯える僕を抱き上げて、鎖を外してくれた。毛布を渡して、食べ物も差し出す。だって僕には他に何もなかったから。今は両手に抱えきれないほど、きらきらを貰った。あの頃の僕は自分と冷たい食事、少し硬い毛布しかない。それを全部差し出したんだ。
近くにいて欲しかった。僕を嫌わない人の手は温かくて、ずっと一緒にいたいと願った。膝の上に乗ったのも初めてだし、外へ行くとき抱っこされたのも……。
「オレの神殿なのに立ち寄らなかったからな。気づくのが遅れて悪かった」
「僕はセティを待ってた。だからいいの」
ちゃんと見つけて抱っこして、僕の欲しい物をくれた。一緒に行ってもいいと許して、こうして大切にされてる。僕はすごく幸せだし、昔の我慢はこのためだったんだと思う。向きを変えて正面からセティに抱き着いた。当たり前みたいに背中を抱き締める腕、セティ以外の誰もくれなかったんだ。
「絶対に離さないから、安心しろ」
「僕はセティの物だよ」
今なら絵本のお姫様より幸せだから。僕は胸いっぱいにセティの匂いを吸い込んだ。出会った頃は届かなかった手も、今は届くんだ。セティの背中を全部抱っこ出来るようになった。だから、もう食べていいのに……。
「オレは贄だからイシスを食べるわけじゃないぞ」
「じゃあ、どうして?」
贄は神様のご飯で、タイフォン神様であるセティは僕を食べるんでしょ? 首を傾げて答えを待つと、真っ赤な顔でセティが説明してくれた。
神様の世話をする人が贄に選ばれたのが最初で、いつからか食べるという話になったみたい。贄の子を気に入った神様が連れ歩いて、人間から隠しちゃうから。いなくなった贄のことを食べられたと勘違いしたんだね。
「ここからが重要だが、イシスは贄じゃなくて伴侶だぞ」
「はんりょ……」
お父さんとお母さんは番で、僕は伴侶……違いはなんだろう。お父さんが教えてくれた番は、ずっと死ぬまで一緒にいるんだ。羨ましい。僕は伴侶だから、いつまで一緒にいられるのかな。
「伴侶は死ぬまでじゃなく、死んでも一緒だ」
死んだ後も一緒にいられる? じゃあ、僕はセティとずっと一緒にいてもいいの? 目を輝かせて顔を見ると、照れた顔で頷いた。
「まあ、オレは神だから死なないし……その点はイシスも同じなんだが」
ぶつぶつと小声で付け加えたみたいだけど、僕は嬉しくて聞いていなかった。また抱き着くと、笑いながら後ろに転がる。絨毯を敷いた冷たい地面に転がりながら、キスをした。
「晴れたら出掛けよう」
頷いたけど、僕は晴れなくてもいいのに……と思ってしまった。このまま抱き合ってるの、すごく嬉しくて楽しくて止めたくないから。
「そういや、オレが転がり込んだ日も雨だったな」
外の様子を眺める僕を温めるみたいに抱っこして、セティが雨に濡れた景色に目をやる。背中が温かい。セティが来たのはもっと雨が激しい日だった。誰もいなくて、鎖が届くぎりぎりのところで冷たい床に寝転んでいた。黒い影が踊って、すごく怖かったのを覚えてる。
「うん、僕を見て嫌な顔をしないからびっくりした」
叩かれる、声を出したら怒られる。そう怯える僕を抱き上げて、鎖を外してくれた。毛布を渡して、食べ物も差し出す。だって僕には他に何もなかったから。今は両手に抱えきれないほど、きらきらを貰った。あの頃の僕は自分と冷たい食事、少し硬い毛布しかない。それを全部差し出したんだ。
近くにいて欲しかった。僕を嫌わない人の手は温かくて、ずっと一緒にいたいと願った。膝の上に乗ったのも初めてだし、外へ行くとき抱っこされたのも……。
「オレの神殿なのに立ち寄らなかったからな。気づくのが遅れて悪かった」
「僕はセティを待ってた。だからいいの」
ちゃんと見つけて抱っこして、僕の欲しい物をくれた。一緒に行ってもいいと許して、こうして大切にされてる。僕はすごく幸せだし、昔の我慢はこのためだったんだと思う。向きを変えて正面からセティに抱き着いた。当たり前みたいに背中を抱き締める腕、セティ以外の誰もくれなかったんだ。
「絶対に離さないから、安心しろ」
「僕はセティの物だよ」
今なら絵本のお姫様より幸せだから。僕は胸いっぱいにセティの匂いを吸い込んだ。出会った頃は届かなかった手も、今は届くんだ。セティの背中を全部抱っこ出来るようになった。だから、もう食べていいのに……。
「オレは贄だからイシスを食べるわけじゃないぞ」
「じゃあ、どうして?」
贄は神様のご飯で、タイフォン神様であるセティは僕を食べるんでしょ? 首を傾げて答えを待つと、真っ赤な顔でセティが説明してくれた。
神様の世話をする人が贄に選ばれたのが最初で、いつからか食べるという話になったみたい。贄の子を気に入った神様が連れ歩いて、人間から隠しちゃうから。いなくなった贄のことを食べられたと勘違いしたんだね。
「ここからが重要だが、イシスは贄じゃなくて伴侶だぞ」
「はんりょ……」
お父さんとお母さんは番で、僕は伴侶……違いはなんだろう。お父さんが教えてくれた番は、ずっと死ぬまで一緒にいるんだ。羨ましい。僕は伴侶だから、いつまで一緒にいられるのかな。
「伴侶は死ぬまでじゃなく、死んでも一緒だ」
死んだ後も一緒にいられる? じゃあ、僕はセティとずっと一緒にいてもいいの? 目を輝かせて顔を見ると、照れた顔で頷いた。
「まあ、オレは神だから死なないし……その点はイシスも同じなんだが」
ぶつぶつと小声で付け加えたみたいだけど、僕は嬉しくて聞いていなかった。また抱き着くと、笑いながら後ろに転がる。絨毯を敷いた冷たい地面に転がりながら、キスをした。
「晴れたら出掛けよう」
頷いたけど、僕は晴れなくてもいいのに……と思ってしまった。このまま抱き合ってるの、すごく嬉しくて楽しくて止めたくないから。
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